「あれ?ここは……?」
気が付くと美術館だか博物館だかに立っていた。
周囲には彫像や絵画が飾られていた。
そして俺の正面には『譛?蠕の譎ゥ鬢』の絵が飾られていた。
「そうだ、あの時見た絵は『譛?蠕の譎ゥ鬢』だ!でもなんで忘れていたんだろうか?」
でも思い出す事が出来てスッキリした!
しかし同時に何故『譛?蠕の譎ゥ鬢』があそこにあったんだ?
だってあれは……
「……ろ」
ん?今、何か……?
「……ろ……ータ」
この声は……
「おい、起きろリョータ。朝だぞ。」
「ん?ふわぁ~~~……もう朝か……」
「随分とぐっすりだったな。けど朝メシを食ってディーゴの手伝いをしてやんなきゃな。」
「あぁ、寝床を使わせてもらう代わりに手伝いをするんだったな……」
気が付くとベッドで眠っていた俺はモルダに声を掛けられて目を醒ます。
どうやら夢を見ていたようだ。
しかし何の夢を見ていたのだろうか。
何か、重要な事に気が付いたような、忘れていたことを思い出したような、そんな夢を見ていたような……
モルダに起こされた時に忘れてしまったが、まぁ夢と言うのは大抵そう言うものだろう。
今現在はディーゴに世話になっているのだから、相応に働かなくてはならない。
まずは簡単な朝食を摂って、それからディーゴに指示を貰いに行こう。
「二人とも、おはようございます。」
「おはよう、ディーゴ。」
「オレたちは何をすりゃあ良いんだ?」
「昨日の夕方過ぎに到着した船に載っている荷を下ろして倉庫に運ぶ手伝いをお願いします。細かな指示は船にいる作業員に従って下さい。彼にはボクから話が通してあります。」
「荷運びだな、任せろ。」
「昼前には終わると思うので、その後は自由にして頂いて構いません。」
「そう言えばナーヤはどうしているんだ?」
「彼女とはこの後、今後の出荷とネーシア商店までの経路、期間等を詰めさせて頂きます。内戦では交易は危険でしたので取りやめていましたが、徐々に治安も回復しつつある今ならば大丈夫でしょう。もっとも、油断大敵ですので慎重に決定する必要がありますが。」
「……そうなのか。」
俺とモルダはディーゴに荷運びを任された。
その間にナーヤは何をするのだろうかと少し気になったので尋ねてみたが、彼女も彼女で昨日に引き続き忙しなさそうだ。
彼女の性格を見ていると交渉なんて出来るのだろうかと思うが、あまり心配していても失礼か。
実際、ナーヤの能力はネーシアからは認められているし、この街に来て早々に俺たちにもその洞察力を見せてくれた。
それにディーゴも人間性や商人としての安定性を鑑みるに、ネーシアから不興を買うような契約は結ばないだろう。
加えて治安云々についてはむしろ、彼女の前に立ちふさがる事になる盗賊の方が哀れだと思えてしまう。
ひ弱そうに見えていた女商人が、実はメイスを軽々と振り回して戦えるのだから。