二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第17話 宿敵と殺人者

教会で暮らし始めた1週間がたった。

俺は教会にいる奴らと仲良くなった。

1人を除いて。

「どけよ」

「お前がどけ」

ギンだ。

1週間前、シリカを好きだということを認め俺はギンに宣言した。

「シリカは渡さない」と。

ギンは俺に「渡さなくて結構、奪ってやる」と言った.

それから、俺とギンは毎日顔を合わせると喧嘩をした。

と言っても口喧嘩だが。

今日は俺とシリカ、ケイン、ミナ、ユーリそして、ギンの6人でフィールドに狩りを行くことになった。

フィールドにつくとギンが効率よくするために2人1組になろうと言ってきた。

コイツ、シリカと2人きりになるつもりだ。

そのため、俺は素早くシリカの隣に移動した。

その同時にギンもシリカの隣に来やがった。

そして、現在、口喧嘩中。

「俺とシリカはコンビを組んでんだ。連携が取りやすいんだよ」

「いやいや、最近俺との連携がうまいんだよ。お前よりもな」

「はっ、少し一緒に狩りに行ったからっていい気になんなよ」

俺とギンが互いににらみ合いながら口喧嘩をしてる横でシリカたちが呆れている。

「どうすんのアレ?」

「ア、 アハハ」

「・・・・ギン」

「はぁ~~」

上からユーリ、ケイン、ミナ、シリカだ。

「じゃあ、くじで決めよ。それならレインもギンも文句ないだろ?」

ケインの提案に頷く。

即席のくじを作り引く。

そして、結果は

ケインとユーリ

シリカとギン

俺とミナ

そ、そんな。

ペアが決まるとギンは意気揚々にシリカと森の奥に行く。

アイツ、シリカに何かしたら殺す!

俺は怒りを抑えながらミナと森の奥に入る。

 

 

 

 

「死ね!」

愛用の両手剣を目の前のイノシシモンスターに叩き込む。

何回も何回も。

ストレスを発散するかのように。

26匹目を倒す。

次のモンスターを倒そうとするがミナが疲れたといったので休憩することにした。

「ねぇ、レイン君」

休憩中にミナが声を掛けてきた。

「レイン君はシリカちゃんが好きなの?」

その質問に思わずドキッとする。

まぁ、隠しても意味ないしシリカには内緒ってことで。

「あぁ、好きだ」

「そうか」

ミナはそれっきり黙る。

「私、ギンのことが好きなんだ」

急にミナが言ったことに俺は驚いた。

マジかよ?

「ギンは私を助けてくれたの。泣きじゃくってる私の手を引っ張って教会に連れてって

今日からここが俺達の家だって言ってくれたの。そして、いつも私が困ると助けてくれる。

とても優しいんだ。だから、好きになったの」

ミナの言葉に俺は納得した。

ギンは好きじゃないが、優しい奴だってのは分かる。

アイツは一度たりとも俺の外見を馬鹿にしなかった。

俺はアルビノで生まれた時から髪が白く、目が赤く、肌が白い。

幸い、今の治療技術のお陰で何不自由なく生活できていたが、小学校では俺のことを

苛める奴がいた。

でも、ギンは違う。

俺の外見を馬鹿にせず真っ向から向き合ってくれる。

出来るなら、別の出会い方をしたかった。

「そうか、応援するよ」

「ありがと」

もっとも応援するのは白黒はっきりつけてからだけど。

 

レインSIDE END

 

