二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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いまさらですが、プログレッシブver投稿しました。

よければ見てください。


第4話 囚われの少女

「どうする?あんたも戦うか?」

 

二人を倒し終わるとキリトさんはリーダー格と思われる人に尋ねる。

 

「………やめとくよ。もうすぐで魔法スキルが900なんだ。死亡罰則(デスぺナ)が惜しい」

 

「正直な人だな。………そちらのお姉さんはどう?彼と戦いたいなら邪魔はしないけど」

 

「あたしもいいわ。でも、今度は勝つわよ」

 

「正直、君ともタイマンで勝てる気はしないな」

 

そう言うと、羽根を広げ飛び立つ。

 

「ねぇ、この炎は?」

 

キリトさんは傍に残ってる小さな炎が気になり女の人に尋ねる。

 

「静かに。それはリメンライト。連中の意識はまだそこにあるわ」

 

そう言われ暫く黙っていると、炎は消滅し消えた。

 

「さて、私はどうすればいいの?お礼を言えばいいの?逃げればいいの?それとも戦う?」

 

剣をこちらに向け掛かってくるなら来い!とでも言いたげな目をする。

 

そんな女性にキリトさんは冷静に剣を背中の鞘に戻し、腕を組む。

 

「俺的には聖なる騎士がお姫様を悪党から助けたって場面なんだけど」

 

「はっ?」

 

「涙ながらに抱き付いて来るとか?」

 

「ばかじゃないの!」

 

「ははは!冗談冗談!」

 

平常運転なキリトさんを見ながら俺は先程拾った両手剣を振り回す。

 

……いい両手剣だな。

 

でも、《エクソロサイス》や《黒楼秋水》には敵わないな。

 

ま、折角だし貰っておこう。

 

初期装備の短剣を外し、代わりに手に入れた両手剣を装備する。

 

背中に心地よい重さを感じ、少し安心感が湧いた。

 

「おーい!レイン!」

 

「ん?どうしました?」

 

「お前も自己紹介しろ!」

 

どうやら俺が一人で色々やってる間に向うは向うで片付いたようだ。

 

「どうも、俺はレインです。よろしくお願いします」

 

「私はリーファよ。キリト君にも言ったけど助けてくれてありがとう」

 

リーファさんと握手をし、自己紹介を終える。

 

「この後暇?もし良かったらお礼も兼ねて一杯奢るけど」

 

「俺はいいですよ。情報とかも欲しいので」

 

「そうだな。特にあの樹について」

 

「樹?世界樹の事?」

 

俺とキリトさんは頷き、リーファさんを見る。

 

「いいわ。こう見えて私結構古参なんだ」

 

古参ならそれは頼もしいな。

 

「それじゃあ、ちょっと遠いけど北の方に中立の村があるから、そこまで飛びましょ?」

 

「あれ?スイルベーンって街の方が近いんじゃ?」

 

キリトさんの言葉にリーファさんは呆れたような顔をする。

 

「あのね、分かってる?あそこはシルフ領よ」

 

「だから?」

 

「……だから、街の圏内じゃ、君はシルフを攻撃できないけど、その逆はアリなの」

 

てことは、俺も危ない?

 

「まぁ、ケットシーは昔から親交もあるし問題ないけど」

 

それって俺は大丈夫だけど、キリトさんは駄目かもしれないってこと?

 

「でも、皆がそう言うわけじゃないだろ?リーファさんもいるしさ」

 

「……はぁ、リーファでいいわ。其処まで言うならいいけど、命の保証まで出来ないわよ」

 

そう言うとリーファさんは背中からは翅を出す。

 

「あれ?リーファは補助コントローラーなしで飛べるのか?」

 

「ええ、君たちは?」

 

「ちょっと前に、コイツの使い方を覚えたとこさ」

 

「俺は飛べますよ」

 

「へぇ~。レイン君って凄いね。初めてすぐに随意飛行ができる人ってそうそういないわよ」

 

そう言いながらリーファさんはキリトさんの後ろに回る。

 

「ねぇ、ユイちゃん」

 

「はい?」

 

リーファさんがキリトさんを指導してる間にユイちゃんに話しかける。

 

「ALOではユイちゃんってどんな役割なの?」

 

SAOで、ユイちゃんはメンタルヘルス・カウンセリングプログラムという役割だった。

 

「この世界では私はナビゲーション・ピクシーと言う立場にあります。プレイヤーの補足、フィールドのナビと言ったことが出来ます」

 

へ~、結構便利なんだな。

 

そう思い、キリトさんたちの様子を見ようと前を向く。

 

「うわあああぁぁぁぁぁぁ――」

 

キリトさんがロケットのように真上へと飛び出した。

 

そして、キリトさんの体は小さくなった。

 

「「「………………」」」

 

俺、リーファさん、ユイちゃんは暫し目を合わせ、沈黙する。

 

「やばっ!」

 

「パパ!」

 

「キリトさん!」

 

慌てて飛び出しキリトさんの後を追う。

 

森を抜け夜空を見渡すと月に影を移しながらふらふら動く姿を見つけた。

 

「わあああああああああああ………止めてくれええええええええ!」

 

情けない悲鳴が空に響く。

 

その様子を見ながら俺たちは目を合わせる。

 

そして、同時に吹き出した。

 

「あははははははははは」

 

「ごめんなさい、パパ。おもしろいです~~」

 

「あははは、キリトさん、面白いですよ」

 

三人でお腹を抱えて笑う。

 

笑いが収まったかと思うと、またキリトさんの悲鳴が聞こえ、笑いだす。

 

それから十分経つと、キリトさんは見事に随意飛行をマスターし、旋回やターンもできるようになっていた。

 

