二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第3話 妖精達の戦闘

「うおっ!?」

 

森の中に落下した俺は、軽い悲鳴を上げる。

 

「イテテッ」

 

腰を押さえながら立ち上がり、辺りを見渡す。

 

その時、足元を何かが纏わりつくように何かが擦り寄ってくる。

 

見て見ると、そこにはフィーが居た。

 

「フィー!」

 

「ふぃー♪」

 

フィーは俺の身体をするすると上り、肩の定位置に座る。

 

フィーの頭を撫でながら辺りを見渡す。

 

「ケットシーのホームタウン………じゃないよな」

 

「ふぃー」

 

どうみても、森の中だ。

 

俺の問いにフィーが答えるように鳴く。

 

でも、どうしてここに来たんだ?

 

「そうだ、ログアウトボタンは……」

 

アナウンスで聞いた通りに左手を振り、メニューウィンドウを出す。

 

メニューを操作し、一番下に《Log Out》のボタンを見つける。

 

「あった」

 

安堵の溜息を付き、試しに押してみる。

 

すると、フィールドでは即時ログアウトはできませんと表示が出てイエス、ノーの表示が出た。

 

ノーを押し、今度はステータスを覗く。

 

「え?」

 

思わず口から短い言葉が漏れた。

 

其処にはレインの名前の下にケットシーなる種族名、HPとMPがあり、それぞれ400と80と初期設定だ。

 

ここまではいい。

 

だが、その下にある取得スキル欄には複数のスキルが入っていた。

 

《両手剣》《刀》《索敵》《体術》《投剣》《隠蔽》といった戦闘系スキルから、《釣り》などの生活系スキルがあった。

 

しかも《両手剣》は完全習得されていて、他のスキルは800~900代になっている。

 

「一体どういうことだ?」

 

バグか?

 

でも、この数値どっかで見たことが………

 

《両手剣》1000……《刀》850……《投剣》874……《体術》957……《索敵》971……《釣り》763……

 

「……SAOと同じ」

 

この数値は全部俺がSAOで習得していたスキルの熟練度と同じだ。

 

いくつか欠損しているスキルもあるけど、確かに俺が習得していたスキルだ。

 

「どうなってる?ここはSAOの中なのか?」

 

不安を抱き、今度はアイテムウィンドウを出す。

 

そこには漢字やアルファベット、数字の羅列が並んでいた。

 

「うわ、文字化けしてる」

 

多分、これはSAOで俺が使っていたアイテムだ。

 

この中にシリカやユウナとの思い出のアイテムもあっただろう………

 

そう思うと少し悲しい。

 

あっても邪魔になるだけだし、アイテムタブの容量の事もあるのですべて破棄した。

 

これで、持ってるのは初期装備の防具と短剣だけか。

 

《短剣スキル》なんって上げる以前に取得すらしてない。

 

所持金は……………十万ユルドって………所持金までおかしくなってる。

 

なんかビーターみたいだな…………βテストは受けてないからただのチーターか……

 

その時、背後で何かが落ちて来る音と草が揺れる音が聞こえた。

 

反射的に腰の短剣を抜き、後ろを振り向くとそこには黒い服を着たプレイヤーが顔面を地面に着け倒れていた。

 

いや、倒れてるっと言うより、犬神家のような感じになっている。

 

「イテテ……やっぱ飛行は難しそうだな」

 

「大丈夫ですか?パパ」

 

地面に立つプレイヤーの傍で小さな妖精が心配そうにする。

 

ん?パパ?

 

それとあの妖精、誰かに似てる…………あっ

 

「ユイちゃん?」

 

「え?」

 

「ん?」

 

SAOで出会った、メンタルカウンセリングプログラムにして、キリトさんとアスナさんの娘の名前を言うと、二人はこちらを向く。

 

「このIDは……レインさんです!」

 

「おぉ!レインか!」

 

「まさか、キリトさん?」

 

「やっぱりレインか!合流出来てよかったぜ」

 

キリトさんは俺の肩を叩きながら喜び出す。

 

「ちょ、キリトさん!落ち着いてください!」

 

なんとか叩かせるのを止めて、落ち着かせる。

 

「そうだ。キリトさん、いくつか無くなっているんですが俺のスキルが異常なんです」

 

「ああ、スキル熟練度がSAOと同じなんだろ」

 

「じゃあ、もしかしてキリトさんも」

 

「簡単に説明するとALOはSAOのサーバーのコピーなんだ。それで、セーブ・データのフォーマットがほぼ同じだからSAOと共通するスキルの熟練度は引き継がれるそうだ」

 

キリトさんの説明に納得したあと、俺はあることを思い出した。

 

「そう言えば、さっきどうして上から落ちてきたんんですか?」

 

「あ、ああ……ちょっと着陸に失敗してな」

 

キリトさんは気まずそうに笑いながら言う。

 

「あ、そう言えば飛べるんでしたよね」

 

そう思い、背中を肩越しに見ると、其処には翅があった。

 

