地面に横たわって白目を剥いているものの、不審者であることに変わりはないのでディーゴたちは持ってきていた縄で縛りあげた。
取り敢えずは一件落着、今度こそ落ち着ける。
そう思っていた矢先……
「か、火事だーーー!!!誰か来てくれ!!!」
「なんだって!?」
「不審者といい、火事といい、どうなってやがるんだ!」
「とにかく外に出ましょう!」
どこらか火事の報せが叫びに乗って届いて来る。
俺たちは驚愕しながら、急いで最も近い出入り口へと向かった。
そして外へと駆けだすと……
「うわっ!火が!……いや、想像よりもかなり小規模だな。」
そこでは建物が燃えている訳ではなく何かしらの、輪郭から察するに荷車のような物体が燃えていた。
裏口から外に出たようで、見た所人通りの少なく、そこまで広くはない道の真ん中でそれは燃焼している。
しかし特に周囲には延焼しておらず、被害は拡大していない。
そして一点気になる事がある。
「誰もいないぞ?いや、それよりも消火しないと!」
「おう、規模は小せぇけど、燃え広がらないとも言えねぇからな!」
「こちらに水瓶があります!これで火を消しましょう!」
とはいえ、まずは消火が最優先だ。
小火騒ぎと甘く見て大火事になっては笑えない。
ディーゴが指差した先にあった水瓶を運び、燃焼物に水をかける。
夜中であったが周囲に人が集まり、協力した事で程なくしてそれは鎮火された。
俺たちは助けてくれた町人たちに感謝の言葉を告げ、片付けを明日に回して休む事になった。
今度こそ一件落着で床に就く事ができ、夜にも関わらず慌ただしい時間を過ごした事で疲弊していたこともあって、あっという間に眠りに誘われる。
「ふわぁ~~~……よく寝た、いや、寝過ぎたか?」
そして翌朝、正確には朝と昼の中間。
モルダは先に目を醒ましているのか、既に部屋にはいなかった。
俺は身支度を整えて昨日の件を話しにディーゴに会いに行く。
ドタバタしていた結果、話し合いをする事が出来なかったが、あの不審者二名は何者で何が目的なのか、あの不審火は何を目的とした誰が火をつけたのか、そして火事を叫んだ人物は何者で何故外に出た時にはいなかったのか。
不審者二名に関しては襲撃が目的であると推測していたが、何の為に襲撃を決行したのかまでは分かっていない。
まずは皆で話し合ってそれらの疑問を解消していこう。
本館に行って受付の人にディーゴがどこにいるのかを聞き、商館の奥にある一室に向かう。
そして扉を開けるとそこには……
「うわぁ……」
「あぁ、リョータさん。おはようございます。」
「起きたのか。」
不審者が一人、椅子に縛り付けられていた。
目隠しで目を覆われ、皮膚には多様な傷跡が残されている。
尋問と言うか、拷問だろう、これ。