主人公少ししか出ません。
では、どうぞ。
俺は何をしているんだ?
あの日、ビーターとしてソロでやっていくつもりだった。
なのにどうしてこうなった?
「それでは、我ら《月夜の黒猫団》に乾杯!」
『乾杯』
「・・・乾杯」
俺は今日、偶然下層に降りて必要な素材やアイテムを取っていた。
下層なので楽に素材が手に入り最前線に戻ろうとした時、
このギルドに出会った。
パーティー構成が槍使いが2人に棍使いが1人、短剣使い1人、メイス使い1人で
前衛ができるのが1人しかいない。
組み合わせが悪い。
モンスター達に囲まれていて危険な状態だった。
助ける気はなかったが目の前で死なれるのも後味が悪いので助けてやった。
助けた後、彼らはお礼を言ってきた。
その後、出口まで一緒についていき今こうして同じテーブルで食事を取っている。
「今日は助けてくれてありがとな。」
「サンキュー。」
「ありがとう。本当にありがとう。」
お礼の言葉を言われて少し照れくさい。
「あの~、キリトさん。失礼ですかレベルの方はいくつぐらいなんですか?」
棍使いでこのギルドのリーダーのケイタがそんな質問をしてきた。
本来ステータスの情報を聞くのはマナ―違反なのだが、俺は彼らにレベルを教えた。
「20ぐらいかな」
本来のレベルよりも20ぐらい低いレベルを。
「すごいですね。そのレベルでソロだなんて。」
「敬語は止してくれ。それにソロって言っても
効率は悪い。」
そういうとケイタは敬語を止めた。
「そうか。それじゃあ、キリト。もしよかったらウチのギルドに入らないか?」
その言葉に俺は一瞬喜びを感じた。
ビーターの俺にそんな言葉が嬉しく思えた。
「僕たちのパーティー前衛ができるのがメイス使いのテツオだけで、
前衛が危ないんだよ。それで、コイツ、サチっていうんだけど槍から盾持ちの片手剣に
変更させようと思ってるんだ。でも、勝手がわからなくてさ、キリトが入ってサチに片手剣の使い方を教えてくれれば、前衛が3人になってかなり戦いやすくなると思うんだ。
コーチお願いできないかな?」
「なによ、人をみそっかすみたいに。
今まで後ろも方で槍で突っついてるだけだったのに
いきなり前に出るなんでおっかないよ。」
そういってサチは文句を言う。
そんなサチに皆は笑い、謝る。
とても暖かい。
アットホームな感じがとても心地よく俺は思わず頷いてしまった。
「それじゃあ、仲間に入れてもらおうかな。」
皆は俺を喜んで迎えてくれた。
ビーターの俺を。
それから約1ヵ月がたった。
《月夜の黒猫団》は徐々に力を上げ最前線の7層分下でも十分に戦えるまでになった。
ただ、サチはいまだに怯えている。
片手剣の熟練度もそれなりに上がり、レベルも安全マージンをしっかりとってある。
それでも、モンスター相手に怯えてしまう。
こればっかりは、どうしようもない。
今日の狩りを終えるとケイタは皆を宿の部屋に集めた。
「実は、今日の狩りでなんと20万コル貯まりました。
それで、僕たちのギルドホームを買おうと思うんだが、どうだ?」
「おぉ、いいじゃねーか!!」
「いいね!いいね!」
家を買う話で皆は大盛り上がりだ。
やっぱり、この雰囲気はいいな。
「なぁ、サチの装備を整えるのは?」
ササマルがそう提案してきた。
「え?別にいいよ。」
サチが少しか弱そうに言う。
「遠慮すんなって。」
「いつまでもキリトに前衛任せるわけにはいかないだろ。」
「でも・・・」
そういうサチの顔は明らかに曇っていた。
話し合いの末、結局ギルドホームを買うことになった。
皆が寝静まった頃を見計らい俺は宿を抜け出し最前線へ向かった。
俺は何をしているんだ?
