「全員揃ったな。これより《ラフィン・コフィン討伐作戦》を開始する!
《ラフィン・コフィン》のアジトがあるダンジョンまで回廊結晶を使う!」
コーネリアさんはポーチの中から濃紺色の結晶を取りだす。
回廊結晶とは転移結晶と違い『任意の地点』を登録することでその地点を出口に設定できるアイテムで、また、NPCショップでは売られてなくボス級モンスターからのドロップか
トレジャーボックスでしか手に入れることの出来ないレアアイテムでもある。
更に転移結晶は1人しか使えないが回廊結晶はゲートが開いてる間は何人でも転移できる。
「コリドー・オープン!」
回廊結晶を掲げてコーネリアさんが叫ぶと結晶は砕けてゲートを開く。
「よし、全員、いくぞ」
コーネリアさんが入り、その後ろをコーネリアさんの仲間が入り、次にアスナさんを筆頭に《血盟騎士団》が続く。
次に《風林火山》、ハイプレイヤーパーティー、そして、キリトさんが入った。
「シリカ」
俺はシリカに手を差し出し笑顔を向ける。
「生きて・・・必ず・・・ユウナを迎えに行こう」
「・・・うん!」
俺の手を握りしめ、シリカと俺はゲートに入る。
ゲートを通ると既にあたりは緊張の雰囲気に包まれていた。
計画通りにコーネリアさんたちが最初に《ラフィン・コフィン》へ投降を要求。
それに応じなければ武力による討伐。
HPをレッドにしたら再度、投降を要求。
それで応じてくれたらいいのだが。
「ぎゃぁぁぁぁ!」
誰かの絶叫と共に何かが砕け散る音がする。
今の声は確か聖龍連合の人
まさか・・・!
その瞬間、俺の索敵スキルに複数のプレイヤーのマークを確認した。
数は・・・30!?
「まずいぞ!囲まれた!」
気が付けば包囲されてたのは俺達の方だった。
「全員落ち着け!陣形を崩すな!」
キリトさんの声が響く。
しかし、全員が予想外の不意打ちに混乱している。
くそっ!
《エクソロサイス》を抜き戦闘態勢に入る。
隣にいたシリカも短剣の《エンシェントクリス》を逆手で持ち構える。
フィーとピナも鳴き声を上げ威嚇をする。
「シリカ!絶対に死ぬなよ!」
「そっちこそ!」
正面から片手剣を持った男が突っ込んでくる。
タイミングを合わせて剣を躱し《エクソロサイス》で腕を斬り落とす。
切り落としてすぐに体術スキル《閃打》を発動し顔を殴る。
HPがイエローに落ちる。
立て続けに投擲スキル《シングルシュート》を使いベルトに差してるピックを目に当てる。
HPがレッドにまで落ちた。
「これ以上戦えば死ぬぞ。大人しく武器を捨てて投降しろ」
「くっくっく、こんな程度で俺達がビビると思ってるのかよ?」
「何!」
「甘いんだよ!」
男は腰に隠していた小型だが片手剣に分類する《デュエルソード》抜き襲い掛かる。
反撃しようとするが、思わず動きが止まる。
コイツを今斬れば、HPが・・・・・・
一瞬の遅れが命取りになる。
そのことを忘れていた。
剣は俺の眼前に迫っていた。
避けれない。
しかし、剣は俺には届かない。
男の胸の中央を一本の槍が貫いていた。
そして、男の体は砕け散る。
「ボサッとすんな!」
「アヤメさん」
「殺されそうになったら殺せ!一瞬の迷いが自分を、パートナーを死なせることになるぞ」
その言葉に俺はハッとした。
そうだ。
俺がやらなきゃシリカが・・・・・・・・・
やらせるかよ!