「おお、これは凄い」

 

キリトさんは空を飛ぶ気持ちよさを知り、嬉しそうな声を上げる。

 

「それじゃあ、スイルベーンまで飛ぼっか。ついてきて」

 

そして、リーファさんを先頭に俺たちはスイルベーンを目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日で何日目かな……」

 

装飾が何一つされてない殺風景な部屋。

 

石造りの床と壁。

 

時折聞こえる水滴が垂れて落ちる音。

 

その部屋にあたしは一人で監禁されている。

 

両腕には手枷が付けられ、手枷に付いている鎖によって私は宙に吊らされている。

 

身体は猫の様に伸びている。

 

その時、部屋の扉が開かれた。

 

入って来たのは頭に草で出来た冠を載せ白い布を右肩に掛けみに纏っている男だった。

 

この男の名はロビン・グッドフェロー。通称ロビンと言うらしい。

 

だが、その正体はSAOでレインが殺したはずのスバルだ。

 

生きていたと知ったときは流石に驚いた。

 

今のスバルの恰好は、耳がエルフの様にとんがっていて、顔はイケメンと言えるぐらいに整っているが、浮かべている笑顔と纏っている衣服の性ですべて台無しになっている。

 

「あれじゃあ、ただの変態じゃん」

 

その瞬間、スバルはあたしの顔を殴りつける。

 

「おい、あんまり俺を馬鹿にすんじゃねぇぞ。小娘」

 

「あ、すいません。声に出てましたか?思った事はつい言ってしまうんですよね」

 

そう言うと、また殴られる。

 

「身動きの取れない女の子を殴って楽しいですか?それとも、こうでもしないと殴れないの?弱虫」

 

今度はお腹を立て続けに殴られ、振り上げるように顔を殴る。

 

「ふん!随分、耐えるじゃないか。え゛?」

 

「貴方のへなちょこパンチなんて、痛くも痒くもないです」

 

「なら、これはどうだ?」

 

右手でウィンドウを開き、何かのメーターを調整する。

 

すると、あたしの身体に激痛が走る。

 

「ぐっ………!」

 

痛みに顔を顰める。

 

すると、スバルは嫌らしい笑みを浮かべる。

 

「ほら、痛いだろ。泣けよ、喚けよ!無様な姿を俺の前に出しな!」

 

まるで、相手を暴力で屈服させるのが好きと言わんばかりに叫ぶ。

 

例え、死んでもこんな奴の前で泣くもんか!

 

「……たれ」

 

「……あ゛?」

 

「くそったれ、変態妖精」

 

歯を食いしばりながら声を絞り出す。

 

スバルは顔に怒りの表情を出し、再び拳を握ろうとする。

 

が、すぐに拳を解いた。

 

「ふん、いいさ。どうせお前は一生ここからは出られないんだ」

 

「そんなことない。絶対助けは来ます」

 

「ふ~ん、誰が来るんだ?もしかして、レインの奴か?」

 

レイン。

 

あたしの大切な人で、あたしの大好きな人の名。

 

その名前にあたしは一瞬、目を見開く。

 

その様子を見て、男は一層笑みを強くする。

 

「先日、あいつと会ったんだよ。現実でな。そん時、教えてやったんだよ。お前の命は俺が握っていることをな。そしたら、アイツ、絶望しきった顔してたぜ。今までで一番の表情だった。ヒッヒッヒッヒッヒッヒ!」

 

気味の悪い笑い声が聞こえた。

 

「賭けてもいいが、あの小僧にナーヴギアはおろか、アミュスフィアすら被る勇気はねぇよ。なんせ、二年間もあの狂った世界に居たんだ。誰だってもう被る気なんて起きないしな。ま、それでも被る凄い奴はいるけどな。この、俺とかな!」

 

スバルはさぞ愉快と言いたげに、あたしの周りを動く。

 

「なぁ?今どんな気分だ?信じてた奴が助けに来ないって分かったんだぜ。教えてくれよ?」

 

あたしは、目を伏せ、俯いた。

 

肩が震える。

 

今、顔を上げたくない。

 

こいつにこんな顔を見せたくない。

 

「今日はこの事を報告に来ただけだ。いやー、表情は分からなかったが、お前が絶望してくれたようで嬉しいぜ。じゃ、また来るぜ」

 

そう言って、スバルは部屋から出ていく。

 

足音がどんどん遠ざかり、消えた。

 

とうとう声を出した。

 

「フフッ」

 

口から笑いが零れた。

 

ゆっくりと顔を上げる。

 

おそらく今のあたしの顔は凄い笑顔のはずだ。

 

レインが…………生きている!

 

その情報だけであたしは十分だ。

 

元々、こんな所から逃げ出すつもりではいたけど、今の情報でより一層やる気が湧いた。

 

あれで、あたしを絶望させられると思ったのかな?

 

大間違いだね。

 

そう思いながら、あたしは懸垂をする。

 

そして、手の中に隠し持っていた柄の付いてない小さいナイフを出す。

 

このナイフはこの前、スバルがあたしを拷問した時に使った物だ。

 

その時こっそり一本だけ掠めとり、手に隠し持っていた。

 

この世界はVR空間だ。

 

この前試したが、この手枷は破壊不能オブジェクトじゃない。

 

ダメージを与えたら耐久値が減る。

 

ナイフを口に咥え、懸垂の体勢のまま、手枷を斬りつける。

 

何度も、何度も…………

 

耐久値を全て削るのにどれだけ時間がかかるか分からない。

 

でも、今あたしにできることはこれだけ。

 

信じよう。

 

レインなら、必ず助けに来る。

 

レインは、あの程度で諦めたりするやつじゃない。

 

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