《月夜の黒猫団》のレベルは上がっていて攻略組入りするのは時間の問題だ。
俺はこうして毎晩最前線に行きレベルを上げている。
皆とのレベルの差が縮まらないように。
弱者を守る強者であるために縮まらないようにしているみたいだ。
・・・・最低だな。
適当にレベルを上げ宿に戻る。
途中クラインにあった。
クラインはSAOの正式サービスが開始したときに知り合い、
初日を一緒に行動した。
その後デスゲームになった後、俺はクラインを連れて次の町に行こうと言うと
クラインは《はじまりの町》に居る友達を放ってはおけないと言って
町に残った。
今ではギルド《風林火山》のリーダーを務め、メンバーを攻略組にまでした。
クラインは俺にできなかったことを成し遂げた。
正直すごい。
クラインと適当に話、最前線の層の転移門まで歩く。
そこで、俺はまた、知った顔と見かけた。
「あ~、もう疲れた。」
「今日は結構、はりっきてレベル上げしたからな。
これなら当分はレベル上げしなくても大丈夫だろ。
少なくともこの層が攻略されるまでは上げなくてもいいな。」
「ならさ、明日、少し下層に降りない?少し気になるクエストをみつけたんだ。」
「へぇ~、それは見てみたいな。よし、そうするか。」
レインとシリカだった。
レインは現実での数少ない友人だ。
SAOのβテストの時に知り合い、その後、現実であった。
あの時は、年下だとは思わなくて驚いた。
アイツも、ディアベル同様、誰かを守ろうとしている。
それが、シリカだ。
シリカは初心者で女の子なのに攻略組の最年少プレイヤーで有名で、
更には、ビーストテイマーでもある。
そして、レインもまたビーストテイマーである。
アインクラットで2人の名を知らない者はいないだろう。
2人が居なくなった後、転移門に向かい、皆がいる層に戻った。
戻った時、ケイタからメッセージが届いた。
『サチが宿から居なくなった。
僕たちは迷宮区の方を探してみる。
キリトも探して見てくれ。』
ケイタからのメッセージを見て、索敵スキルから《追跡》を発動し、サチを探した。
サチは町の中に居た。
最近手に入れた隠蔽能力付きのマントを羽織うずくまっていた。
「サチ。」
「キリト!?ど、どうしてここか?」
「カン・・・かな。」
本当のことを言えるわけもないのでそういって誤魔化す。
「そっか。」
「隣・・いいか?」
サチに聞くとサチは頷いた。
サチの隣(と言っても間はかなり空いている)に座り話しかけた。
「一緒に戻ろう。皆、心配してるよ。」
俺の言葉にサチは何も言わない。
1分か2分そうしているとサチが口を開いた。
「キリト。一緒に逃げよう。」
「逃げるって何から?」
「モンスターから、ギルドの皆から、・・・・この世界から。」
その言葉に冷や汗が出た。
「それって、心中か?」
「はは・・・それもいいかもね。・・・ゴメン。嘘。
死ぬ覚悟があるならここにいないよ。
・・・・・・・・最近、死ぬのが怖くて寝れないんだ。
どうして、こうなっちゃったのかな?
なんで、ゲームで死ななくちゃいけないの?
こんなことに何の意味があるの?」
サチは涙ながらにそう訴えた。
サチはずっと苦しんで怯えていたんだ。
だが、それを、仲間に打ち上げられずずっと隠してきた。
「サチ、ゴメン。
苦しんでいたのに、怯えていたのに、
気づいてあげられなくて・・・ゴメン。」
俺はサチに謝罪をした。
サチは驚いた顔をして俺を見ていた。
「キリトが謝る必要は無いよ。
私の方こそゴメン。
宿から抜け出して、皆に迷惑かけて、こんな愚痴みたいなこと言って。
聞いてくれてありがとう。
戻ろう。」
サチが立ち上がる。
俺はサチの手掴んだ。
「キリト?」
「サチ。俺でよければいつでも愚痴に付き合う。
それに・・・サチが望むなら無理に剣士をしなくていい。
俺がサチの分まで頑張る。」
「・・・・ありがとう。キリト。
でも、もう少し頑張ってみるよ。
いつまでも、皆におんぶ抱っこじゃいけないから。
だから、これからもよろしくお願いします。キリト。」
サチはニッコリ笑いそう言ってくれた。
サチもどうやら強い心の持ち主のようだ。
絶対に死なせじゃいけない。
サチだけじゃない、ギルドのみんなも死なせちゃいけない。
絶対にだ。
「それじゃあ、行ってくるよ。・・・転移《はじまりの町》!!」
翌日、ケイタはギルドホームにする家を買いに行くために《はじまりの町》へ向かった。
「いよいよ、家を買うのか・・・」
「なんかさ、こういうのってなんか良くね?」
「おやじ臭いんだよ!」
ササマルとダッカ―がふざけあっていると、こんな提案がでた。
「なぁ、1つ上の層でさ、金稼がね?」
「おっ、いいな。」
「1つ上なら早く稼げそうだな。」
コルを稼ぐのはいいが、1つ上にあがるのはな・・・
「いつもの狩場でもいいだろ?」
「大丈夫だって、俺らのレベルなら行けるよ。」
そう言われ1つ上の層に上がることになった。
この1つ上の層はコルを稼ぐにはいいがトラップ多発地帯で慎重にいかないと行けない。
まぁ、いざって言うときは止めるか。
レベルも十分にあり、狩りは順調に進み、コルも目標金額に達し町に戻り
ギルドホームに使う家具を買うことになった。
しかし、帰り際に隠し扉をダッカ―が見つけた。
中にはトレジャーボックスがあり、ダッカ―がソレを開けた。
俺の声を聴かずに。
開けた瞬間にアラームが鳴り、隠し部屋の扉が閉まった。
壁が開き、中からモンスターが現れた。
数が多いっ!!