後ろから襲い掛かってきたやつの刀をしゃがむことで避ける。
避けた後、左足を軸にして回転し《エクソロサイス》の腹で男を殴り飛ばす。ダンジョンの壁にぶつかるとそのまま地面に崩れ落ちる。
ピックを抜き投げる。
今度のはただのピックじゃない。
ピックの先には最前線で手に入る強力な麻痺度がベッタリと塗ってある。
これで20分は動けないはずだ。
今度は5人同時に襲い掛かってくる。
両手剣範囲技《ブラスト》を発動し5人を吹き飛ばす。
すかさず5本のピックを抜き《クイックシュート》を使い5人に突き刺す。
これで6人。
他のメンバーも徐々に落ち着きを取り戻し始めてる。
俺は安心しきっていた。
このまま何事もなく終わる。
しかし、そんなに甘くなかった。
耳にまたプレイヤーの体が消滅する音が聞こえた。
「まずいぞ!ザザが現れやがった!」
「こっちにもジョニー・ブラックが!」
幹部の登場によってそれまで落ち着きを取り戻していたメンバーがまた混乱する。
あっちには確かシリカが!
駆け出そうとすると俺の前に1人のプレイヤーが現れる。
「行かせないぜ。レイン」
「アルブス!」
アルブスが俺の前に立ち刀を抜く。
「今日がお前の命日だ。神にお祈りは済んだか?」
「そこを退いてもらうぞ!」
《エクソロサイス》構え、一気に仕掛ける。
全身全霊力を込め振り下ろす。
それを、アルブスは刀で受け止める。
「は、攻略を休んでると聞いていたが力が落ちてはいないようだな」
「当たり前だ」
俺の両手剣とアルブスの刀が鍔競り合いをし、肉薄する。
「1つ教えろ?」
「なんだ?」
「お前は元攻略組なのか?」
「・・・・・・・・・」
俺の質問に対しアルブスは何も言わない。
「俺はお前とあの迷宮区で会う以前にどこかで会ってたのか?」
「いや、俺とお前はあの時が初対面だ」
アルブスはあざ笑うかのように言う。
「だが、俺の顔に見覚えはあるはずだ」
ゆっくりとフードを下ろし素顔が現れる。
その顔を見て俺は息を呑んだ。
「ヴァ、ヴァイス・・・」
その顔を俺は知っていた。
かつて攻略組で、昔一時的にパーティーを組んだ奴。
そして
俺が殺した男だ。
レインSIDE END
シリカSIDE
「少し深入りし過ぎたかな?」
ダンジョンの奥に敵を無力化しながら進み、今は、大きく開けた場所に出た。
「HPも心もとないし、戻った方が」
「そんな連れない事言うなよ。お嬢ちゃん」
嫌な予感が背中に走り後ろに下がる。
私が先ほどまでたっていた場所に1人の男がいた。
長躯を膝上までのポンチョで身を包み、フードを目深にかぶっている男。
間違いないコイツは
「PoHね」
「ご名答。そういう君は《竜使い》シリカだな」
右手に持った《友切包丁》をチラつかせながら喋ってくる。
今、こいつと戦うのは危険すぎる。
一度引いた方が・・・・
「引くなんてことは考えない方が身のためだぜ。今、俺が指の一つでも鳴らせば
たちまち仲間がやってくる。逃げようだなんてマネしないことだな」
短剣を携えながらゆっくりと近づいて来る。
逃げることができない。
覚悟を決め短剣を構える。
「前々から気になってはいたんだよ。攻略組に短剣使いはいないからな。攻略組レベルの短剣使い力見せて貰うぞ」
ゆっくりとした歩みからいきなり一気に間合いを詰めるように走ってくる。
勢いよく下から振り上げられた短剣を何とか紙一重で躱す。
こちらも反撃のつもりで短剣を振りかざし、短剣を持った腕を切り裂こうとする。
PoHはなめらかで無駄のない動作で躱す。
「フッ、中々やるじゃねーか」
「どうも」
情報通り個人での戦闘技術が高い。
となるとソードスキルは使わない方がいい。
なるべく自分の持つ技術で応戦して、隙をついてのソードスキルがいい。
正直、その戦法で勝てるがどうか分からない。
でも、絶対に生き延びてやる。
レインとの約束を果たすために。
次回の内容
アルブスとヴァイスの関係とは、そして、過去に何があったのか?
PoH VS シリカの行方は!?
以上次回はこんな感じになる予定