「おう、オメェらが坊の言ってた連中か!よろしくな!っつってもこの船倉にある積み荷を向こうの扉が開いてる倉庫に入れるだけだ!」
ディーゴに言われた手伝いをするために指示された船に向かうと、そこには黒いコートを着てキャプテンハットを被った、いかにも『船長』と言った風貌の人物がいた。
彼は豪快に俺とモルダに声を掛け、挨拶もそこそこに仕事の説明を始める。
船倉へと通じる扉を指差し、次いで運ぶ先の倉庫を指差す。
「それじゃあ任せたぜ!あぁそれと重てぇ物はちゃんと複数人で運べよ!落っことされたら堪ったもんじゃねぇからな!」
そして説明は全て終えたといった雰囲気でタラップへと進み、最後にこちらを振り返って一声かけてから去っていった。
「なんて言うか、嵐のような人だったな。」
「海の男って感じがしたぜ。まぁ取り敢えず言われた通りに荷物を運ぶか。」
「そうだな。」
俺たちはその勢いに呆気に取られるが、気を取り直して仕事に取り掛かる。
幸い、運べない程に重い物は無く、重量があったとしてもモルダと二人で持ち上げれば問題無く運べる荷物ばかりだった。
先ほどディーゴから言われたように、昼前には全ての積み荷を倉庫に運び終えた。
「そう言えばこの荷物ってエウリア大陸から持って来たものらしいよな。」
「あぁ、そうらしいな。いやぁ見た事もねぇもんばっかりだったぜ。でもそれがどうかしたのか?土産になんか買って帰るか?」
「そうじゃない。そうじゃなくって……」
相変わらずのモルダに呆れつつ、俺は海の向こうに顔を向ける。
「エウリア大陸って南の方にあるんだろ?って事はジャックも今頃、エウリア大陸でゆっくりしてるのかなって思ってさ。」
「あぁ確かにあいつ、南の方で療養してくるって言ってたもんな。って事はじっとしてらんねぇだろうな。ジャックの事だし、ワクワクして『冒険だぜ!』とかいってあっちへ行ったりこっちへ行ったりしてさ。」
「ははは、あり得るな。ちゃんと傷を治して早く帰って来てほしいんだけどな。」
この先にジャックは居るのだろうか。
具体的にどこで療養するのかを聞いていなかったが、南と言えばエウリア大陸だ。
だからだろうか、彼の事が脳裏を過る。
もしもジャックが居たら、今回の件も解決出来ていたのだろうか。
アニエスの件も、レオノーラの件も、今みたいに何の手がかりも無い状態から、その有り余る行動力で解決への道を切り開けていたのだろうか……。
「なぁ、リョータ。」
「なんだ?」
「お前はまだ自分がリーダーの器じゃないとか思ってるのかも知れないけど、俺は悪くないと思ってるぜ。もちろん、ジャックが頼りになる奴なのは事実だけど、いつまでもあいつに頼り切りって訳にもいかねぇだろ?今回みたいにさ。」
「それは……」
「ま、あいつに戻ってきてほしいってのも確かにあるし、ジャックにリーダーやっててもらいたいって奴もいるけど、俺はお前が頑張ってるって知ってるからよ。」
「モルダ……」
どうやら気落ちしているのが察せられたのか、モルダに励まされる。
確かにジャックだっていつまでもリーダーをやっていられる訳では無い。
その時に次のリーダーを担える人間がいないのは問題だ。
しかしそれでも、それでも彼ならばもっと上手くやれたんじゃないだろうかと、そう思わずにはいられないのだ……。