シリカSIDE

今、あたしはギン君と一緒に狩りをしてる。

教会での生活費は年長者が狩りをして稼ぐらしい。

「ギン君、右から来てるよ!」

「分かった!」

ギン君はソードスキル《バーチカル》を使いモンスターを倒す。

ていうか、さっきのモンスターはソードスキルを使わなくても片手剣で少し斬れば

倒せるのにわざわざソードスキルを使うなんでオーバーキルだ。

「少し休憩」

「おう!」

木の陰に座り休憩をする。

正直、疲れる。

ギン君の戦い方は何というか無茶が多過ぎてフォローが大変だ。

レインとならここまで疲れないのに。

さっきからギン君はあたしのことお構いなしに話しかけてくる。

こっちは疲れてるってのに。

「こんなとこで何してんだ~?」

後ろから男の声がしたので振り返ると灰緑と黒鉄色に統一された装備を着たプレイヤーだった。

「な、なんで軍が!?」

ギン君が声を震わせながら言う。

「決まってんだろ。お前ら最近税金を滞納してるだろ。だから、徴税しにきたんだよ」

最近軍が税金と称してコルを巻き上げてるって噂を聞いたことがある。

おそらく、この人もカツアゲに来たんだろ。

「すみませんけど、あたしたちお金ないんで失礼します。行こう」

その瞬間、何かが掠ると同時に私は倒れた。

近くではギン君も倒れてる。

「え?」

「どうだい?,麻痺毒の味は?」

軍のプレイヤーのカーソルがグリーンからオレンジに代わっているのをみて

この人が攻撃した。

対麻痺スキル熟練度は500程あるが痺れが強い。

おそらく最前線で手に入るレアのヤツだ。

ポーチに手を伸ばし解毒結晶を取ろうとするが手を踏まれて妨害される。

「おっと、結晶は使わせないぞ」

アイテムウインドウから縄を出し、私とギン君を縛る。

「俺が軍のプレイヤーと思ったか?これを見な」

男がウインドウを操作し、右手の甲を見せた。

そこには骨の手が半開きの笑っている棺桶から見えているものだった。

「殺人ギルド、《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》・・・」

「その通り、軍のプレイヤーの恰好をしてガキに近づいて攫い、そして、殺すつもりだったが、とんだ大物が掛かったものだな。ついでに、レインの命も貰うか」

男は紙とペンを取り出し何かを書き始めた。

まずい、このままじゃレインが・・・

体が動かない私は何もできなかった。

お願い、レイン。

逃げて・・・

 

シリカSIDE END

 

レインSIDE

集合時間になってもシリカとギンが来ない。

まさかアイツ、シリカに何かしたのか!?

と、シリカが来ないことにイラついている。

「それにしても、遅いね」

「メールにも返事しないし、どうしたんだろう?」

イライラしていると遠くから聞きなれた声がした。

「きゅるるるるる!」

ピナだ。

遠くから飛んでき俺の肩にとまる。

ミナたちはピナに驚いでいるが何やらピナが急かすような動きをする。

まさか!?

「すぐに教会に行ってサーシャさんに《血盟騎士団》に連絡するようにいってくれ!」

俺は3人にそう言うとピナの跡を追うように走る。

頼む・・・間に合ってくれ。

 

 

 

ピナの跡をついていくと森の奥の開けたとこに着いた。

ここは・・・

「来たか。レイン」

振り向くとそこには全身を覆う白いのフード付きのポンチョを纏い、

手には白い刀を握った男がいた。

「やはりお前か、《白き殺戮者》アルブス!」

「そうだ、久しぶりだな《飯綱使い》レイン」

《飯綱使い》とは俺の二つ名でファントムフォックスのフィーを使い魔に

してることからついた二つ名だ。

「シリカとギンはどこだ?」

「俺に勝てたら教えてやる」

アルブスは刀を構え攻撃態勢に入る。

「PoHの命令か?」

「あんな奴どうでもいい。俺は・・・・・お前を殺したい!」

襲い掛かって来た突きを体を捻り交わす。

刃の先が頬を掠りHPが微量に減る。

背中の両手剣《エクソロサイス》を抜く。

相変わらず素早い。

剣を構え、どんな動きにも対応できるようにする。

「どうした?いつものキレがないぞ?」

余裕こきやがって、絶対倒す。

両手剣単発重突進技《アバランシュ》を発動し斬りかかる。

《アバランシュ》は威力が高いため生半可な防御じゃ防ぎきれない。

狙うは刀だ。

《アバランシュ》のスピードと体を意図的に動かしソードスキルをの威力を上げる

システム外スキルを使う。

俺は筋力値を中心にあげてるため威力はかなり高くなる。

だが、アルブスは避けるそぶりをしない。

真正面から刀を振り上げ、そして、俺の剣を跳ね上げた。

俺の剣は空中で回転しながら後ろの地面に突き刺さる。

ソードスキルも無しに剣を弾いた・・・

何が起きた?

「こいつはな、あるボス級のモンスターを倒した時に手に入れた魔剣クラスの

ドロップ武器《白龍刀》。耐久値も高く、更に筋力値、敏捷値を40%UPする。

その代り、装備者は10秒に着きHPが600減る。

まさに、魔剣だ」

なら、時間を稼いでHPがなくなるのをまでば

「ちなみに俺のレベルは75、戦闘時回復スキルで10秒に600回復する。

それに、俺が装備してるこの指輪は《恩恵の欠片》っていって5秒ごとにHPが50回復するんだよ。覚えとけ、いくら待っても俺は死なないんだよ」

やっぱり、甘くはないか。

《エクソロサイス》を地面から抜き、握りしめ構える。

アルブスは殺人ギルド《ラフィン・コフィン》のメンバーで幹部だ。.

