時は遡り、約二時間前……
「ディーゴ、頼みがあるんだ。」
「なんでしょうか?」
「俺たちを教会に納品してくれないか。」
「はい?」
俺はディーゴに頭を下げて頼み込む。
しかし言葉が不足しており彼は『意味が分からない』と言わんばかりの表情で生返事を返す。
「すまん、説明を端折り過ぎた。実はどうにかして教会の中に入りたいんだ。けど正面からは入れなくて……」
「まぁ牢屋に入れられていた訳ですからね。」
彼の力を借りるために、まずは教会に忍び込む事を話し、その為に考えた方法を伝える事にした。
「だからディーゴの商会に何かしらの商品を教会に納品してもらって、その商品を入れてる箱に隠れて忍び込みたいんだ。こんな事に協力をさせるのは心苦しいけど、力を借りたいんだ。頼む……!」
「…………先程、レナード様にここに残る理由を話していましたが、何故そこまで?もしかしたらまた捕まってしまうかも知れないんですよ?最悪、殺されてしまうかも知れない。」
「仲間を助けたいと思うのに、仲間の助けになりたいと思うのに理由なんていらないだろう?そりゃ確かに捕まるのは嫌だし、死ぬのは怖いから避けたいけど、アニエスが苦しんでいるのを見捨てたら絶対に後悔する。」
「…………!」
「まぁ、またヤバくなったら……どうしよう、教会内だと逃げるにも隠れるにも土地勘がないし……」
「分かりました。協力しましょう。」
「えっ!良いのか!?助かるよ!ありがとう!」
話を聞いたディーゴは僅かに考える素振りを見せ、俺に問い掛ける。
正直に言って恐れや不安がない訳では無い。
しかし、俺は、俺たちは仲間としてアニエスに手を差し伸べたいと思ったのだ。
たったそれだけのシンプルな理由。
その発言にディーゴは目を見開いて驚嘆の表情を浮かべた。
そして彼は俺たちに協力する事を約束してくれた。
「ただし!もしも本当に危なくなったら……アンジェロ、さんを頼って下さい。彼ならばどうにかしてくれるはずです。」
「アンジェロさんを?確かにあの人は味方してくれそうな雰囲気があるし、分かった。そうするよ。」
その後、ディーゴと一つだけ約束を交わした。
彼が何故アンジェロを頼るように言ったのかは分からないが、素直に助言に従わせてもらおう。
実際、そのような状況に陥った場合、教会で頼れそうなのはアニエスかアンジェロだけであり、アニエスは面会を希望した際に捕まえられてしまったのだから、彼以外に頼れる人物はいないのだが。
ともあれ、そう言った経緯で俺たちは教会に搬入される品を納めた箱に潜伏して忍び込むのであった。