二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第11話 想いを告げて

ユウキの家に行ってから三日後、今日は二十二層のキリトさんとアスナさんの家でバーベキューパーティーが開かれた。

 

アスナさんは何処か吹っ切れたような笑みを浮かべ、調理をしていた。

 

どうやら、お母さんと話し合えて分かり合えたようだ。

 

料理スキルを完全習得しているアスナさんと同じく完全習得しているシリカが準備をし、俺達男性陣+リズさん、シノンさん、リーファさんは食材の調達。

 

頑張った甲斐もあり、S級食材が大量にゲットできた。

 

準備が終わりになる頃には、ユウキたち《スリーピング・ナイツ》が集まり、それ以外に、サクヤさんやアリシャさん、ユージーンさんなど様々な人が集まり、パーティーは開催された。

 

「それでは、これよりバーベキューパーティーを始めます。では、お手元のグラスをどうぞ」

 

司会をしてるアスナさんに従いグラスを手に取る。

 

「では…………乾杯!」

 

『乾杯!!』

 

そこからは大盛り上がりだった。

 

ユウキたちは結構有名になっており、サクヤさん、アリシャさん、ユージーンさんは自陣への勧誘を仕出し、それをユウキたちは笑って断り、場の空気に酔い、リズさんが暴走、それを止めるアルブス、甘えだすシノンさん、それを受け止めるアヤメさん、飲み比べを始める大人たち。

 

とにかく混沌だった。

 

そして

 

「なぁ、これから二十八層のボスも倒しに行かないか?」

 

キリトさんの発言により、二次会が二十八層ボス攻略戦になった。

 

大人数で二十八層に雪崩れ込み、最上階まで行き、巨大な甲殻類型ボスモンスターを屠ってしまった。

 

《剣士の碑》には、ユウキとパーティーリーダーを務めた人しか名前が残らなかった。

 

二十九層は《スリーピング・ナイツ》+俺で倒そうと話になって、その日は解散となった。

 

ちなみに、何故俺なのかというと。ユウキがどうしても俺と一緒にボスを倒したいと言ったからだ。

 

約束通り、二月に俺たちで二十九層のボスを倒し、またアルヴヘイムに有名を轟かせた。

 

後、ボスを倒した日がバレンタインデーだったのでユウキからゲーム内だがチョコをもらった。

 

だが、シリカはくれなかった。

 

何でだ?

 

中旬には統一デュエルトーナメントがあり、決勝戦でのキリトさんとユウキの戦いは、《MMOストリーム》で生中継されるとあって、最高潮の盛り上がりだった。

 

ユウキとキリトさんはOSSを含めソードスキルによるド派手な戦闘を十分以上続け、結果ユウキが優勝した。

 

三月では、期末試験が終わった後、明日菜さんはユウキを連れて京都に旅行に行った。

 

ユウキだけでなく、珪子や里香さん、詩乃さん、携帯端末内のユウナとユイちゃん、そして、《スリーピング・ナイツ》の皆も一緒だったそうだ。

 

和人さんと危さんの頑張りのお陰で、プローブの情報に複数のクライアントに並列して送れるようになったからだ。

 

そして、四月まで残り数日となったある日、倉橋先生から俺に連絡があった。

 

ユウキからの伝言だった。

 

内容は今から僕たちが初めて会った場所に来て欲しいというものだった。

 

すぐさまダイブし、二十四層に向かうと、既にユウキが来ていた。

 

「悪い、待たせたな」

 

「ううん、そんな待ってないよ」

 

ん?…………ユウキの様子がおかしい。

 

まるで、死地へ向かう戦士のような目だ。

 

「ここで、初めて会った時のこと覚えてる?」

 

「………ああ、覚えてる」

 

あの時は、ユウキの剣の速さと反応速度には驚いた。

 

だが、それ以上に俺はユウキとの戦いに、気分が高揚した。

 

「ボクさ、あの時、レインがあんなに強いなんて思わなかったんだ。でも、戦って、ああ、この人は強い人だって思って、この人と一緒にボス戦がしたいって思った」

 

ユウキはそこで、一息入れ、でもっと続けた。

 

「今まで、色んな人と戦ってこの人なら一緒に戦えるかもって思っても、一緒に戦いたいって思たのはレインが初めてだった。だから、あの時、少し強引にレインを引っ張って連れてっちゃった」

