異世界転生後輩   作:一之三頼

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これより進軍を開始する

軍議が終わり、幕舎にいた将官が外へ出て行く。

 

残された俺は手が空いているからレオノーラの仕事でも手伝いに行こうかとフリードに提案しようとしたら、先に彼から声を掛けられる。

 

 

 

「ところでリョータ。一つ聞きたい事があるんだけど。」

 

「なんだ?」

 

「君は馬に乗れるかい?」

 

「いや、乗馬の経験は無いな。」

 

 

 

自転車ならともかく、生まれてこの方馬になんて乗ったことが無い。

 

精々幼少期に遊園地のメリーゴーランドに乗ったくらいだ。

 

 

 

「それなら一日中早歩きをしていられるかい?」

 

「一日中は流石に自信が無いな……。」

 

 

 

『差し伸べる手』に加入して鍛錬は積んでいるが、それでも一日中となると自信が無い。

 

基本的に遠方への移動は元居た世界ではバスや電車、この世界では馬車に乗せてもらっていたし、一日中歩いた経験なんて無いのだ。

 

 

 

「分かったよ。アウグスト。」

 

「ここに。」

 

 

 

それを聞いたフリードはマンガなどで悪役がやりそうな指パッチンをすると幕舎の外に控えていたであろうアウグストが入って来る。

 

実際に指パッチンで人を呼ぶ光景なんて初めて見た。

 

そんな事を考えていると、

 

 

 

「リョータに馬の乗り方を教えてやってくれ。今日と明日の間に。」

 

「お任せ下さい。」

 

「え?」

 

「リョータ様、時間が惜しいので厩舎へ。」

 

「え?」

 

「頑張って来いよー。」

 

 

 

気が付くとアウグストに引きずられて行っていた。

 

困惑の中、ジャックの応援が耳に残る。

 

あぁ、俺はこれからスパルタ教育を施されるのか……。

 

空が青いな……。

 

その後、俺は地獄の特訓の二日間を過ごすのであった。

 

 

 

 

 

そして二日後、進軍開始前にフリードは全軍を集めて演説を行う。

 

壇上に上がった彼は整然と並んだ兵士たちを一瞥し、口を開いた。

 

 

 

「よくぞ集ってくれた!勇敢なるウラッセア王国の兵士諸君!

 

ジョセフなる反徒は卑劣にも奸智と暴威を以て知恵無き民衆を扇動し、反旗を翻し、王を弑逆し、今日に至るまで圧政を敷いてきた!

 

その過程で多くの無辜の民が犠牲になっただろう!その中には諸君らの家族友人もいた事だろう!

 

しかし、それも今日までだ!

 

今日この日より、ジョセフの圧政は、反乱は終わりを告げる!

 

勇者たちよ!家族の為に!仲間の為に!王国の為に!己の最善を尽くすのだ!」

 

 

 

演説を終えると共に腕を高く掲げるフリード。

 

 

 

『うおおおぉぉぉぉぉ!!!!!』

 

 

 

それを見た兵士たちもまた、腕を掲げ気勢を上げる。

 

誰もがその瞳には希望を、情熱を、光を宿していた。

 

 

 

「これより進軍を開始する!」

 

 

 

フリードは腕を下げ、壇上から降り、馬に跨る。

 

兵士たちは並んでいた列の先頭から街道へと歩み始め、俺たちの進軍は始まった。

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