「飛び方は二種類あって、一つは補助コントローラーによる操作と、随意飛行って言う飛び方があります」

 

ユイちゃんの説明を聞き、俺は少し考えた。

 

随意ってことはコントローラー無しで跳べることだよな。

 

「よし」

 

小声で呟き、俺は目を閉じる。

 

ただイメージするだけじゃダメな気がする。

 

そう言えば、ピナは翼で跳ぶとき、少し背中を内側に収縮してたよな。

 

それを思い出し、動かしてみると、わずかに体が浮いたが、すぐに翅は動きを止めて、地面に降りてしまう。

 

その感覚を忘れないうちにもう一度動かすと、今度は高く浮いた。

 

「やった!出来た!」

 

今度は翅の動きが止まることは無く、飛ぶことが出来た。

 

「おお………レインがコントローラー無しに飛べてる」

 

キリトさんは若干ショックを受けて、驚いている。

 

「と、所でキリトさん。これからどうするんですか?」

 

「ああ、取りあえずここから一番近くの《スイルベーン》って街に行くつもりだ。場所は西の方角」

 

西の方を指差し、キリトさんは言う。

 

「じゃあ、その町に行きましょう」

 

「ああ。ユイ、ナビを頼む」

 

「了解です。……あ!」

 

行き成りユイちゃんが声を上げる。

 

「どうした?」

 

「プレイヤーが近づいてきます。三人が一人を追っているようですが……」

 

「おお、戦闘中か?見に行こうぜ」

 

「そうですね。ALOの戦闘も一度は見といた方がいいですし、行きましょう」

 

翅を広げ、ユイちゃんの指示した方向に向かって俺とキリトさんは飛ぶ。

 

しばらく飛ぶと開けた場所に着いた。

 

そこでは、一人の女性が重装備のプレイヤー三人に襲われているところだった。

 

すると、キリトさんは急降下し、四人が居る広場に降り立つ。

 

また犬神家のような恰好で。

 

「うう、いてて……。着陸がミソだなこれは……」

 

本当は見物だけの予定だったが、キリトさんも降りちゃったし、俺も降りる。

 

ま、女性が襲われてるのに助けないなんて、シリカに知られたら御説教だしな。

 

ゆっくりと、降下し、地面に降り立つ。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ま、まぁな」

 

俺達のやり取りに四人は固まっていたが、女性の方が慌てて声を上げる。

 

「何してるの!早く逃げて!!」

 

まぁ、初期装備のプレイヤー二人がこんな所に居たらそういう反応は当たり前だろう。

 

だが、キリトさんはそんな親切な言葉を無視して重戦士たちに声を掛ける。

 

「重戦士三人で女の子一人を襲うのはちょっとカッコよくないなぁ」

 

「何だとテメエ!!」

 

「初期装備でノコノコ出てきやがって馬鹿じゃねぇのか。望みどおりついでに狩ってやるよ!」

 

二人の重戦士はランスと両手剣を構え、キリトさんに狙いを付ける。

 

そして、ランスを持った重戦士はキリトさん目掛け突進する。

 

女性は目を瞑り、キリトさんがランスに突き刺されるのを見ないようにする。

 

だが、キリトさんは片手一本でランスの先を掴み、防いだ。

 

「なっ!?」

 

重戦士は驚いているが、すぐに両手剣を装備した重戦士がキリトさんに向かって横から斬り掛かる。

 

俺はすぐに間に割り込み、両手剣を持った手を掴み、防ぐ。

 

「二対一は………卑怯ですよ!」

 

両手剣の重戦士を投げ飛ばすと、キリトさんもランスの重戦士を投げ飛ばし二人は空中でぶつかり合い、地面に落ちる。

 

その時、両手剣を持っていたプレイヤーが両手剣を落とした。

 

自分の武器を落とすなんて、戦士失格だな。

 

「えっと、その人たち、斬ってもいいのかな?」

 

キリトさんは肩を回しながら、女性に聞く。

 

「……そりゃいいんじゃないかしら……。少なくとも先方はそのつもりだと思うけど……」

 

「じゃあ失礼して……」

 

キリトさんは背中の片手剣を抜き、だらり垂らす。

 

左足を一歩前に出す。

 

そして、次の瞬間には重戦士二人の後ろに居た。

 

「き……消えた?」

 

一人がそう呟いた瞬間

 

「ぐあああああ!?」

 

悲鳴を上げ、身体が炎に包まれ、小さな炎になった。

 

「う……嘘だろ?」

 

両手剣を持っていた男は、初心者でしかも初期装備の片手剣を持ったプレイヤーに重装備のプレイヤーが一撃でやられたことに驚愕する。

 

俺は。落ちた両手剣を掴み構える。

 

そして、一気に走り出す。

 

「余所見はいけませんよ」

 

重戦士にそう声掛けると、一気に両手剣を振り上げる。

 

「ケットシーが……両手剣を………そんな……バカな」

 

そう呟き終ると同時に、そのプレイヤーも赤い炎に包まれ小さな炎になった。

 

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