「シリカ。そろそろ出るぞ。」
「ちょっと待って!!」
あれから時間が経ち2023年の3月最前線は27層。
今日も迷宮区攻略に向かう。
奥でまだ支度をしているシリカに声を掛ける。
VRMMOでも女は支度に時間がかかるんだな。
「お待たせ。行こう。」
「マッピングはどこまで進んだ?」
「だいだい8割ぐらいかな。
この調子なら今月中に27層を突破できそうだね。」
日も暮れてきたし今日の攻略を終え、町に戻る。
その時、茂みが動き、何かが飛び出してきた。
とっさに背中の両手剣の《ブラッドエッジ》に手を伸ばす。
しかし、茂みから出てきたのは
「か、可愛い~!!」
レアモンスターの《フェザーリドラ》だった。
出てきた《フェザーリドラ》にシリカは目を輝かせている。
「おいで~」
モンスターを野良猫かなんかと思ってんじゃないか?
そう思うもここで斬ったらシリカに怒られそうだし、
かといって相手はモンスターだし、放っておくのもな。
その時、《フェザーリドラ》が頭を下げた。
これは、テイムイベントだ。
「シリカ!!今すぐにフェザーリドラに何か与えろ!!」
「な、何かって何?」
「なんでもいい!!」
シリカは慌ててメニュー画面から1つの袋を出した。
袋の中身はナッツだ。
ナッツを与えると《フェザーリドラ》は食べ始めた。
食べ終えるとカーソルがイエローからグリーンに変わった。
「驚いたな。テイムに成功だ。」
「て、テイム?」
テイムとはモンスターを自分の使い魔にすることを指す。
そういう人たちをビーストテイマーと言う。
ただし、小型のモンスターでそのモンスターを殺してないことがイベント発生条件だ。
だが、イベントが発生しても、テイムするとき与えるエサがそのモンスターの
好物じゃなかったらテイムはできない。
βテスト時代にビーストテイマーの噂を聞いていたが、まさか、
この目で拝めるとはな。
ただただ感心する。
ビーストテイマーになると使い魔に名前が付けられ
ステータス画面に使い魔のステータスも追加される。
「名前は・・・ピナにしよう!!」
「ピナ?」
「現実で飼ってる猫の名前。
いい?今日からあなたはピナよ。」
「きゅる♪」
シリカの言葉にピナは嬉しそうに鳴いた。
あれから2週間。
シリカは《竜使いシリカ》として有名になった。
元々最年少の攻略組で数少ない女性プレイヤー
それだけでもシリカは十分有名だ。
更にビーストテイマーにもなれば知名度はかなり増しより有名になる。
最近では町を歩けばいろんなパーティーからのお誘いを受けるし
有力ギルド(血盟騎士団や聖竜連合など)からの勧誘も来る。
だが、シリカはそれを全て断っている。
俺とコンビを組んでいるからという理由で。
そんなことでシリカは知らないだろうがある噂が流れている。
俺がシリカの足枷になっているだの俺がシリカを縛り付けているだの
そういった噂だ。
まぁ、確かに俺なんて最年少の攻略組ってだけだし
名前だって知っているやつなんでいないだろうし、
普通のプレイヤーだからな。
別にそれに関してはいい。
ただ最近シリカが
「レイン。今日もピナと修行してくるから1人で攻略に行ってて。」
俺と出かけなくなった。
毎日ピナと2人(?)で修行にいき
夜は日が沈むまで修行をする。
今日もそういって出かけていった。
最初は気にしていなかったが2週間も続くと不安になる。
もしかしたら、別の男性プレイヤーとあっているんじゃないかとか
想像してしまう。
しかし、なんでこんな風に思うのだろう?
まったく謎だ。
まぁ、別にシリカがどこで誰に会ってようと俺には関係ないか。
・・・・・関係ないよね?
