二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第12話 シリカVSユウキ

二十四層《パナレーゼ》

 

ユウキが戦っていた小島にシリカは降り立った。

 

「一体何の用かな?」

 

シリカを呼んだのはレインではなくユウキだった。

 

メッセージで話したいことがある、それだけ書かれており、シリカは首を傾げながら小島に向かった。

 

「やぁ、シリカ」

 

背後から声を掛けられ、振り向くとそこにはユウキがいた。

 

「ごめんね、ユウキ。少し遅れちゃった」

 

「ううん、そんな待ってないよ」

 

そう言うユウキは何処か、何かを心に秘めてるような感じだった。

 

「ねぇ、用件って何?」

 

「……シリカ、ボクと戦って」

 

ユウキは愛用の黒い剣を抜き言い放つ。

 

「………どうして?前に一度戦ってユウキはあたしに勝ったじゃない」

 

「本気じゃなかったよね。手を抜いていたわけじゃないけど、本気で戦ってはいなかった。違う?」

 

「……どうして、そう思ったの?」

 

「レインに合わせて動ける人で、おまけにレインのパートナーならあの程度の実力な訳ないよ」

 

そう言うユウキにシリカは、息を吐き、背を向ける。

 

「あまりあたしを買い被らないで。あたしはユウキが思ってるような、強さは無いし、そんなに強くない。結果が見えてる勝負なんてやってもつまらないでしょ。あたし、帰るね」

 

翅を出し、飛ぼうとした瞬間、ユウキは言い放つ。

 

「そっか。なら、レインをもらってもいいよね?」

 

その言葉にシリカは翅を振るわせるのを止める。

 

「レインと釣り合わないパートナーなんていらない。レインもそう思ってるんじゃないかな?………でも、ボクならレインと釣り合う」

 

シリカはゆっくりと動き、ユウキと向かい合う。

 

「………レインのこと何も知らないくせに変なこと言わないで」

 

「ボクは本当の事を言っただけだよ。ボク、嘘って苦手なんだ」

 

「……いいよ、最初に喧嘩を仕掛けてきたのはそっちだから」

 

シリカは腰に手を伸ばし、短剣を抜く。

 

「……盗られたくなかったら、勝つことだね」

 

ユウキはシリカにデュエル申請をする。

 

設定で引き分け機能はOFFになっている。

 

「喧嘩を売ったこと後悔させてあげる」

 

シリカは素早く《完全決着モード》を選択する。

 

互いに距離を取り、剣を構える。

 

カウントが減っていく。

 

シリカは短剣を逆手に持ち、空いてる左手を強く握る。

 

ユウキはいつも通り、長剣を中段に構え、自然な半身の姿勢を取った。

 

カウントがゼロになる。

 

ゼロになった瞬間、シリカとユウキは同時に走り出した。

 

短剣と片手剣がぶつかり合い、鍔競り合う。

 

力で負けてるシリカが徐々に押され始め、ユウキが優勢になる。

 

シリカは押し返さず、一気に後ろに下がる。

 

その行動で、ユウキは前のめりになる。

 

しかし、ユウキは前のめりになりながらも、足を一歩踏み出し、体勢を保つ。

 

更に、一歩踏み出すと同時に、突きを放つ。

 

シリカは左手のガントレッドの手の甲の部分で剣を当て、掠らせ、軌道をずらす。

 

軌道をずらした後、シリカはユウキの胸に向け、掌底を叩き込む。

 

拳術スキル《心掌》。

 

拳術スキルで唯一、専用ナックルを装備せずに、ダメージを与えることのできるスキルだ。

 

ただし、ダメージを与えるには、的確に相手の心臓の中心に技を当てないといけない。

 

おまけに、外したりすれば、ダメージとスタン効果を与えられず、逆に自分がスキル発動後の硬直に陥るので使うプレイヤーはあまりいない。

 

予想外のダメージとスタンにユウキは反応が遅れ、シリカに懐に入られた。

 

シリカは、ユウキの腹部に下から突き上げるかのように拳を叩き込む。

 

首目掛け短剣を振り下ろすとするが、ユウキは剣の柄で、シリカの右手を弾き、そのまま、シリカの目を斬る。

 

咄嗟に顔を捻り、直撃を避けたが、剣先が左目を斬り、数秒間シリカは左側の視界を封じられる。

 

ユウキはそれを理解し、シリカの左側に移動し、攻撃をする。

 

左側を向こうと体を動かすも、その間に、ユウキは動き、常に視界に入らない位置に居る。

 

「せいっ!」

 

ユウキは剣を深々とシリカの脇腹に突き刺す。

 

そして、そのまま、剣を振り脇腹を切り裂こうと剣を動かす。

 

シリカは刺された不快感に顔を顰めながら、歯を食いしばり、右足を叩き付ける。

 

体術スキル《震脚》

 

震脚は文字通り、足を地面に叩き付けるもの。

 

ダメージを与える技ではなく、相手の動きを阻害するための技だ。

 

だが、シリカはユウキの動きに合わせて震脚を使った。

 

そのため、剣を振ろうとしたユウキは一瞬驚き、動きを止める。

 

その間に、シリカは動き、剣が脇腹から抜ける。

 

しかし、シリカのHPは既にレッドに入っている。

 

ユウキは攻撃の手を止めてしまったことに、心の中で舌打ちをする。

 

舌打ちをしながらも、動き、次の手を打つ。

 

シリカと数合打ち合うと、素早く剣でシリカの右足と、左足の付け根を斬る。

 

そこで、シリカの動きが僅かに鈍る。

 

(ここだ!)

