部屋で待機して少しすると、部屋のドアがノックされた。
もう一人の襲撃犯に尋問をすると言っていたディーゴにしては想像以上に早い来訪だと思ったが、扉を開けた向こうに居たのは別の人間だった。
「レオノーラか。」
「リョータ、モルダ。先程は部屋に居ませんでしたが戻っていたんですね。」
「ついさっき戻って来たばっかりだぜ。」
「先程って事は俺たちがディーゴの所に行ってた時も来てくれてたのか、手間かけさせたみたいで悪いな。」
「いえ、構いません。ところで相談があるのですが……」
俺たちに相談事があってレオノーラが訪ねてきたのだ。
昨夜あんなことがあったばかりだし、その件についてだろうか。
取り敢えず彼女の話を聞いてみる事にしよう。
「なんだ?言ってみてくれ。」
「あのキールソンと言う男、どうやって始末しましょうか。」
「はい?」
「前回の様に荷物に紛れてとはいかないでしょうし」
「待て待て待て待て!」
「はい。」
「始末!?」
「はい。」
「キールソンを!?」
「はい。」
「はいじゃないよ!」
相談と言うから何かと思ったら、その内容が物騒過ぎる。
いや殺されそうになった身からしたら反撃をするのは当然なんだけど、そもそも黒幕が確定していない段階で、容疑者と言うだけで殺そうとするのはマズいだろう。
「しかし可能性を鑑みるにあの男が裏で糸を引いていそうじゃないですか。」
「それはそうだけど、流石に落ち着こう。いきなり殺人はダメだ。」
「あとアニーが落ち込んでいた原因でもあると思うので、どちらにせよ始末したいですね。」
「自分が原因で仲間が人殺しをしたなんて知ったらアニーはもっと落ち込むと思うぞ。」
「!!!」
「命は取らないでおきましょう。」
「まぁなんにせよ、オレもこの後どうするかは話し合った方が良いと思うぜ。どうせオレとリョータはこの部屋で待機してろってディーゴに言われてて暇だし、話し相手になってくれよ。」
どうにかレオノーラが思い止まるように説得を試みる。
それに仮にキールソンが黒幕だったとしても、俺たちが彼を殺害しようものなら心優しいアニーは間違いなく悲しむ。
なんなら俺たちが殺害されそうになったと聞いても確実に悲しむだろう。
その事について言及するとレオノーラはハッとしたような表情で前言を撤回、と言うよりは考えを改めた。
それでもキールソンを狙う事を撤回はしていないが、あのままだと以前の様にここから飛び出して勝手に単独行動を開始しそうだったので一旦良しとしよう。
少なくとも俺たちと話をしている間は行動を開始しないだろう。
その間にディーゴの尋問が終わる事を祈るばかりだ。