異世界転生後輩   作:一之三頼

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それぞれの役割

フリードが訪ねて来てから二日後。

 

俺とアニエスはジャックに連れられてフリードの幕舎を訪れた。

 

 

 

「よぉ、フリード。来たぜ。」

 

「うん。ありがとう。それじゃあこの書類を輜重隊にいるレオノーラの所へ持って行ってくれ。さて……。やぁ、君たち。待っていたよ。」

 

 

 

その中でフリードは部下に指示を飛ばし終えた後、こちらに向き直って挨拶をした。

 

進軍開始が間近なだけあって忙しそうだ。

 

 

 

「早速だけどジャックはそのままここで僕の護衛を。ここに入ってくる者は入口の兵士に検査をさせているから問題ないと思うけど、警戒はしていてほしい。」

 

「おう、任せとけ!」

 

 

 

彼はまずジャックに指示を出す。

 

先日拠点で話をしていた通り、ここで護衛をするようだ。

 

実際に戦場に出るよりは安全だろうし、並大抵の人物が相手ならジャックが負ける事は無いだろう。

 

 

 

「シスターアニーは休憩中の兵士たちに説法をしてあげてくれ。誰か!彼女を幕舎区画まで案内するんだ!」

 

「はっ!」

 

「はい、任せて下さい!」

 

 

 

続いてアニエスに指示を出すフリード。

 

彼女には精神的な癒し、安らぎを与える役割を任せていた。

 

俺は宗教に疎いから教えを説かれてもピンと来ないが、信徒の兵士たちにとっては重要な事なのだろう。

 

 

 

「それでリョータは……。」

 

「…………。」

 

 

 

そして遂に俺の番がくる。

 

固唾を飲んでフリードの支持を待つが……

 

 

 

「今は特にやってもらう事は無いかな。」

 

「無いのかよ。」

 

「交渉になったら仕事があるだろうけど、現段階では特にやってもらいたいことが無いんだよ。」

 

 

 

特に何も指示されなかった。

 

実際、拠点でも交渉の際に同席してほしいと言われてはいたが、それでも何かしらやれる事はあると思っていたんだが……。

 

 

 

「そうだね……。この後ゲーランたちと軍議があるから参加するかい?」

 

「いや、俺が参加しても何の話してるか分からないだろ。」

 

 

 

少し逡巡して出した答えが軍議の参加だった。

 

しかし話を理解出来なければ、それに沿った発言も出来ないのでは参加する意味が無いだろう。

 

 

 

「そこは安心すると良い。護衛として参加するジャックも間違いなく分からないだろうから。」

 

「おいおい随分な言われ様じゃねぇか。」

 

「それなら発言に期待して良いかな?」

 

「軍略だの戦術だのなんざ分からねぇ!」

 

「と言う訳で、これと比べたらリョータの方が幾分かマシだと思うよ。」

 

「それで良いのか……。」

 

 

 

俺の自信なさげな姿勢を問題無いと語るフリード。

 

彼がジャックを親指で指差して槍玉に挙げるが、その対象であるジャックは反骨的な態度をとる。

 

しかし彼の方に笑顔で振り向いたフリードが自信の程を問い掛けると、すぐさま手のひらを返して自信満々に分からないと語る。

 

うん、ジャックと比べたらマシだとは思うけど……。

 

確かにこの後するべき事も無いけど……。

 

俺は呆れながらも軍議に同席する事を決めるのであった。

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