「にしても随分と買い込んだなぁ。」
「ど、どれもこれ、す、素晴らしい品ばかりだったので……」
「支払いできるのか?この量の商品だとかなりの額になると思うんだけど……」
「そ、その心配は、大丈夫です。お、お母さん……ね、ネーシア店長からは、その引き出しの中に入っている、お、お金までは買い込んでいいって、い、言われているので……」
ネーシアも馬車三台分も買い込むとは思っていないのではないだろうか。
そう思いお金は足りるのか尋ねてみるが、ナーヤはいつもの様におどおどした雰囲気こそ変わらないが、彼女は『問題無い』と馬車の中にあった鍵付きの引き出しが指差してそう言い切った。。
そこそこ大きい引き出しだが、それだけの軍資金が入っているのだろう。
いまいち実感が湧かなかった事を俺の表情から察したのか、ナーヤは引き出しの鍵を開けてその中を見せてくれる。
「こ、これでも足りなければ、い、一旦購入できる分だけ購入して、帰って……そ、それから改めて、お金を持ってくるので……」
「お、おぉ…………」
その中にははち切れんばかりにパンパンに金貨が詰まった袋が幾つも入っていた。
思っていた数倍の密度で引き出しに詰まってたそれを目に収めた俺は思わず感嘆の声を溢す。
扱っているものが高価な商品であるとはいえ、一商人が買い出しに持たせる量とはとても思えない。
「ネーシアんところは貴族とかの金持ってる奴を相手にしてるし、そりゃ金はあるだろうな。」
「そ、それに、お金はいざと言う時、み、身を守るのに使えるって……」
「こんだけ詰まってる金貨袋なんだ、鈍器として優秀だろうぜ。」
「いやそう言う事じゃないだろ。」
モルダは納得と言った表情で語るが、流石にこれには驚かざるを得ない。
しかし護身用の鈍器には用いないだろう、普通。
そもそもそれだけの資金があって治安や安全に不安があるなら強い武器を買うなり護衛を雇った方が良いだろう。
まぁ前者は見るからにひ弱そうなナーヤには勧められないが。
「そ、その、お金を武器に使うのは、よ、良くないんじゃないかと……」
「ほら、ナーヤも困ってるぞ。」
「ぶ、武器ならこちらにありますので……」
「え?…………え?」
ナーヤは困ったように眉尻を下げてモルダの言葉をやんわりと否定する。
俺も呆れと共にモルダを嗜めるが、一方の彼女は馬車の中にあった木箱を開け、武器を取り出した。
それを見て思わず絶句してしまう。
「結構厳つい武器使うんだな。」
「いや、厳ついって言うか……」
彼女の手元にあった武器、それは……