異世界転生後輩   作:一之三頼

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こっちでは絶対に見捨てない

「それで、三人はどこにいるんだ?」

「んーとねーまだ話し終わってなければー」

「ランドルフの家にいると思うよー。」

「分かった。ありがとう。」

 

何はともあれ、ユーステッドたちと話をしようと居場所を聞くと、どうやらランドルフの家にいるようだ。

 

「それとグランマから二人によろしく言っておいてくれって。」

「心配してたー?」

「元気だったー?」

「あぁ。二人の事を心配してたし、元気だったよ。」

 

彼の家に向かいながら、イーリスとイーシャにグランマからの伝言を伝える。

彼女たちはニコニコと嬉しそうにグランマの様子を尋ね、仲睦まじさを感じさせられた。

 

「それと……二人の気持ちは知ってるけど、本格的にマズそうな感じになって来てるんだ。だから……」

「リョータもあたしたちの事心配してくれるんだー。」

「ありがとねー。」

 

グランマの伝言に加えて、俺の意見も双子に伝えようとすると、その途中で割って入られる。

情勢が情勢なだけに、命の危険もあるのだ。

『差し伸べる手』のリーダーとして、一人の人間として、仲間の命を失わせるわけにはいかない。

二人もそれは理解しているようだが、譲れない何かがある様で話を続ける。

 

「死んじゃうのは怖いよー。」

「でもねーもっと怖い事もあるのー。」

「死ぬよりも怖い事……?」

 

二人は一体何を言っているんだろうか?

正直言って死の恐怖を感じた事はあるけれど、それ以上の恐怖を感じた事は無い。

何かしらの拷問であったりを受けて、生きながらにして苦しみを味わい続けさせられるとかだろうか。

しかしこの二人がそんな経験をしてきたようには見えないし、そうであってほしくない。

 

「うんー。」

「リョータはさー」

 

死に勝る恐怖を考えていると、イーリスとイーシャは普段以上にゆっくりと間延びした口調で、どこか悲しさを感じさせる雰囲気を醸し出しながら語り掛けてくる。

 

「自分のせいでー」

「自分が見捨てたせいでー」

「「誰かが死んじゃったらーどー思うー?」」

 

彼女たちの口から出たそれはあまりに重く、

 

「それ、は……」

 

俺は返す言葉に詰まってしまう。

タガミ先輩は……きっと生きているはずだ。

死んだなんて思いたくない。

ジャックは……危ないところだったけど、辛うじて生き延びた。

きっと今頃は南の島でゆっくりと療養生活を送っている事だろう。

だから俺が原因で、俺が見捨てた事によって、俺が助けられなかったことによって誰かが死んだことは無い。

 

「とってもとっても辛いよねー」

「強い人なら前向きに頑張れるかもだけどー」

「あたしたちはずーと気にし続けるよー」

「生きてる間ずーとー」

「立ち直れないでー」

「毎晩嫌な夢を見るのー。」

「イーリス……イーシャ……」

 

しかし眼前の双子は、暗にそれを経験した事があると語る。

詳しい話こそしてくれないが、自分たちだけが生き残ってしまったことに対する悔恨、見捨ててしまった罪悪感、それらに苛まれた事があると伝わってきた。

 

「だからねー」

「こっちでは絶対に見捨てないってー」

「「あたしたちは決めたんだー。」」

 

『こちらでは』の言葉があるように、恐らくその経験をしたのはこの世界に来る前の事だろう。

だからこそ、仲間を見捨てて自分たちだけ生き延びる事を良しとせず、危険な状況化にも関わらずここに残って活動を続けているのか。

 

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