二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第9話 蝶の谷へ

サラマンダーの人との交渉の結果、いくつか分かったことがある。

 

俺たちを狙ってきたのはサラマンダーの上の人からの命令で、なんでも作戦の邪魔になるから攻撃を仕掛けてきたらしい。

 

そして今日、大人数の部隊が北に向かって飛んで行ったとのことだ。

 

世界樹攻略なのかと思ったが、どうやら違うらしい。

 

約束通り情報は貰ったので、サラマンダーの人には先ほどの戦闘でゲットしたアイテムとユルドを渡して、返した。

 

「ねぇ、さっき大暴れした悪魔ってキリト君なんだよね。」

 

「う~ん、たぶんね」

 

「たぶんって?」

 

「俺たまにあるんだよな。戦闘中にブチ切れて記憶が飛ぶことが」

 

ああ、そういえばそんな事もあったっけな。

 

懐かしいな~。

 

「うわ、怖っ!」

 

「でも、さっきのは何となく覚えてるよ。いわれるままに魔法を使ったら自分がえらく大きくなってさ。剣もなくなってたし、仕方ないから手づかみで」

 

「ぼりぼり齧ったりもしてましたよ」

 

「ああ、モンスター気分が味わえてちょっと楽しかったな」

 

「………ちなみに、味とかは?」

 

「焦げかけの焼肉のような風味と歯ごたえが」

 

「………やっぱいい。それ以上言わないで」

 

リーファさんが手を振っていうと、キリトさんはにやりと笑い、リーファさんの手をつかむ。

 

「えい!」

 

そう言って、リーファさんの手にかみついた。

 

「きゃあああああ!!」

 

そして、リーファさんの悲鳴と、キリトさんが引っ張叩く音が軽快よく響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ルグルー》に入ると、そこは《スイルベーン》と同じぐらいに綺麗な町だった。

 

「イテテッ」

 

キリトさんは頬に手形の赤いダメージエフェクトを付けて、痛がっている。

 

「さっきのはキリトさんがどう見ても悪いですよ」

 

「殺伐とした空気を和ませようかと思って」

 

そうであってもやり方を考えてください。

 

リーファさんはと言うと、店売りされてる武器を物色しながら笑顔になっていた。

 

その時、俺はあることを思いだした。

 

「リーファさん、そう言えばさっきメッセージが着てたんじゃ」

 

「あ、そうだった」

 

リーファさんがメッセージを送ろうとウインドウを操作すると声を上げた。

 

「あれ?落ちてる。寝ちゃったのかな」

 

「一度向うで確認取ったらどうだ?」

 

「うん、そうする。ちょっと落ちて確認してくるから待ってて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く互いにのんびりとリーファさんの帰りを待っている。

 

すると急にリーファさんが戻って来て立ち上がった。

 

「おかえり、リーファ」

 

「ごめん、二人とも」

 

帰ってくるなり急に謝りだした。

 

「あたし、急いで行かなきゃいけない用事ができちゃった、説明してる時間もなさそうなの。たぶん、ここにも帰ってこられないかもしれない」

 

「じゃあ、移動しながら話そう」

 

「え?」

 

「どっちにしろ、ここを出ないといけませんしね」

 

走りながらリーファさんの話を聞くとと、サラマンダーがシルフとケットシーの同盟を邪魔しようとしているとのことらしい。

 

「一つ聞いてもいいか?」

 

「どうぞ」

 

「サラマンダーがシルフとケットシーの領主を討った場合のメリットは?」

 

「まず、同盟を邪魔できる。それが、シルフ側から漏れた情報となれば、シルフとケットシーで戦争になるかもしれない。それと、領主館に蓄積されてる資金の三割を入手できる。そして、十日間街を占領して、自由に税金を掛けることが出来る」

 

「そんなことができるのか」

 

「…………これは、シルフ族の問題だから……これ以上君たちが付き合ってくれる理由はないよ……。この洞窟を出ればアルンまではもうすぐだし、多分会談場に行ったら生きて帰れないから、またスイルベーンから出直しで、何時間も無駄になるだろうしね。……ううん、もっと言えば……世界樹の上に行きたいって目標の為なら、君たちはサラマンダーに協力するべきだよ。この作戦が成功すれば、サラマンダーは十分以上の資金を手に入れて、万全の態勢で世界樹攻略に挑むと思うの。君たちの腕前なら傭兵として雇ってくれるかもしれない。だから、今君たちがここであたしを斬っても文句は言わない」

 

「………所詮はゲーム。殺したいから殺し、奪いたいから奪う。そんなことを言ってるやつを俺は知ってる。でも、仮想世界だからこそ守らなきゃけないものもある。この世界で欲望だけに身を任せれば、その代償は現実の人格へと還って行く。プレイヤーとキャラクターは一体なんだ。俺、リーファが好きだ。友達になりたいと思う。たとえどんな理由があっても、自分の利益のためにそういう相手を斬るようなことは、俺は、俺たちは絶対しない」

 

「キリトさんの言う通りです。それに、ここまで一緒に戦って来たじゃないですか。もう俺達は友達ですよ」

 

「二人とも………ありがとう」

 

「………っと、しまった。時間無駄にしちゃった。ユイ、走るからナビよろしく!」

 

「りょーかいです!」

 

「ちょっと手を拝借」

 

「え?」

 

そう言うと、キリトさんはリーファさんの手を取り一気に走り出す。

 

「うわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!?」

 

俺もすぐに走り出し、二人に続く。

 

全力で走り洞窟を進む。

 

途中大量のモンスターに数遇したが、すべて無視して突っ切る。

 

気が付けば後ろに沢山モンスターを引き攣れてる。

 

「出口だ!」

 

光が見え、全員一斉に外に飛び出す。

 

飛び出すと同時に翅を出し、飛ぶ。

 

「寿命が縮んだわよ!」

 

「時間短縮になっただろ」

 

「まったく…………あっ」

 

リーファさんの声を聴いて再び前を見るとそこには高くそびえる世界樹が見えた。

 

あそこに、アスナさんが…………

 

「……リーファさん、領主会談の場所はどこなんですか?」

 

「ええと、北西のあの山の奥。ケットシー領に繋がる《蝶の谷》の内陸側ので口で行われるそうよ」

 

「残り時間は?」

 

「………二十分」

 

「間に合ってくれ!」

 

俺たちはさらにスピードを上げて《蝶の谷》を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋で見付けた機械を操作し、あることを行った。

 

専門的なことは出来ないけど、簡単な操作ぐらいなら学校で習ったこととその応用である程度は出来る。

 

「これでよし」

 

後は時間が過ぎるのを待つだけ。

 

レインならきっと気付いてくれる。

 

「後はお願いね、あたし」

 

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