異世界転生後輩   作:一之三頼

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行かせるさ

玉座の間で待ち構えていたニコライたち。

彼は笑みを浮かべながらも、その目は蛇の様な無情さを醸し出す。

それに恐怖を感じ、思わず後退りそうになるが『ここまで来て逃げる訳にはいかない』と、どうにか堪える。

 

「死ぬ為にここまでご足労頂くとは、随分な身分の方だとお見受け致す。とでも言ってあげようか?」

「おう、お前中々見る目があるじゃねぇか。」

「やれやれ、皮肉も通じないとは……。常々、反乱軍の連中は愚かだとは思っていたが、ここまで愚かな人間、いや猿か?猿も珍しいものだ。だが生憎、ここには道化師として阿る王はいないんだ。」

 

一方のニコライは俺の怯えを感じ取ったのか、見下したように皮肉を述べる。

しかし、こいつが油断している今なら、ジャックたちがいる状態なら、もしかしたら勝てるかも知れない。

こいつを倒さないと先に進めないのなら、やるしかない……!

 

「リョータ!ここは俺たちに任せて先に行け!」

「は!?何言ってんだよ!俺も一緒に「こいつ相手じゃあ正直言って足手まといだ!それにこいつらがここにいるって事ぁ、ここを何が何でも守らなきゃならねぇって事だろ!だったら奥にはジョセフがいるはずだ!」っ……!分かった!」

 

恐怖を感じながらも共に戦う覚悟を決めた俺に、ジャックは先行するように言いつけた。

出鼻を挫かれたような気持ちになって声を荒げるが、彼に実力不足を指摘され、言葉に詰まる。

加えて、彼の言い分も道理だ。

ならばここで時間を掛けるよりも、誰かがこの先に、ジョセフの所に行かねばならない。

 

「行かせるとでも思っているのか?」

「あぁ、行かせるさ!テメェの相手はこのオレだ!うおぉぉぉらぁぁぁぁ!」

「ちぃ!」

 

玉座の奥への道を切り開く為にジャックが剣を振りかぶり、ニコライに襲い掛かる。

それは戦いの火蓋を切る一振りとなった。

ニコライも彼の剣を受け止めるだけの膂力は無く、回避に徹する。

兵士たちもそれぞれニコライの部下と切り結び、火花が散る。

唯一戦っていない俺は隙を突いて玉座の奥へと駆けて行く。

 

「皆、無事でいてくれよ……!」

「我々を相手に背中を見せるとは、舐めた真似をしてくれる!」

 

ニコライは俺に向けてナイフを投擲する。

奴らに背を向けて奥へと向かっていた俺に避ける術は無かった。

 

「だからテメェの相手はオレだって言ってんだろ!」

「!」

「邪魔を!するな!」

「こっちのセリフだ!」

 

しかし投擲の瞬間、ジャックは刃を振り下ろしており、回避の為に狙いが僅かにズレていた。

ナイフは俺の頬を掠め、壁に突き刺さる。

熱さにも似た痛みを感じながらも、振り返る事なく玉座の横を駆け抜け、廊下に突入した。

 

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