~~~~~~~~~~妄想~~~~~~~~~~
『やぁ、シリカちゃん。待ったかい。』(爽やかイケメンプレイヤー)
『いいえ。全然待ってませんよ。』(見たこともない笑顔)
『そういえば、パートナーのあの子は?』
『もちろん、適当に言っときましたよ。
というより、もうアイツとのコンビ解消したいんですよね。』
『なら、僕のパートナーになってよ。
もちろん、人生のパートナーとしても』
『はい。喜んで。』
~~~~~~~~~~妄想終了~~~~~~~~~~
「ふんが――――――――――!!」
最悪だ―――――――!!
最悪だ!最悪のシチュエーションを思い浮かべてしまった!
そんなことが起こるなんて有り得ない!
絶対有り得ない!
多分・・・有り得ない。
有ってほしくない・・・・・・・・・
あれ?なんだろ?
悲しくないのに涙が出てきたぞ。
迷宮区に行く道の森で体育座りをはじめた。
レインSIDE END
シリカSIDE
第25層 ひだまりの丘
「せやぁぁぁぁ!」
右に持った短剣で目の前のモンスターを斬る。
「ピナ!バブルブレス!」
ピナに指示を出しモンスターにダメージとスタン効果を与える。
モンスターがスタンした瞬間
《サイクロン・サーキュラー》をだし、残りのHPを奪う。
「ピナ。少し休憩にしよう。」
「きゅる。」
近くの木陰に座りアイテムショップで買った水を取り出し飲む。
ピナは私の膝の上に座り休憩に入った。
ピナが仲間になってから私はずっとここでピナと修行に励んでいる。
ピナはHP回復Lv2(ヒーリングブレス)と命中率ダウンLv3(バブルブレス)が使えるようになった。
ピナとの友好度も高くなりピナとな連携はバッチリだ。
「これで、少しは強くなったのかな・・・」
今まであたしはレインに守られ続けられていた。
それが、嫌だとは思はないし、むしろ、嬉しさを感じる。
でも、それだとダメだ。
あたしは、レインのパートナーになりたいんだ。
コンビを組んだあの日あたしもレインを守るとか言っていたのに
今だにそれができてない。
だから、ビーストテイマーになれたとき私はこれなら更に強くなれると思った。
だから、今こうしてピナとの修行に励んている。
少しでも、レインと同じ場所に居たい。
レインの傍に居たい。
だがら、頑張る。
「休憩終わり。ピナ。もうひと踏ん張りだよ。」
「きゅる。」
シリカSIDE END
レインSIDE
あれから5時間。
結局あの後もいろんな妄想が飛び交い攻略どころではなかった。
今日はもう帰ろう。
立ち上がりよろよろと歩きだす。
その時、近くにモンスターの気配(?)を感じたので索敵スキルで調べた。
すると、現れたのは《ファントムフォックス》だった。
《ファントムフォックス》は《フェザーリドラ》並みにレアで滅多には現れない。
「俺もこいつを使い魔にできたらな。」
なんて、そう簡単に起きないテイムイベントを期待するが、
そんなこと起きるわけが・・・・・《ファントムフォックス》が頭を下げた。
嘘・・・テイムイベントだ。
マジかよ!?
よっしゃー!!
おっと、落ち着け。
ここで選択をミスしたら厄介だ。
慎重にあげるエサを・・・・・・・魔獣の肉しかねぇぇぇぇ。
くそっ!こうなりゃ、自棄だ!どうにでもなれ!
魔獣の肉を放り投げしばらく観察をする。
《ファントムフォックス》は肉の匂いを嗅ぐといきなり齧りついた。
全て平らげるとカーソルがイエローからグリーンになった。
・・・成功だ。
「よっしゃ――――!!」
テイムに成功した。
まさか成功するとはな。
そうだ。
名前を付けないと。
そうだな~~~~~~~~、よし!
「お前は今日からフィーだ!!いいか?」
「ふぃー♪」
これでもう誰にも文句は言わせない。
なぜなら、俺もビーストテイマーだからな!!
次回は月夜の黒猫団編になります。