約2ヶ月程前に俺は迷宮区でコイツと戦った。

攻略組の人間を麻痺らせ斬りかかってるところだった。

すぐに飛びかかったが、パーティーメンバーの7人の内3人を死なせてしまった。

「あの日からお前のことを忘れた日々はない。

お前を殺すのは俺だ。ザザでも、ジョニーでもPoHでもない。

この俺だ。」

「殺されるかよ。お前の手足切り落とし牢獄に送ってやる」

「It`s show time」

お決まりのセリフを呟くと同時にアルブスの刀は俺の眼前に迫っていた。

なんとか交わすが今度は深く斬られHPが大幅に削られた。

「お返しだ!」

《エクソロサイス》を横なぎに振るが。上半身を仰け反らし、交わされる。

そこで、両手剣用単発重攻撃≪ヴァンダライズ≫を発動した。

《ヴァンダライズ》は左から斜め下に振り下ろすソードスキル。

俺は剣を右から左に振りそしてソードスキルを発動した。

言うなれば擬似的な《燕返し》

剣はアルブスの右足を斬り、アルブスは体勢を崩しその場に倒れる。

そのまま両手剣を逆手で持ち、アルブスに突き刺す。

が、横から現れた何者かにソレを阻まれた。

「よ~、アルブス。なんか苦戦してんな~」

「チッ」

「ちょ、おま、それが命の恩人にする態度かよ!?」

「何しに来た?ジョニー?」

「ヘッドからのご命令さ。お前を連れ戻せってさ」

「断る」

「麻痺らせても連れ戻せってよ」

「・・・チッ」

現れた男はジョニー・ブラック

《ラフィン・コフィン》のトップ3の1人。子どもっぽい態度と外見を持つ毒ナイフ使い。

2人で来られたら正直ヤバイがどうやらジョニー・ブラックはアルブスを連れ戻しに来ただけらしい。

「レイン、今回は退く。だが、覚えとけ。お前を殺すのは俺だ。

それまで、その命を大事にするんだな」

そう言うと刀を収め背を向ける。

「待て!シリカとギンの居場所を教えろ!」

「・・・このまま奥に行くと小屋がある。そこにガキ共を監禁してある」

そう教えるとアルブスはジョニーと共に森の奥に消えた。

剣を鞘に戻しアルブスの言ってた小屋に向かう。

小屋へ着きすぐさま扉を開けると縛られたシリカとギンがいた。

「シリカ!」

シリカに駆け寄り、口に巻かれてる布を取る。

「レ・・・イン?」

「あぁ」

「よかった・・・無事なんだね」

シリカは瞳を潤ませてそう言う。

「こっちのセリフだっつーの」

俺も瞳を潤ませながらシリカを抱きしめた。

暫くすると外が騒がしくなるのが聞えた。

すぐに警戒するが入ってきた人を見て安心した。

「アスナさん!」

「レイン君!教会から連絡があって来たけど何があったの?」

取りあえずアスナさんに《ラフィン・コフィン》のことと助かった経緯を話した。

「そう、とにかく命があってよかったわ。それで、2人はこれからどうするの?」

これからか・・・

一度教会に戻るか。

「アスナさん。お願いがあるんですけど」

 

 

 

「ギン、レイン君にシリカちゃん!」

教会に着くとサーシャさんが泣きながら俺達に抱き付いてきた。

「よかった、無事で・・・」

心配かけちゃったな・・・

「あの~、貴女は?」

サーシャさんがアスナさんのことに気付き名を尋ねる。

「《血盟騎士団》副団長のアスナです。あなたがサーシャさんですね。

連絡の方、ありがとうございました。」

頭を下げてお礼を言うアスナさん。

「いえいえ、こちらこそ」

サーシャさんも頭を下げる。

「今回の事件のお話とこの2人のことでお話が」

 

 

 

 

