「まず仮に忍び込めたとしても教会内のどこに出るか分からない。それにその後脱出できるかも分からない。そもそも忍び込む前に見つかって捕まるかも知れない。だから正直言って……かなりリスキーな作戦だ。発案した俺が言うのもなんだけど。もっといい案があったらそっちに乗りたいくらいには。」
「なるほどな……良いと思うぜ!それでいこう!」
「まだ前提を話しただけなんだが!?何も聞いてないのに肯定するなよ!」
「だったらよ、うだうだ言ってないでさっさと本題を話せ。今のオレたちはリョータの作戦に賭けるしかないんだぜ。オレもレオノーラも良い案が出せねぇからな!」
「モルダと一緒にされるのは若干不服ですが、事実妙案は浮かびませんね。」
あまり自信のある案では無かったため、予防線を張ってしまったが、モルダの意見に後押しされ、俺は腹をくくる。
「……分かった。まずこの作戦にはディーゴの協力が必要になる。」
前置きを終え、教会に忍び込むための作戦を仲間たちに共有するのであった。
そして……
狭く、暗い場所に俺はいる。
「…………で………れた…………をお持ち……した。」
「いつも…………るよ。…………卿の……に運ん…………」
「言う…でもあ…………が、貴重品で………お気を付け……」
「分かっ………おい、運……………ってくれ。」
「………はこっち………」
外からはディーゴと誰かが話している声が聞こえてくるが、何を言っているのかはよく聞こえない。
会話をしている事だけが分かり、やがて話が終わると今いる場所が揺れ始める。
恐らくはどこかに運んでいるのだろう。
その間にも外からは雑談のような会話が僅かに聞こえてきた。
「しっかしレナ……卿が………を…………せたらしいな。」
「……たぞ、その話。……でも王都………大司教が…………に頼んで…………らしいぞ。」
「え?オレ……聞いた……とア……ス卿が命………て聞いたけ……」
『ガタッ!』
その雑談の中でレナードや単語的にロオの名前、そしてアニエスの名前らしき響きが耳に入り、次の瞬間、隣で何かが揺れる音が聞こえた。
「ん?今………揺れな……たか?」
「……気を付け……もしも……れたら大問題……」
「うーん、中身……………確認して………」
「止めと………弄ってバレた方………いだろ。」
その音に反応した男たちは僅かに訝しみ、しかし深く追及はせずに輸送を再開する。
一応軽く確認される程度なら大丈夫だとは思うが、危ないところだった。
このまま教会内部まで無事に忍び込めると良いのだが……