モルダ、レオノーラとしばらく話をしていると、尋問を終えたディーゴが部屋にやってくる。
「お待たせしました。レオノーラも一緒だったんですね。」
「あぁ、さっき部屋に戻ったら訪ねて来て、これからの話をしてたんだ。」
「なるほど、では情報共有に加えて今後の話をさせてもらいます。」
ディーゴがどこまで情報を引き出せたのか、聞かせてもらおう。
ただ経過時間から察するに、そこまで多くの情報は得られていないとも思うが。
「もう一人の襲撃犯の名前はトレディチ。引き出せた情報はヴェンティセイから聞いた内容と同じでした。先程やったように踏み絵をさせて説得したら快く話をしてくれましたよ。効率的な手法を教えてくれたリョータには頭が上がりませんね。」
「いや、最初はめっちゃ非難してたよな。あと何度でも言うけど、これを考えたのは俺じゃなくて俺が居た世界のご先祖様だからな。」
「率先して採用する手段ではありませんので。それと重要なのは有効か否かであって誰が考えたかではありません。故にあの場で有効な手段として提案してくれたリョータに感謝を示すんですよ。率先して採用する手段ではありませんが。」
「言わんとする事は分かるけど二回も言うな、二回も。」
そこまで言われる程悪い事なのだろうか。
宗教に対してそれほど熱心ではないのは事実だが、だからと言って悪意を以て接している訳では無い。
まぁ確かに元々は炙り出しの為の手段だから良いものではないけれど、それでもあそこまで非難されるとは思わなかったのだ。
「そういやナーヤも連れてったんだろ?大丈夫だったか?」
「えぇ、実に良い活躍をしてくれました。最初はしかめ面で口を閉じていたトレディチが彼女の姿を見た瞬間にガタガタと震えだしまして、踏み絵をさせたり説得したりして情報を引き出した後、最後の一押しは彼女が彼に一歩近づく事で『なんでも言う事を聞くから助けてくれ!』と懇願してきて」
「いやモルダが聞きたかったのは役に立ったかどうかじゃなくてナーヤに対する心配だと思うんだけど。昨日の夜襲われて悲鳴を上げてた訳だし。」
「終始困惑していましたね。」
「まぁそうだろうな。むしろ怯えてなかっただけ良いか。」
俺がばつの悪そうな顔をしているとモルダが話を変えてくれる。
昨日の夜に襲撃されて今日その犯人に会うのだ。
平静でいられるか怪しいと思いディーゴに尋ねたのだろう。
しかし帰ってきた答えは『違う、そうじゃない』と言いたくなるような、明後日の方向を向いたようなものだった。
聞き直した結果、ナーヤが大丈夫そうと言う事は分かったので、いったん良しとしよう。
「あぁ、それと、今後についてですが」
話を戻し、今後どうするかをディーゴが口にする。
「大聖堂に行きましょう。」
あっけらかんと言い放ったそれは、まるで散歩にでも行くかのような気軽さで襲撃犯を送って来た相手の元に向かうと言うものだった。