異世界転生後輩   作:一之三頼

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人望

「着いた。ここがワシャールの拠点だ。」

 

「ここが………。」

 

 

 

ジャックさんはフリードと別れ、再び馬車を駆って移動する。

 

そして少しすると街の外れにある石造りの建物が目に入る。

 

石造りの建物の前に停車して馬車から降りる。

 

アパートの一室のような規模だったリエフの拠点とは比べ物にもならない程に大きく、数十人が生活出来そうだ。

 

 

 

「あれ、ジャック?到着したのか!」

 

「よぉ、ついさっきな。」

 

「おーい!みんなー!ジャックが着いたぞー!!!」

 

 

 

拠点に到着すると入口付近にいた男がこちらに気付き、近づいて来る。

 

男はジャックさんの到着を知った瞬間、建物の方に向き直って大声で叫ぶ。

 

そして少しすると、

 

 

 

「おぉ、ジャック!待ってたぞ!」

 

「聞いてくれよジャック!この前、フリードがまたアレを持って来たんだ!」

 

「そんな事より以前加入した仲間を紹介しますよ!」

 

「共和国内にいた仲間たちがこっちに合流して物資の備蓄状況が変わってるから、後でこの書類に目を通しておいてくれ。」

 

「畑を拡張したんだ、見に来てくれよ!」

 

「それよりもせっかくジャックが来てくれたんだから宴にしようよ!」

 

 

 

男の叫びを聞いた人たちが建物から続々と現れ、ジャックさんに話しかける。

 

十数人に囲まれて、話しかけられている姿はジャックさんの人望の凄まじさを感じさせられた。

 

 

 

「おいおいお前ら、そんな一遍に言われたって分からねぇよ。ちょっと落ち着けって。」

 

「凄い人気ですね。」

 

「リーダーとして努力し、皆を導いてきた証拠、と言う事ですね。」

 

 

 

確かに強そうな見た目、面倒見の良さといった人望に結び付く理由はこれまでの旅路で感じているが、これほどまでに慕われるようなレベルでは無いようにも感じられる。

 

 

 

「大袈裟だって言いたそうな表情をしていますね。」

 

「………正直、そう思ってます。」

 

 

 

レオノーラさんに表情を読まれ、正直な感想を言う。

 

 

 

「ジャックはあんまり頭の良い方ではありませんでいた。でも努力出来る人間で、諦めずにロッキーから色々な事を教わって、成長して、皆から信頼されるようになったんです。」

 

「…………。」

 

「それから前リーダーのロッキーがいなくなって、皆が悲しんで、絶望して、迷って、それでも彼は立ち上がりました。諦めずに努力できる彼だから、ロッキーがいなくなっても皆を励ます事が出来たんです。彼の励ましがあったから皆で、生きて、前に進んで行くと決められたんです。」

 

 

 

きっとジャックさんにとってのロッキーと言う人は、俺にとってのタガミ先輩みたいな存在だったんだろう。

 

頼りになって、助けてくれる、導いてくれる存在。

 

そんな人がいきなりいなくなるのは滅茶苦茶辛い。

 

そんな状況の中、同じような心境の皆を励まして立ち直らせたのであれば、この人望も納得できる。

 

いつか先輩を助ける為にも、俺もジャックさんみたいに諦めずに勉強していかないとな。

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