「それなら、まずは君たちの信仰を試させて貰おうか。」
教会の入り口にはフリードが立っていた。
「試す?試すだと?身の程を弁えるべきでは?」
「貴様のようなどこの馬の骨とも知れん小僧が、日々祈りを欠かすこと無き我々の信仰を試すとは何事か!」
「そも、破門された異端を民に広めんとする貴様が何を嘯くか………。」
フリードの発言に対し、三人の修道士たちはいずれも侮蔑の表情と罵りを返す。
フリードはそれを気にも留めず、涼しい表情で修道士たちに向かって歩いてくる。
「全く、偶然ホーエンゼレル公に拾われただけの小僧が、ひぃ!?」
「ほら、信心深い君たちにもたらされる主の加護を早く見せてよ。」
「い、いきなり剣を突きつけるなど、何のつもりか!?」
フリードは修道士たちの近くで立ち止まると、突如として腰に帯びていた剣を太った修道士の眼前に突き付ける。
瘦せ細った修道士は狼狽しながらフリードに問いかけるが、フリードはその問いに対して笑顔のまま答える。
「僕があと10数えるまでに加護を見せてくれなければ、この剣で眼を抉り抜いて、そのまま斬り殺すよ。」
「ま、待て………!」
「10。」
「そのような横暴、主はお許しにならぬぞ!」
「9。」
「このような事をしては神罰が下るであろう!」
「8。」
「自らの行いを悔い改めるのであれば、今の内であるぞ!」
剣を突きつけたまま数えだすフリード。
太った修道士は言葉でそれをどうにかしようとするが、一切の反応は無い。
「7。」
「えぇい!貴様ら、見ていないで助けぬか!」
「6。」
「そ、それは………。」
「5。」
「ここで止めては我々が危ういのだ。」
太った修道士は他の二人の修道士に助けを求めるが、自分たちに矛先が向く事を恐れてフリードを止めようとしない。
「4。」
「ま、待て!私が悪かった!貴様、いや貴殿は然るべくしてホーエンゼレル公に召し抱えられたのだ!」
「3。」
「貴殿は王国の諸侯をまとめ、ジョセフなる不届き者に抗している!貴殿こそ信仰の守護者と言えるだろう!」
「2。」
「そ、そうだ!貴殿を聖人として列せられるように教皇猊下に推挙しよう!」
残された時間が少なくなると、太った修道士は傲慢な態度を改めて許しを請う。
しかしフリードはそれにも耳を貸さず、カウントしていく。
「1。」
「だから、止めろ!止めてくれ!」
「0。」
太った修道士は足掻くが、フリードは無情にも時間切れを告げる。
そして太った修道士の眼球を貫く為に、僅かに引き絞られた剣は、次の瞬間には鮮血が刃を染める、
「待って下さい!」
かに思われた。
しかし、そうはならなかった。