二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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マザーズ・ロザリオ編
プロローグ


二○二六年十二月二十九日

 

冬休みの宿題を既に終え、部屋でパソコンを弄り、暇をつぶす。

 

何気なく、ALOのMMOトゥモローの掲示板を見ると、何かが書き込まれていた。

 

「《絶剣》?」

 

何かのレアアイテムかと思い、詳しく調べるとどうやらレア武器やレアスキルではなく、プレイヤーの名前だった。

 

正確には、通り名らしい。

 

十二月二十七日にMMOトゥモローの掲示板に対戦者募集の書き込みがあって、ALO初心者のくせに生意気だ、いっちょ凹ましてやろうと殺気だった連中三十人を返り討ち。

 

「ALO初心者が三十人を返り討ちかぁ。余程戦い慣れしてるか、才能があるかなんだろうな」

 

そう思い、更に調べると、二十四層主街区から北に離れたでかい樹の生えた小島に毎日午後三時からそこに居て対戦者と戦っているそうだ。

 

「ふ~ん。面白そうだな」

 

時計を見ると、午後三時五分前。

 

今から行けば戦いが見れるな。

 

ベッドに横になり、アミュスフィアを被る。

 

「リンクスタート」

 

ALOにダイブし、現在、シリカと借りてる宿を出る。

 

転移門を使い二十四層主街区《パナレーゼ》に向かう。

 

フィーを肩に乗せ、足を歩ませると数分で小島に着く。

 

そこでは既に誰かが絶剣と戦っていた。

 

戦ってるのはサラマンダーで武器は片手剣の男と、インプで同じく片手剣の女の子だった。

 

どっちが絶剣だろう?

 

「すみません。どっちが絶剣ですか?」

 

近くに居たウンディーネの男性に声を掛ける。

 

「あっちの女の方だよ」

 

「ありがとうございます」

 

お礼を述べ、戦いを観戦する。

 

インプの子の戦い方を見て俺は驚いた。

 

その子の戦い方は、速かった。

 

突きの速さはアスナさん以上かもしれない。

 

それにあの反応速度、キリトさんと同等かそれ以上かも………

 

インプの子の戦いに呆気を取られながら俺はあることを思った。

 

確か、こういったデュエルだと、経験値の死亡罰則も相当なもののはずだ。

 

そこまで考えると、サラマンダーの剣を弾き、インプの子が剣をサラマンダーの首に突き付ける。

 

「ま、参った。アイ・リザイン」

 

サラマンダーは降参し、また絶剣の勝ちになる。

 

「また、OSSは出ずに終わったな」

 

「こりゃ、もうあの十一連撃は拝めないかもな」

 

「でもよ、十一連撃のOSSが賭けネタだぜ。ここで呆れめられるかよ」

 

な!?OSSの十一連撃!?

 

俺も、OSSで十一連撃の《百鬼乱戦桜花》を持ってるが、あれはアイテムやフィーの能力をフル活用して作り出せた技だ。

 

俺以外に、十連撃を超えるOSSを作る奴がいたなんて…………

 

なるほど。

 

確かに、十一連撃のOSSが賭けられてるってなら、対戦者が殺到するのも頷ける。

 

もう一度インプの女の子を見る。

 

インプの女の子の瞳は赤紫色、肌は影部分に紫がかった乳白色、髪は長く伸びたストレートで濡れ羽色ともいうべき艶のあるパープルブラック。

 

満面に眩しい程の笑みを浮かべ、その笑みからは無邪気さが感じられた。

 

「次に対戦する人、いませんかー?」

 

声もアバターに似合った高くかわいらしい響きだ。

 

周りからは、お前行けよ、お前が行けなどと声が聞こえ、誰も対戦しようとしない。

 

俺はかつて旧アインクラッドでヒースクリフさんと決闘した時と同じ気持ちを感じ、絶剣の前に立つ。

 

「俺が相手になる。戦おうぜ、絶剣さん」

 

俺が出たことにギャラリーからの声が止まる。

 

そして、俺の姿を見ると、あるプレイヤーが声を上げた。

 

「おい!あれ、レインだぞ!」

 

「ケットシー最強の大太刀使いだ!」

 

「九尾の使い手と絶剣の戦いだ!」

 

「これは見物だぞ!」

 

「いけぇー!ケットシーの双璧の力見せて見ろ!」

 

俺だと知るとギャラリーがさっきより一層大声を上げる。

 

絶剣はというと、その様子に驚きながらも楽しそうに笑う。

 

「君、凄い人気だね!有名なの?」

 

「まぁ、それなりにね」

 

「そっか~。君と戦うのが楽しみだよ!」

 

ニコっと笑うその子に向け、俺も笑い返す。

 

「で、ルールは?」

 

「なんでもあり。アイテム、魔法、ばんばん使っていいよ。君はケットシーだし、使い魔もOK。ボクはこれだけだけどね」

 

ボクという一人称が似合うなっと思いながら俺は絶剣の持つ片手剣を見る。

 

アスナさんの細剣に近いくらいの細さ、黒曜石のような深い半透明の黒い片手用両刃直剣。

 

簡単に折れそうな剣だが、輝きやディティールからして、武器の性能は俺の大太刀とおなじぐらいか。

 

「いや、そっちが剣だけなら俺も剣だけでいい。早速始めよう」

 

そこで絶剣を見据えていると、ギルドタグのアイコンがついていた。

 

左右に白い翼を伸ばしたピンク色のハートというデザインの印章シギルが表示されている。

 

少女が右手を振るってシステムウインドウを操作し、俺の前にデュエル申し込み窓が出現した。

 

【Yuuki is challenging you】

 

ユウキ。

 

これがあの子の名前か。

 

なんていうか、この子にとても似合ってる名前だと思う。

 

そう思いながら、ウィンドウの下部にある三つのモード・オプションを見る。

 

《初撃決着モード》《半減決着モード》《全損決着モード》

 

旧アインクラッドでは、デュエルの際は必ず《初撃決着モード》が選ばれていた。

 

全損決着はともかく、半減決着でも決まり手がクリティカルだとHPがレッドにまで落ちてしまいかねないからだ。

 

だが、今では当たり前のように《全損決着モード》が選ばれる。

 

時代は変わったなっと思い、《全損決着モード》でOKボタンを押した。

 

デュエルウィンドウは消滅し、十秒のカウントダウンが開始される。

 

背中から大太刀《六幻無双》を抜き、脇構を取る。

 

絶剣ことユウキは長剣を中段に構え、自然な半身の姿勢を取った。

 

その瞬間、周りの歓声が遠ざかっていく。

 

意識をユウキにだけ向け、集中する。

 

大きく息を吸い、吐く。

 

息を吐くのと同時に、カウントがゼロになる。

 

【DUEL】

 

文字が一瞬の閃光を放つと同時に、俺は走り出し、大太刀を振った。

 




ユウキとの出会い編でした。

次回から少しオリジナルの展開になり、そして原作の内容に突入予定です。

では、次回もお楽しみに。
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