「どうしてこうなった……と言うか、ラディウムに行った時も牢屋に入れられた記憶があるぞ……」
「ははは!経験者か!牢屋が似合ってるぜ!」
「嬉しくない!そういうお前だってこれで経験者だろ!」
「そうだな!ははははは!」
「笑ってる場合じゃないだろ、どうするんだよ……」
「何も出来ないから笑うしかないぜ!」
モルダは笑っているが、それは明るい展望があるからでは無く、何も出来ないから笑っているだけであった。
以前牢屋に入れられた時は時間が経ては出してもらえた可能性があったし、アルステッドに釈放してもらえたから良かったが、今回も同じように助けてもらえる保証はない。
「くそっ、せめてあの神父じゃなくてアンジェロさんを探して聞くべきだった……!」
「ま、こうなっちまったのは仕方が無いし、そのうち出してもらえるだろ。」
「その声は、リョータとモルダですか?」
「え、レ、レオノーラ!?」
「ここに居たのか!」
俺とモルダが騒いでいると、知った声が聞こえてくる。
それは俺たちが探していた人物のものであった。
何故このような所に、と言いたいところだが、恐らくは俺たちと同じ流れで牢に捕らわれたのだろう。
「はい。ずっと牢に居たので、どれほど時間が経ったか正確には分かりませんが、一日以上は経過していると思われます。」
1日以上と言う事は、どうやら俺たちよりも早くルーメンに到着して牢に入れられていたようだ。
そもそも俺たちはレオノーラが居なくなった翌日にルーメンに向かい、ディーゴの下で一夜を明かしたので、同程度の移動時間がかかったと考えても2日は捕らわれていたことになるだろう。
「その、盗み聞きするつもりは無かったのですが、偶然聞こえてしまって、気が付いたらルーメンに……」
「いなくなったのに気が付いた時は驚いたよ。でも無事でよかっ……無事で……無事?」
「まぁ怪我とかが無くて良かったなって事だぜ!」
「そうだな。無傷でなによりだ。」
捕まっている以上、無事と言うのも何か違うのではないかと思い、途中で自分の発言しようとしたことに対して首をひねるが、モルダの言うように怪我を負った訳でもないのだから、取り敢えずは良しとしよう。
もっとも、今はミイラ取りがミイラになってしまった訳だが。
「今は待つしか出来ないのか……」
「脱獄するか?」
「鍵も道具も無いでしょう。それに仮に脱獄なんてしようものなら正面から教会に入れなくなりますよ。そうなったら彼女に……」
アンジェロやディーゴが助けに来てくれれば良いのだが、前者はレオノーラが捕らわれている事を知らなかった事から、俺たちが捕らわれた事を耳にしない可能性が高いし、後者は多くの海の男たちを抱える商会のトップと言う、どちらかと言えば教会寄りの立場にいる為に釈放の説得ができるか怪しい。
しかしレオノーラが言うように脱獄する事は今後の活動に支障を来すだろう。
身体如何ともし難く、悩んでいる間にも刻一刻と時間は過ぎて行くのであった。