「皆!部屋の隅に移動だ!モンスターに背中を向けるな。
テツオとサチを前衛にダッカ―とササマルが支援だ!」
「キリトは!?」
「俺は、大丈夫だ!指示に従ってくれ!」
これをすれば俺が何者なのか確実にばれる。
それでも・・・俺はサチを・・・皆を・・・守る!!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
持っている剣にソードスキル《バーチカル・スクエア》を発動し、目の前のモンスターを
倒す。
硬直に入る瞬間に体術スキル《閃打》を使い、
その後ろのモンスターをノックバックさせる。
ソードスキルの硬直が解けると今度は《シャープネイル》を使い更にもう1体倒す。
キリトSIDE END
サチSIDE
キリト・・・すごい。
目の前のモンスターを《スラント》で斬り、ダッカ―がスイッチし、斬り刻む。
キリトの指示に従い私たちは部屋の隅で目の前のモンスターを相手に闘う。
キリトが殆ど引き付けてくれてるおかげで私たちは僅かなモンスターだけで
助かっている。
それより、あれだけのモンスターを相手に1人で戦えてるのがすごい。
やっぱり、キリトは強い。
その瞬間、モンスターがキリトの背後を取りキリトに殴りかかった。
「ぐぁっ!」
攻撃を食らいキリトのHPがイエローになった。
頭部に食らったから、かなりのダメージだったんだ。
頭で考える前に体が動いていた。
「せやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
最近、習得したソードスキル《バーチカル・アーク》を使いキリトの後ろのモンスターに
ダメージを与える。
「サチ!」
「キリト。しっかりして。絶対に皆で生きて帰ろう。」
サチSIDE END
キリトSIDE
サチが俺を守った。
死ぬのが怖くて怯えていたサチが自ら動いて闘っている。
はは、まったく、サチに頑張らせて攻略組の俺が頑張らないでどうする。
「あぁ、必ず帰ろう!!」
そう言って立ち上がる。
「た、助かった。」
トラップが発動してから30分。
なんとか、モンスターを全滅させ、トラップを解除した。
「み、皆・・・・無事なんだな。」
全員が無事だと分かり力が抜けた。
「早く町に戻ろう。」
「賛成」
全員で転移結晶を使い町に戻った。
・・・俺はその時、全員に本当のことを言うことにした。
「お前ら!!どこいってたんだ?心配したぞ。」
「悪い!悪い!1つ上の層に行ってたんだよ。
金稼ぎにな。」
みんなは今日、生きて帰れたことに喜びを感じている。
本当によかった。
だからこそ、俺は言う。
「皆、大事な話がある。」
俺はすべてを話した。
自分が攻略組であること、ビーターであること、今日行ったフィールドが
トラップ多発地帯であること。
「謝って許されることではないのはわかってる。
俺にできる償いなら何でもさせてくれ。
本当にゴメン。」
皆に頭を下げる。
皆は黙って俺の話を聞いてくれた。
「・・・知ってたよ。」
「えっ?」
サチがそう言ってきた。
「実は、キリトが毎晩起きて最前線に行ってたの皆知ってたんだ。
いつかの夜、キリトが1人で外に行くのを見て皆で後を付けたの。
ごめんね。」
う、嘘だろ!?
俺が気づかなかったってのにも驚くが
気づいてたのに言わなかったってのも驚きだ。
「言わなかったのは、もし、言ったらキリトが僕たちから離れてしまうと
思ったからなんだ。」
「本当にゴメンな。ずっと言わなくて。」
「今日のことだって俺がキリトの言うことを無視したから
なっちまったんだし、気にしないてくれよ。」
「今日だって、キリトのおかげで助かったんだし、
お互い悪かったってことでいいんじゃないかな。」
皆はとても優しい。
だからこそ、一緒にはいられない。
「ケイタ。例えケイタ達が許しても俺は自分のしたことが許せない。
だがら、俺は《月夜の黒猫団》を抜ける。」
俺の言った言葉に皆息を呑んだ。
「・・・・わかったよ。キリト。
脱退を認めるよ。」
ケイタが承諾をし、俺は、ギルドを抜けた。
最前線に戻り、また、ソロに戻る。
ただ、それだけのことだ。
「キリト。・・・お前はもう俺たちの一員じゃない。
でも、俺達の友達だ。
いつでも、遊びに来てくれ。」
「今度は最前線で会おうぜ。」
「いや、そこはボス戦にしようぜ。」
「今までありがとう。
これからも、よろしく。」
ケイタ、ササマル、ダッカ―、テツオ
「キリト。
私たちはいつまでも友達だよ。
次は、一緒に闘えるように頑張るから。
それまで、さようなら。」
サチ。
気が付くと俺は泣いていた。
俺はアインクラットに来て今日初めて泣いた。
みんなの暖かさに触れながら。
月夜の黒猫団
生存しました。
これからのかれらの活躍にご期待下さい。