「以上が今回の事件の顛末です。」

アスナさんは《ラフィン・コフィン》のことをサーシャさんに話した。

「そんな、殺人ギルドだなんて・・・」

やっぱり信じれないよな。

HPが無くなったら死ぬ世界で人を殺す奴がいるなって。

「そして、ここからが重要な話です」

しっかりとサーシャさんを見てアスナさんが口を開く。

「レイン君とシリカちゃんは《攻略組》です」

「え?」

サーシャさんはこれまた信じられないような顔をした。

「そんな、だってまだ子供ですよ!?」

「本当です」

「これを見てください」

俺とシリカはウインドウを可視モードにし、ステータス画面を見せた。

「そ、そんな」

「今回、《ラフィン・コフィン》の目的は子供を攫い殺すつもりでした、けど、

シリカがいることに気付き、アイツは標的を俺に変えました。

このまま教会に居るといつかアイツらがやってくるかもしれません。

それに、教会に来なくても森で狩りをしてる最中に襲われるかもしれません。

だから、俺とシリカは最前線に戻ります」

サーシャさんは顔を下げ床を見ていた。

顔を上げると俺達を見て

「無理はしちゃだめよ。辛くなったらいつでもきていいから」

そう言ってくれた。

最後の最後まで優しい人だ。

「それで、お願いが」

「何?言って」

「ユウナをここで預かって貰えますか?」

ここにユウナの両親はいなかったがここでならユウナも安全に暮らせるだろうし

友達もできると思う。

「ええ、いいわよ。ユウナちゃんは私が面倒を」

「嫌!」

声が聞えた方を向くとユウナがいた。

服の裾を握りしめ、唇を噛み泣くのを堪えている。

「私、お兄ちゃんと・・・お姉ちゃんと・・・一緒が・・・いい!!」

そう言って俺に抱き付いてくる。

「・・・そうだよな。ユウナの兄ちゃんになるって言ったのに1人にしたらいけないよな」

「ごめんね、これからはずっと一緒だよ」

「・・・うん!」

「サーシャさん、あの、」

「ええ、分かった。気にしないで頂戴。それじゃあ、今日はお別れ会をしましょう」

そう言ってサーシャさんが立ち上がる。

「い、いや、そこまでしなくても」

「いいから、いいから、そうだ。アスナさんもどうぞ。」

「いえ、私は」

こうなりゃ巻き込んでやる。

「アスナさんも一緒に!」

「拒否権はありませんよ!」

「ちょ、離して!」

そして、俺達のお別れ会が始まり、皆で騒いで夜になった。

最後の夜を過ごすために布団に入ろうとするとギンが声を掛けてきた。

「なぁ」

「なんだよ?」

「ちょっと、いいか?」

ギンに連れられて外に出る。

「俺さ、分かったことがあるんだわ」

「なにが?」

「お前たちの間に入れないわ」

ギンはニカッと笑い言う。

「それとお前本当に強かったんだな。びっくりしたぜ」

「ギン」

「・・・初恋は叶わない。本当なんだな」

「ギン、俺・・・」

「謝んなよ」

ギンは俺を真っ直ぐ見て向き合う。

「俺がよーく考えて決めたことなんだよ。

だから、謝んな」

ギン・・・ミナの言う通りいい奴だよ。

「諦めてやるんだからシリカを泣かすなよ」

「お前こそ、少しは周りの子の気持ちにも気づけよ」

「なんだそりゃ?」

「分かんねーなら、考えろよ」

そして、ギンと馬鹿笑いしながら眠りについた。

 

 

 

「それじゃあ、さようなら」

「1週間ありがとうございました」

「さようなら」

「私も1晩お世話になりました」

俺達4人は頭を下げお礼を言う。

「また、来てね」

「じゃーな!」

「また会おう!」

教会の皆が手を振り見送ってくる。

その中にギンの姿が見えた。

ギンは手を上げ叫ぶ。

「レイン!次はリアルでな!」

ギンの言葉に俺も手を上げ

「おう!」

応えてやる。

 

 

 

「アスナさん。折り入ってお願いが」

「何?」

転移門まで歩いている間に俺はアスナさんにあるお願いをする。

「しばらく、俺とシリカ、攻略を休んでもいいですか?」

「・・・・・」

俺のお願いにアスナさんは考える。

ムリかな。

出来ればユウナと一緒にいる時間を増やしたいんだが

「いいわよ」

「ほ、本当ですか!?」

「ええ。ユウナちゃんと一緒に居てあげなさい。団長には私から言っとくわ」

「ありがとうございます」

「じゃあね、・・・転移《グランザム》」

アスナさんはギルド本部がある町に戻り、俺は後ろを振り向く。

シリカが繋いでないユウナの手を握り歩く。

「さぁ、帰ろう。俺達の家に」

「「うん。」」

「「「転移《フローリア》」」」

声が綺麗に重なり、俺達は俺達の家に帰った。

 




まさかのラフコフの登場。
今回は長いです。
楽しんでくれたら嬉しいです。
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