暫く空を飛び、世界樹を目指していると《古森》エリアで羽根が生えた巨大な蜥蜴に襲われた。
フィーの支援のおかげもアリ、俺は2体倒した。
残りの3体の内2体をキリトさんは剣の一振りで倒した。
残りの1体はリーファさんがホーミング系の魔法を使い倒した。
そこで、俺たちの翅の限界が来たので、一度地面に降りることになった。
地面に降りるとキリトさんは体を伸ばしたり、肩を回したりした。
「疲れた?」
「いや、まだまだ」
「頑張るわね。でも、空の旅はここでおしまいよ」
「どうしてですか?」
「あれよ」
俺の質問にリーファさんは聳える山を指差す。
「あの山の高さが飛行限界高度を超えてるのよ。だから、山越えにはあの山にある洞窟を抜けないといけないのよ」
「洞窟って、長いのか?」
「かなり。途中で中立の鉱山都市があって休めるけど、二人はまだ今日は時間大丈夫?」
「えっと、リアルだと今は夜の7時か。俺は平気」
「俺も平気です」
「じゃあ、もうちょっと頑張ろう。ここで、ローテアウトしよっか」
聞きなれない言葉に俺は首を傾げる。
キリトさんも同じらしい。
「ローテアウトは、交代でログアウト休憩すること。中立地帯だから即落ち出来ないのよ」
「あ、だから、後退に落ちて、残った人が空っぽのアバターを守るんですね」
「そういうこと」
「なるほど、なら、先にリーファとレインからどうぞ。護衛は一人もいればいいだろ」
「ありがとうございます」
「じゃ、お言葉に甘えて。よろしくね」
そう言って俺とリーファさんはログアウトした。
ログアウトすると、俺はシャワーを浴びて、冷蔵庫から十秒で栄養の摂取が可能な飲むゼリーを呑んで、すぐにゲームに戻った。
「お、レイン。早かったな」
「ただいまです」
キリトさんは口に何かを加えて、寝転がっていた。
すると、リーファさんも戻って来た
「おお、リーファもお帰り」
「ただいま………キリト君、それ何?」
「出発前に雑貨屋で買ったんだ。スイルベーン特産だって」
「あたし、知らないわよ」
そう言うとキリトさんはリーファさんにそれを投げ渡した。
リーファさんは、躊躇いながらもその何かを咥える。
「じゃ、今度は俺が落ちるな」
キリトさんもログアウトした。
すると、キリトさんの胸ポケットからユイちゃんが出てきた。
「うわ!あなた、ご主人様がいなくても動けるの?」
「当然です。私は私ですから。それと、ご主人様じゃなくてパパです」
「そう言えば、どうしてパパって呼んでるの。まさか、キリト君がそう言う風に設定したの?」
まぁ…………そう考えても仕方がないか。
「………パパは私を助けてくれたんです。俺の子供だって。だからパパです」
「そ、そう………パパのこと、好き?」
「…………好きって、どういうことなのでしょう?」
なんか哲学的な問題だなぁ~。
「……いつでも、一緒に居たい、一緒に居るとどきどきわくわくする、そんな感じかな」
すると、リーファさんは心当たりでもあるのか、顔を赤くすると、急に首を横に振った。
「………リーファさん、大丈夫ですか?」
「どうしたんですか?」
「ななななんでもない!」
「何が何でもないんだ?」
「わっ!!」
キリトさんが休憩を終え、戻って来た。
「ただいま」
「お帰りなさい、パパ。今リーファさんと「わあ、何でもないって」
ユイちゃんの言葉をリーファさんは遮るように言葉をかぶせる。
「それより、キリト君、早かったね。ご飯とかは?」
「ああ、家族が作り置きしといてくれたから」
「よし、じゃあ、行こうか!」
リーファさんが翅を広げ、飛ぶ体勢に入る。
俺も飛ぼうと翅を広げる。
その時、キリトさんが腑に落ちないといった表情で後ろを振り向いた。
「どうしました?」
「いや、誰かに見られてる気が……ユイ、近くにプレイヤーの反応は?」
「いいえ、ありません」
「ひょっとしたら、トレーサーが付いてるのかも」
「トレーサー?」
「追跡魔法よ。大概ちっちゃい使い魔で術者に対象の位置を教えるの」
「解除は出来ないのか?」
「見付けられたら可能だけど、術者の魔法スキルによっては対象との間に摂れる距離も増えるから、この森だと見つけるのは無理かも」
「まぁ、気のせいだろう。それより、先を急ごう」
「うん」
頷き合い、空を飛び、洞窟の所まで向かった。
「ふんっ!」
警備をしていたプレイヤーを一気に締め上げ、その場で倒す。
幸いなことに、あたしのスキルはSAOの時のまま引き継がれていて、お陰で体術スキルのみでなんとか突破できてる。
「やっぱり短剣が無いと不便だな」
そう呟きながら、歩き出すと他とは違って豪華な造りになってる扉を見つけた。
手を当てると、扉は開かれた。
中を覗くと外の石造りの雰囲気と違って近代的な機械で埋め尽くされていた。
辺りを見渡しながら、歩き続けると、一つだけ妙な機械があった。
「これは………」
それを操作し、中のデータを見て、あたしは驚いた。
「これって…………あたしのSAOのプレイヤーのデータ!?」
それは紛れもなく、あたし自身のデータだった。
更に弄り続けると、下の方に、AVATARMAKINGと書かれた文字があった。