「さて、これからどうするかな……」
「ディーゴに報告したら『この後は自由に過ごして頂いて大丈夫ですよ。』って言ってたけど、やる事は決まってねぇしなぁ……」
ディーゴに任された荷運びを終えて自由時間となるが、この街に来た目的、アニエスを助ける事が出来るのであれば助ける、アニエスを心配して出奔したレオノーラの捜索、それらを果たすために何をするべきなのだろうか。
俺とモルダは顔を見合わせて唸る。
しかし考えるだけでは答えは出てこない。
「取り敢えず今日も教会の方に行って、レオノーラが来てないかを確認してみるか。」
「そうだな、考えるより行動する方が性に合ってるぜ!」
そうと決まれば早速俺たちは大聖堂へと足を向ける。
そして通りを歩いていると……
「ん?おい、あれって!」
「どうした、モル……ダ……」
モルダに呼ばれ、彼が指差す方を見る。
そこには……
「アニエス!」
渦中の人物が馬車に揺られ通り過ぎて行った。
一瞬の出来事であるものの、その姿を見た瞬間に思わず声を上げてしまった。
しかし、すぐに馬車は目の前の通りを過ぎ去り、視界から消える。
その一瞬ですら、彼女の沈んだ表情は見て取れた。
そして一方で彼女の方も俺の声に気が付いたのか、去り際にこちらに顔を向けた。
視線が交わり、すぐにアニエスが驚愕したように見えたのは、果たして俺の見間違いだろうか。
「モルダ、レオノーラの事を聞くよりも先にアニエスに合わせてもらえないか聞いてみよう。」
「そうだな。それにしても豪華な馬車に乗ってた割には、ほんとにしょぼくれた顔してたな。こりゃさっさと会いに行ってやらないといけないぜ!」
「あぁ!」
そして俺たちもアニエスに遅れて教会に辿り着き、彼女に合わせてほしいと頼むが……
「お引き取りを。」
「いや、だから俺たちはアニエスの知り合いで、本人に確認してもらえたら分かるんだって!」
「お引き取りを。」
「そうだぜ、この前の共和国騒動の時に俺たちが保護してたんだよ!」
大聖堂に居た神父からは、にべにもなく断られてしまう。
しかしモルダが以前、俺たちが彼女を保護していた話を持ち出すと目の色が変わった。
「……それは真実ですか?教会の人間を保護していたとは、どこかの貴族に連なる方でしょうか?」
「真実だぜ!」
「俺たちは転生者たちが互いに助け合う為の組織に属していて、そこでアニエスを保護してたんだ。」
これならアニエスに合わせてもらえそうだ!
希望が見えてきたことで俺たちは表情を明るくして説明をする。
「衛兵、彼らを連れて言って下さい。」
「「は!?」」
しかし次の瞬間には衛兵を呼ばれ、有無を言わせずに連れて行かれてしまった。