休憩時間が終わり、授業の続きを始めようとすると、部屋の扉が開かれる。
入って来た人物はフリードと、
「………誰?」
「あぁ、気にしないで構わないよ。講義を進めてくれ。」
見た事も無い、外套を羽織った恰幅の良い男だった。
組まれた腕は、その体格が決して贅肉では無く筋肉によって形作られている事を見せつける。
顔には傷があり、無精ひげを生やしていた。
その風貌と雰囲気から予想した人物像は………
「兵士?軍人?」
「ほぉ………。」
「流石だね、リョータ。まぁ彼については後で説明するから、ほら、教え子たちが待っているよ。」
「フリードさん!この人は誰ですか?」
「………ほら、教え子たちが待っているよ。」
「お、おう………。」
アニエスがフリードの『気にするな』と言う発言を気にせず質問するが、フリードにスルーされる。
僅かにしょんぼりした表情でアニエスは挙手していた手を下げた。
たぶん今聞いても無駄だろうし、授業を進める事にした。
しかし部屋の後ろの方に座ったフリードたちのせいで、なんだか授業参観みたいだ。
奇妙な空気間の中、授業が進み、
「それじゃあ今回はここまでだ。」
「ありがとうございました!」
「あー、疲れたなー。」
「だな。でもこれから昼飯を作らねぇと。」
「私もお手伝いします!」
「おう、ありがとよ。」
二人の乱入以外は特に何事も無く授業は終わる。
その後、アニエスとリックは昼食を作る為に厨房へ向かい、
「さて、オイラもサボる訳にはいかないし、畑に行くかなー。」
ノーランも伸びをしてから部屋を出て畑仕事に向かった。
この部屋に残された人物は俺とフリード、そして謎の男だけだ。
「で、フリード。結局こいつは………」
「こいつは悪くはないぜ!でも良いって程でもねぇぜ!」
「なるほどね。」
「誰なんだよ。」
男の正体を問うが、いきなり評価を下された。
何の評価だ?授業か?
それなら初めての教師役なのだから仕方が無いだろう。
「彼はゲーラン。『ヴルテンヌの怪人』と渾名される将軍さ。」
「そう!オレ様の名前はゲードラン・ドゥ・ゲーラン!王国一の将だぜ!」
男は両腕を腰に当て、胸を張って堂々と名乗りを上げる。
しかし、
「怪、人?」
確かにイケメンとはとても言えないような風貌だし、時代によってはいじめられたりしそうなレベルの見た目だが、それでも怪人と言う異名はどうかと思う。
「おっと、怪人ってのは顔の事を言ってる訳じゃあないぜ。確かに最初は貴族共の嫌味も込められていただろうが、俺は『怪人』なんて異名に相応しい戦功を挙げて来たんだぜ。」
「事実、彼のお陰で纏まりのない諸侯連合軍でも共和国軍に負けずに抵抗出来ていると言っても過言では無いんだ。」
「ゲハハハハハ!事実だから照れないぜ!だが称賛は受け取るぜ!」
とりあえずなんだか凄い人物であったと言う事だけは分かった。
しかし、どうしてそんな人物がこんなところに来たのだろうか?