異世界転生後輩   作:一之三頼

45 / 278
協力者は少女?

フリードは右腕を胸の前に、左手を後ろに回し、礼をとり、俺もそれに続いて同じポーズをとる。

 

 

 

「ようこそお出で下さいました。ルセロア公。」

 

「カイギの時、ちゃんと静かにしていたのだわ!えらいでしょ!」

 

「えぇ、とても。」

 

「だからこの前のお話の続きを聞かせてちょうだい!」

 

「もちろんですとも。」

 

 

 

ドアを開け放ち、入室してきたルセロア公はフリードの元へ歩み寄る。

 

会議中、静かにしていたことを褒めてもらいたそうに胸を張り、ご褒美をねだるその姿は、幼い少女そのものだった。

 

貴族でこそあるが、年齢的に会議の内容を理解する事は難しいだろうし、会議中にずっと無言だったのも理解できる。

 

しかしフリードは先ほど、ルセロア公が協力者であるかのような物言いをしていたが、実は見た目に反して知恵者だったりするのだろうか。

 

そんなことを考えながら、ニコニコしながら童話を聴くルセロア公を眺めていた。

 

 

 

「ありがとう!とっても楽しかったのだわ!」

 

「喜んで頂けて何よりです。」

 

「今度お礼を送らせていただくのだわ!」

 

「ありがたき幸せ。」

 

 

 

今のところ、童話を聴く姿は普通の少女そのものであり、知的さを感じさせる要素は見当たらない。

 

至って普通に童話にワクワクし、目を輝かせる姿は確かに癒しになるだろう。

 

フリードもストレスが溜まる生活を送っているだろうし、純粋無垢な姿に癒されたかったのだろうか。

 

確かに先ほどの貴族たちよりは味方をしてくれそうだが、頼りになりそうかと言われると別問題だ。

 

 

 

「ところでクリストフ殿の行方は?」

 

「全然見つからないのだわ。早くセンソーが終わってくれないかしら。」

 

「努力はしているのですが、他の諸侯の協力を頂かなくては厳しいですね。」

 

「リィンおじ様は負けないって言ってたけれど、そうなの?」

 

「えぇ、負けこそしませんが、勝てませんね。それもルセロア公の援助によってどうにか成り立っている、というのが現状ですので。」

 

「むぅ……、それじゃあ王都の方にはまだ探せないのね。」

 

「残念ながら。」

 

「ままならないものだわ。財宝ならたくさんあるのに、それを生み出したクリストフがいないだなんて………。それに彼のお話はいつも財宝以上に魅力的だし、ディーゴも寂しがっていると思うのだわ。早く会いたいわね。」

 

 

 

ルセロア公はフリードの話を聞き、悲し気にため息を吐く。

 

先ほど会話の中に出てきたクリストフという人物は、どうやらルセロア公にとって重要な存在のようだ。

 

話の流れ的には恐らく行方不明、もしくはタガミ先輩みたいに連れていかれたという可能性もある。

 

しかし財宝を生み出した、財宝以上に価値のある話をする人物か。

 

本題はそのクリストフという人物だろうし、聞き逃さないようにしておこう。

 

それに『ディーゴ』という人名、どこかで聞き覚えがあるような気がするが、一体どこで聞いたのだったか………。

 

そんな事を考えながら話を聞いていると、

 

 

 

「ところでフリード、この人は?この前のカイギの時に連れてきていた人とは違うのだわ。」

 

「あぁ、ハルフェ、前回の従者は今回は来ていないですよ。リョータ、名乗る事をを許す。」

 

 

 

ルセロア公が唐突に俺に視線を投げかけて話題に挙げる。

 

一応は従者役だからと黙って話が終わるのを待っていたが、何故急にこちらを見るのか。

 

しかし相手は少女と言えど貴族だし、粗相をする訳にはいかない。

 

かと言って失礼のない美辞麗句なんて分からないから、当たり障りのない返事をするしかない。

 

 

 

「はい。ユウキリョウタと言います。」

 

「ふーん………。わかったのだわ!この人もイセカイジンなのでしょう!」

 

「ご明察の通りです。」

 

「そうだと思ったのだわ!なんだか雰囲気が違うもの!」

 

 

 

そこまで雰囲気が違うのだろうか。

 

確かに生きてきた環境が違うし、他人から見たら違いがあるのかもしれないな。

 

そんなことを考えていると、ルセロア公は幼い少女らしい屈託のない笑みを浮かべ、

 

 

 

「ねぇ、リョータ!」

 

「はい。」

 

「何か面白い話をしてちょうだい!」

 

 

 

無茶振りをしてきた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。