「さて、聞きたい事を聞く事が出来た、とは言えませんが収穫は有りました。尋問はここまでにしましょう。」
「ヴェンティセイはどうするんだ?」
「どうもしませんよ。このままこの部屋に軟禁しておきます。」
ヴェンティセイへの尋問は終わったが、その処遇については何も聞いていない。
それが気になって俺はディーゴに問い掛ける。
どうやら彼はまだしばらくここに居る、と言うか居させられるようだ。
「解放した所で行く当てはないでしょうし放り出しても問題はないでしょうが、まだ使い道があるかも知れませんからね。安心して下さい、ヴェンティセイ。貴方が順々で、かつ我々に利がある限りは傷つける事はありませんし、衣食住は保証しますよ。」
「あんな事をさせておいて……」
「何か?」
「なんでもない。」
しかしディーゴの言い草がまるで悪役かのような発言で若干顔が引き攣る。
言っている事は正しいのだが、状況的にそう見えるのも仕方がないだろう。
一方のヴェンティセイは忌々しげに、吐き捨てるようにボソリと恨み言を呟く。
それを拾ったディーゴは微笑みを浮かべながら彼に向き直って一言かける。
ヴェンティセイは目を背けて発言を撤回したが、俺はディーゴの片手に踏み絵で使った偶像があるのを見逃さなかった。
「それとリョータ。」
「なんだ?」
「あなた方はしばらく部屋で待機していて下さい。加えて、極力外には出ないように。もし部屋の外に出る際は入口の傍にいる人間を伴うようにして下さい。」
「それは構わないけど、理由を聞いても良いか?」
「安全の為です。流石に白昼堂々と襲ってくることは無いと思いますが、念のためです。不便をかけて悪いですね。」
「いや、むしろ気を使ってくれてありがとう。」
「それともう一人の襲撃犯を尋問しますが、ナーヤさんをお借りしても?」
「そこは本人に許可を取ってくれ。本人が良いって言うなら、俺は反対しないさ。」
「ありがとうございます。踏み絵だけで折れる可能性は十分にあり得ますが、襲撃犯を投げ飛ばした彼女がいた方が心理的に圧迫感があると思うので。」
「あぁ……うん、そうだな……。」
「華奢な女子相手なんて苦戦する事も無いと思ってただろうに、逆に軽くぶん投げられたんだから、そりゃビビるだろうぜ。」
俺とモルダは部屋で待機するようにディーゴから指示され、そのディーゴはもう一人の襲撃犯を尋問すると言う。
ナーヤも連れて行きたいらしいが、彼女なら心配はないだろうし、俺が許可を出すのも変な話だから本人に聞くように伝えた。
しかし彼女を連れて行く理由を聞くとまたしても顔が引き攣る。
やり口が恫喝のそれだ。
つくづく敵に回したくないと思わされる。
いや、それすらも実はディーゴの狙いなのかも知れない。
「それでは尋問が終わり次第そちらに伺います。」
「分かった。問題は無いと思うけど気を付けて。」
ともあれ今の彼は味方であり、その事実に感謝しつつ俺たちは尋問が終わるのを待つとしよう。