二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第7話 ユウキの涙

流石は大規模ギルドだけあって実力もそれなりにあった。

 

まぁ、いくら情報を《盗み見》していたとしても、ボスに勝てるんだ。

 

実力だって備わっている。

 

だが、旧アインクラッド元攻略組六人と優秀なナビ二人、二匹の使い魔には敵わなかった。

 

最後の一人を倒し、全員一息ついてポーションを飲む。

 

一瓶飲み終わり息を吐くと、シリカが目を吊り上げながらこちらにやってきた。

 

あ、説教される。

 

これから起きる説教に身を強張らせると、ちょうどボス部屋の扉が開いた。

 

そして、ボス部屋ではアスナさんに抱き付いて喜んでるユウキが見えた。

 

ユウキは俺の顔を見るとこれまでで最大級の笑顔を見せて走り寄って来た。

 

「レイ――――ン!やったよ!ボス倒せたよ―――――!」

 

「お疲うぼぉ!?」

 

ユウキは俺にタックルするように飛びついて来た。

 

少し衝撃が来たが、なんとか受け止める。

 

「やった、やったよ!ボクたち、やったんだ!」

 

「………ああ、そうだな。おめでとう」

 

注意をしようかと思ったが、ユウキの笑顔を見ると、そんな気も失せた。

 

頭に手を置き、労いの言葉を掛ける。

 

ユウキは嬉しそうに目を細める。

 

そこで俺は気付いた。

 

ここにいるのは俺達だけじゃない。

 

《スリーピング・ナイツ》の皆と、アスナさん、キリトさんたち、そして、シリカ。

 

そう、シリカがいる。

 

《スリーピング・ナイツ》の皆はユウキの行動に驚き、おぉっとみたいな感じになる。

 

アスナさんは口を開き、キリトさんは口元を引き攣らせ、クラインさんは、口を大きく開け、アルブスは頭に手を当て、首を横に振り、アヤメさんは目を逸らす。

 

ユイちゃんはキリトさんのコートに隠れ、ユウナはいつの間にかピナと共に上空避難。

 

フィーは俺の肩で震えている

 

俺は壊れたブリキの玩具のように首をギギギッと回し、後ろを見る。

 

そこには、仏様のような慈悲深い笑みを浮かべ、背後に般若を背負ったシリカがいた。

 

手には短剣がしっかり握りしめられている。

 

「レ・イ・ン♡お仕置きも追加♡」

 

その瞬間、俺はユウキを振り払い全力ダッシュをし、迷宮区を抜け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ…………ここまでこれば大丈夫だろう」

 

勢いに任せ、第一層にまで降りて来てしまった。

 

「ふぃ~~………」

 

「フィー大丈夫か?ごめんな、お前まで巻き込んじまって」

 

振るえながら情けなく鳴くフィーを優しく撫で一息つく。

 

「そう言えば、そろそろ《剣士の碑》更新されてるよな」

 

《剣士の碑》のことを思い出し、空を見上げる。

 

「よし、見に行ってみるか」

 

《剣士の碑》が設置されてる黒鉄宮に向かい、中に踏み込む。

 

ひんやりとした空気が肌を撫でる。

 

ブーツが鋼鉄の床を叩く音を聞きながら奥に進むと《剣士の碑》が見えた。

 

近づき、文字の末尾を探す。

 

そして、[Braves of 27th floor]の下にユウキたち七人の名前が刻まれていた。

 

「………やったな」

 

俺は小声で呟き、七人の名前を軽く撫でる。

 

すると、背後で数人のブーツの音が聞こえ振り向く。

 

「あ、レインだ!」

 

其処に居たのはユウキたちだった。

 

ジュンが俺を指差し、近寄ってくる。

 

他の皆も次々と近寄ってくる。

 

「よぉ、皆。《剣士の碑》見に来たのか?」

 

「ああ。レインも見に来たんだよな。どうだった?」

 

ジュンが興奮気味に聞いて来る。

 

「自分の眼で確かめな。考えの通りだ」

 

そう言うと皆一斉に《剣士の碑》に向かった。

 

アスナさんも俺を無視して向かう。

 

「あ、あった。あった、ボクたちの、名前だ………」

 

どこか呆然としたようにユウキは呟く。

 

「おーい、写真撮るぞ!」

 

ジュンがいつの間にか《スクリーンショット撮影クリスタル》を持っていた。

 

「なら、俺が撮る。貸してくれ」

 

右手を差し出し、撮影係を買って出る。

 

「なに言ってるんだよ。レインも一緒に撮るんだよ」

 

「え?でも、俺ボス戦に……」

 

「あいつらと戦ってくれたり、わたしたちに戦闘訓練してくれただろ」

 

「それ以外に、戦闘のアドバイスなんかもしてくれたじゃないですか」

 

「レインさんも、立派な私達の仲間ですよ」

 

「さぁ、早く並んで並んで」

 

他の皆に背中を押され、半ば強制的に列に入れられる。

 

ちなみにユウキの隣だ。

 

「よ~し、撮るぞ!」

 

タイマーセットしたジュンが戻って来て、テッチさんの横に並ぶ。

 

「ぼら、笑って、ユウキ」

 

アスナさんがユウキにそう言うと、ユウキは笑った。

 

その笑顔に俺も自然と笑みが零れた。

 

そして、全員が笑うと同時にぱしゃっとクリスタルが光った。

 

「おっけー!」

 

ジュンが駆け戻り、クリスタルを確認する。

 

アスナさんと結城はもう一度《剣士の碑》を眺めていた。

 

「やったね、ユウキ」

 

アスナさんはユウキの頭を撫でながら言う。

 

「……うん。ボク、やったよ、姉ちゃん…」

 

姉ちゃん?

 

何故?

 

「ふふ…。ユウキ、また言ってるよ」

 

「え…?」

 

何のことだが分からないといった風にユウキはアスナを見る。

 

「わたしのこと、姉ちゃん、だって。ボス部屋でも言ってたよ」

 

なるほど、そう言うことか。

 

「ま、確かにアスナさんってお姉ちゃんって感じですよね。俺の事も弟みたいな扱するし」

 

「それはレイン君が弟みたいだからだよ。まぁ、そう思ってくれてたら私は嬉しいけど……!?」

 

そこで、アスナさんは言い掛けた言葉を呑み込む。

 

ユウキが両目を見開き口元とを手で覆っていた。

 

そいて、みるみると涙が溜まっていき、頬に流れる。

 

「ゆ……ユウキ?」

 

「ユウキ……どうした?」

 

アスナさんが手を伸ばそうとすると、ユウキは一歩、二歩と下がる。

 

「アスナ……レイン……ぼ、ボク……」

 

ユウキは不意に顔を俯かせてから涙を拭い、左手を動かしてウインドウを出現させた。

 

そして、震える指で操作するとユウキは白い光に包まれ、ログアウトした…。

 

 

 

 

 

 

 

それを最後に、《絶剣》ユウキはアインクラッドから姿を消した。

 




前半ギャグ、後半シリアス。

なにこれ?

はい、とうとうここまで来ました。

いよいよマザーズ・ロザリオ、佳境に入ってきました。

次回、とうとうあのシーンになります。

シリカ、空気になります。

そして、アンケートの締め切りも近づいてきてます。

今の所


1 7票

2 4票

3 5票

4 7票

5 0票

とこんな感じになっております。

中々の接戦です。

5 全部 に票が入っていませんが………

では、次回もお楽しみに。
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