「結局、交易権を交渉材料にするって言ってるけど、誰を相手に交渉するつもりなんだ?会議では距離的に厳しいって貴族もいたし、議長をやってたトリア公?の取り巻きの貴族辺りか?」
「確かに与しやすそうではあるけれど、彼らの力はそこまで強くはない。一人を味方につけたところでで大した意味はないだろうね。」
「それならあんまり会議では発言してなかった、えーとお爺さんの……「レアン公だね。」そうそう、レアン公か?」
「確かに彼に味方になってもらえれば心強いが、それも違うよ。彼は交易権では動かないだろうね。」
交渉する相手を見定めようとするが、俺が考えた相手はフリードの考えとは違っていたようだ。
交渉が成功するかも知れない、と言う観点で考えていたが、別の視点から考えるべきか。
そうなると………
「もしかして………トリア公か?」
「どうしてそう考えたんだい?」
「あの人を味方につける事が出来たら取り巻きの貴族たちも味方につけられるし、議長を務めるレベルの貴族って事は相応に兵力もあるんじゃないか?」
「良いね。その通りだよ。しかし当然、問題点もある。」
「戦争に対して非協力的ってところか?」
会議の時点で緊張感の無さと言うか、他人事と言いたげな雰囲気が感じ取れた。
そんな人物を説得するのは骨が折れるだろう。
「それもあるが、もう一つある。兵力を維持するためには何が必要だと思う?」
「………軍資金と食料か?」
「その通り。エウリア大陸の交易権が無くとも十分なほどに、トリア領は繫栄しているんだ。」
「それじゃあ交易権が交渉材料にならないぞ。」
「そうとも限らないよ。」
「交易権が無くても十分なほどに繫栄しているけど、交易権は交渉材料になる………?」
必要としていないものを交渉材料にしても説得なんて出来ないのではないだろうか。
可能性があるとすれば、トリア公の人間性の部分が考えられる。
「トリア公って良くも悪くも貴族然とした、鷹揚な雰囲気だったけど、実は強欲な人物だったりするのか?」
「さて、どうだろうね?」
「どうだろうねって………。」
「よし、帰り道ではトリア領をよく観察して帰ろうか。ドミニク、帰り道を変更だ。リンズを通過して帰るよ。」
「かしこまりました。」
俺の考えに対してイエスともノーとも言わず、フリードは御者に声を掛ける。
トリア公の領地を見れば分かるとでも言うのだろうか。
フリードがどんな考えでトリア公と交渉しようとしているのか分からないが、彼の言う通りトリア領を注意深く観察しなから帰るとしよう。
そんな事を考えながら、馬車は行きとは違う道を進んで行くのであった。