牢屋に入れられてからどれほど時間が経ったのかは分からない。
そこに窓は無く、それ故に太陽の光が差し込む事もない。
牢番はおらず、時折簡素な食料を持ってくるのみで時間の経過を感じ取れる要素がないのだ。
時折モルダやレオノーラと雑談を交わすも、結局は曖昧な時間の中で来るかどうかも分からない釈放の時を待つしか出来ない。
「暇だな……」
「食事の量も少ないぜ。」
「すみません、私が先走ったばっかりに……」
「まぁ、過ぎた事は仕方が無いよ。俺も隠したりしないで皆にきちんと話して、それから方針を決めるべきだった。」
「反省してるんならオレはどうこう言わねぇよ。さっきも言ったが、怪我も無かったんだしそれで何よりってな。」
「ありがとうございます……後悔はしていませんが、この反省は今後に活かそうと思います。」
「後悔はしてないんだな……」
「はい。」
互いに自分に非があった点を認め合い、また一つ絆が深まったような気がする。
でも後悔はしていないと胸を張って言うのは、いや、友情を肯定しているだけだから、まぁ、良しとしよう。
少なくとも今後は知恵を借りる意味でも、仲間の暴走を防ぐためにも、重要な情報や方針に関する相談事は秘密にするのではなく開示する方針でいこうと思う。
「しかし、あれからどれだけ時間が経ったんだろうな……?」
「いつになったら出してもらえるのかも分かりませんね……」
「そもそもなんで捕まったのかも分からねぇからな。」
「俺たちはアニエスの知り合いだから会わせててくれって言っても塩対応だったし、その後に転生者って伝えた後に捕まったな。」
「私もアニーに会わせててほしいと頼み込んでいたのですが、断られても食い下がってずっと頼み続けていたら捕まってしまいました。」
「それは……普通に迷惑だから捕まったんじゃねぇか?」
「あぁ、ただそれを言ったら俺たちも普通に迷惑だから捕まったって事になる、のか?」
「レオノーラの前例があったから説得を続ける前に連れて行かれたのかもな。」
「「…………」」
「そうと決まった訳では無いでしょう。きっと何か別の理由があるのかも知れません。だから何か言いたげな沈黙は止めて下さい……」
捕まった原因についてあれやこれやと意見を出し合っていると、単純な理由だったのではないかと言う意見が強くなる。
確かに迷惑をかけるのは良くないが、それでも牢屋に入れるのは勘弁してもらいたい。
もっとも俺とモルダがあっさり牢屋に入れられたのはレオノーラの行いがあったからでは、と考えると俺はジト目になってレオノーラの声がする方の壁を見る。
恐らくモルダも同じような表情で壁を見つめているだろう。
レオノーラは居たたまれないように自己弁護をするが、俺たちは引き続き沈黙で返す。
しばらくすると、牢の出入り口の方から足音が聞こえてくる。
この足音が釈放を告げに来た人物のものであると良いのだが……