 

止めを刺すつもりで、ユウキはOSSを発動する。

 

右肩から斜めに下ろすように放たれた五連撃の突きが放たれる。

 

本来なら、ここで勝負が決まる。

 

だが、シリカはユウキの剣の動きではなく、腕の動きを見ていた。

 

五連撃を放つ腕の動きに合せ、短剣を動かし、最初の五連撃を防ぐ。

 

次の五連撃は、最小の動きで躱し、短剣で受け流す。

 

最後の突きは、バク転をして、回避しようとするが、距離が足りず、ユウキの剣が当たりかける。

 

剣先がシリカの右足に当たる。

 

その時、ブーツの裏を見せるように動かし、剣先とブーツの裏があたる。

 

金属音が響いた。

 

シリカのブーツにも、レインと同じように鉄板が仕込まれている。

 

それにより、シリカはユウキの十一連撃のOSSを全て回避することに成功した。

 

だが、ユウキは諦めていなかった。

 

シリカの着地地点を予測し、そこに渾身の突きを放つ。

 

予想は見事当たり、シリカの着地と同時に、突きがシリカの眼前に迫る。

 

突きがシリカの顔にヒットする。

 

そして、ユウキの顔は驚愕に染まる。

 

何故なら、シリカはユウキの突きを歯で噛み、受け止めていた。

 

シリカは、剣から口を放と、短剣で素早く弾くと同時に、屈み、下から蹴りを放つ。

 

蹴りはユウキの顎に当たり、ユウキが若干浮かび上がる。

 

「まだまだ!!」

 

シリカは体を捻るようにして動き、ユウキの頭上から踵落としを落とす。

 

勢いよくユウキは頭を地面に叩き付けられる。

 

慌てて起き上がろうとすると、シリカは中級突進技《ラピット・バイト》を使う。

 

攻撃をモロに食らい、ユウキは背中を木に叩き付ける。

 

身体を襲った衝撃に思わず目を瞑り、目を開けると、シリカが短剣を自分に突きつけている。

 

HPはレッドになり、数ドット残っている状態。、

 

対してシリカも同じ。

 

だが、この状態から勝つのは無理。

 

剣を振る前に、シリカの方が先に短剣を突き刺すのが早い。

 

「………ボクの負けだね、リザイン」

 

ユウキは降参し、シリカの勝利が決まった。

 

シリカは、一息いれるとストレージからポーションを二つ出し、ユウキに一つ渡す。

 

「はい、どうぞ」

 

ユウキは、目をパチクリさせると、照れた様な笑みを浮かべる。

 

「ありがとう」

 

お礼と笑みを返し、ポーションを呷る。

 

「うん、シリカは強いや。流石はレインのパートナーだよ。ごめんね、嘘でもあんなこと言って」

 

「やっぱり、嘘だったんだ。戦い方に慢心があるように見えなかったし、容赦なくOSSも使ってきたから、おかしいと思ったんだ」

 

「あはははは、バレてたか」

 

頭を掻き、ユウキは照れる。

 

「………レインのこと、好きなんだよね?」

 

シリカはユウキの心を見透かすかのように聞く。

 

「……うん」

 

「…………好きになったものはしょうがないよね。別にユウキは悪くないよ。でも、その逆だったら、レインには容赦しないけどね」

 

「あ、あはははは」

 

シリカの黒い笑みに、ユウキは乾いた笑い声を上げる。

 

「………シリカ」

 

「何?」

 

「明日、レインに告白すること許して下さい」

 

「いいよ」

 

「って、軽っ!?」

 

軽くOKを出したので、ユウキは思わずツッコム。

 

「やっぱさ、そういう感情は隠しておくのは辛いと思うんだ。だから、言って楽になるんだったら、その方がいいでしょ。あたしは別に告白した位で、怒ったりしないし、仮にそれで付き合うことになったとしても、誰も責めない。まぁ、レインには少し怒るかな」

 

「……シリカ」

 

「でも、あたしはレインの事信じてる。絶対にあたしを捨てたりしないって」

 

「うわぁ、凄い自信だね」

 

「もちろん、信じてるからね」

 

そう言って互いに笑い合う。

 

「ありがとう、シリカ。いい勝負だった」

 

「今回は初めて見せる技ばかりだったから、勝てたんだよ。次は分からない。実際、あのOSSは危なかったよ、次は躱せないな」

 

「いやいや、シリカはとても強いよ。レインの傍にいるべきパートナーだ」

 

「ふふっ、ありがとう」

 

「じゃあ、またね」

 

「うん、また」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってことがあったんだ」

 

「シリカがユウキに勝ったのか!?」

 

と、以上がユウキから聞いた昨日の出来事らしい。

 

まさか、シリカがユウキに勝つとはな~。

 

「それにしても、二人の絆は凄いな~。ああ、もう、本当に悔しいや!」

 

ユウキは草原に寝転がりながら、空を仰ぐ。

 

「………ユウキ、デートしようぜ」

 

「……え?………ええ!?」

 

ユウキは飛び起きて、俺を見て来る。

 

顔が真っ赤だ。

 

「まぁ、なんだ。ちょっとした思い出づくりだよ。ユウキさえ良ければどうだ?」

 

「えっと…………いいの?」

 

「まぁ、シリカにバレたら怖いが………まぁ、いいだろ」

 

「……えっと、じゃあ、お願いします」

 

「おう。じゃあ、いつにするか………」

 

「明日はボク、倉橋先生と面談があるんだ。明後日は?」

 

「よし、明後日の午前十時にここの木で待ち合わせだ」

 

「うん!」

 

ユウキはこれ以上に無いぐらいの笑みを浮かべ、笑う。

 

ユウキに喜んでもらう為に、明後日のデートプランでも考えるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そのプランは結局は無駄になった。

 

次の日、倉橋先生から連絡が入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウキの容態が急変したと。




なんか………書いてて悲しくなってきた
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