 

「ははははは、ユウキらしいぜ」

 

俺が笑うとユウキも釣られて微笑む。

 

「でね、レインが真剣にボクたちの話を聞いて、それでアドバイスもくれて、レインを連れて来て良かったと思った」

 

ユウキはまたしても一息入れて言葉を区切った。

 

一瞬顔を伏せたが、すぐに顔を上げた。

 

その顔には真剣さが滲み出ていた。

 

「実はさ、レインが居なくなった後、ボク、気づいたことがあるんだ。勝負の後から宿屋に着くまでずっと手を握ってたってことに。そう考えたら、顔が熱くなって、鼓動が早くなるのを感じた。ジュンやテッチ、タルケンと手を繫いでもなんともないのにね。初めはどうしてレインを想うと、こんなに胸が苦しくなって、身体が熱くなるのか判らなかった。苦しくて辛いって思ったけど、その苦しさが、辛さが、何故か心地よくて、心がポカポカした。レインと一緒に訓練したり、話すたびにボクは気づいたんだ。ボクは…………ボクは!」

 

ユウキはこれ以上に無いってぐらいに真剣な表情になり、俺を見つめる。

 

「ボクは……レインが好きだ!」

 

「え?」

 

今…………なんて言った?

 

俺が……好き?

 

いや、その気持ちは素直に嬉しい。

 

こんな可愛い女の子に好きと言われて嫌な男はいない。

 

だけど………俺にはシリカがいる。

 

俺はシリカと付き合っている。

 

言わないと………いけない。

 

「ゆ、ユウキ……俺、俺は………」

 

だが、どうしても言えなかった。

 

ユウキの事情を知っているから。

 

ユウキは真剣に告白して来てるんだ。

 

なら、同情とかせずに、ちゃんと答えてやらないといけない。

 

だが、できなかった。

 

「無理しなくていいよ」

 

「え?」

 

「………付き合ってるんだよね、シリカと」

 

「!?…………知ってたのか?」

 

「うん」

 

ユウキはあっけらかんと言う。

 

「二十七層のボス部屋前での戦闘。あの様子を見れば二人がコンビを組んでるだけだなんて思わないし、ボクの家の前でも、付き合ってるような発言してたしね。馬鹿でもわかるよ」

 

なら………どうして告白なんてしたんだ?

 

すると、ユウキは俺の心の中を読んだのか、答えた。

 

「心残りなんて作りたくなかったんだ。それに。もやもやしたものを胸に抱えたまま過ごすなんてボクには耐えられないしね」

 

そう言うユウキの顔は少し悲しそうだった。

 

「ねぇ……一つ聞いてもいいかな?」

 

「……何だ?」

 

「………もし……シリカと出会う前に、ボクと出会ってたらレインはボクを好きになってた?」

 

その言葉に俺は考えた。

 

もし、アインクラッドでシリカではなく、ユウキと出会ってたらどうなってたか?

 

コンビを組んでいたか?

 

好きになっていたか?

 

恋人になっていたか?

 

考えて、俺は俺なりに回答を出した。

 

「もし、ユウキが俺のパートナーだったらって考えてみた。でもさ、考えれば考える程、想像できなかった」

 

俺はユウキの顔を見る。

 

ユウキは真剣に俺の話を聞いている。

 

「シリカ以外のパートナーを考えることができないぐらい、俺はシリカが好きだ。だから、ごめん。答えることが出来ない」

 

俺は俯き、謝る。

 

すると

 

「そっか。レインならそう言うと思ったよ」

 

ユウキは笑っていた。

 

「あ~あ、残念だよ。初恋だったのにな~。やっぱ、初恋は叶わないって本当なんだね」

 

「……俺は初恋で、シリカと付き合ったけどな」

 

「ありゃ、そうなの。羨ましいな」

 

互いの顔を見つめ、どちらからでもなく笑い出した。

 

「レイン」

 

ユウキは俺に手を差し出してくる。

 

「ありがと。ボクの想いに、真剣に、そして、嘘偽りなく答えてくれて」

 

「俺の方こそ、こんなどうしようもない男、好きになってくれてありがとうな」

 

手を握り合い、俺とユウキは、親友としての関係が始まった。

 




次回、正妻VS愛人

デュエルスタンバイ!
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