「答えろ・・・どうしてお前の顔がアイツなんだ!」
鍔競り合いをしながら俺は叫ぶ。
驚愕と怒りを露わにしながら。
「答えてやるよ。ヴァイス、本名は桐永白夜、そして俺は桐永白牙」
同じ苗字、まさか!
「ヴァイスは俺の双子の弟だ」
アルブスは僅かに微笑みながら話を続ける。
「アイツは聡明で優しく優秀。それに引き換え俺はできそこないの落ちこぼれ。
家族は俺をいない者扱いだ。
勉強も運動も弟に敵わなかった俺は弟をSAOに誘った。
弟はゲームなんてやらないしな。
ここでなら弟に勝てると思った」
アルブスは自嘲するかのように笑う。
「SAOがデスゲームになった時、弟は酷く怯え泣き叫んだ。
今まで一度も弱音も泣き言も言わなかったアイツがだ。
その時、俺は思った。
ここでなら俺はコイツの兄になれると。
俺は攻略組入りするために頑張ってレベルを上げ、いよいよ攻略組に入れるってなった時アイツは既に攻略組だった。
アイツはまたしても俺を抜いた。
許せないんだよ、弟が兄よりも前に居ることが!
だがら、俺は更に力を付けた!
弟を超えるためにな!」
声を張り上げながら叫ぶアルブスを俺はただただ見つめる。
「だが、その前に弟は・・・・お前に殺された。
俺は目的を失ったんだ。
だが、弟を殺したお前を殺せば俺は弟を超えたことになる。
だがら!」
刀で俺の両手剣を弾き、腰に構える。
「俺はお前を殺す!」
刀用ソードスキル《居合一閃》を放ち俺の腹を深く斬る。
HPが一気にイエローにまで落ちる。
「さぁ、殺し合いと行くぞ!It`s show time!」
レインSIDE END
シリカSIDE
「ほぉ~、この俺と互角に戦うとは中々の腕だな」
そうは言うものこちらは息切れを起こしているのに向うは汗一つ掻いていない。
HPもこちらはもうレッドにギリギリのイエローで向うはまたイエローに入ったばっかり。
このままじゃやられる。
隙を見て逃げ出さないと。
「お前に少し敬意をはらっていいものを見せてやろう」
PoHは短剣の振りかぶるように構え腰を落とす。
見たことのないモーションだった。
そして、短剣が黒いライトエフェクトを放つ。
勢いよく突進してきたPoHはそのままあたしを切り裂く。
脇腹を切り裂かれると同時に強烈な痛みが襲った。
「う・・・ぐはぁっ!」
その場に膝から崩れ落ちる。
左手で脇腹を押さえながら右手の短剣を握りしめる。
一体何が!?
「痛いか?今のは《暗黒剣》っていうエクストラスキルだ。
もっともいつ習得したがしらないがな」
ユニークスキル
頭の中にその単語が思い浮かんだ。
ユニークスキルとは普通のエクストラスキルなのだが習得したものが1人しか判明してないことから唯一無二のスキルということでユニークスキルという。
他にもユニークスキル使いは1人いる。
《血盟騎士団》団長ヒースクリフ
彼は第50層のボス戦の時、総崩れとなりかけていた攻略パーティーを守るために前線をたった1人で保ち続けた。
その時にユニークスキル《神聖剣》のことが明らかになった。
攻防一体に優れたスキルらしくヒースクリフさんのHPがイエローに落ちたとこを見た人はいない程凄いらしい。
2人目のユニークスキル使いがコイツだなんて・・・・
「どういう理屈が知らんが、《暗黒剣》のスキルで斬られると実際に剣で斬られた痛みが体を襲う。加えて相手に状態異常も低確率だが付与する。まるで、PK専用スキルだぜ」
確かに、モンスターに実際に剣で斬られた痛みを与えたって意味が無い。
もしかして茅場晶彦はPKが起きることを想定してそんなスキルを作ったのかもしれない。
だとしたら、最低だ。
痛む脇腹を押さえながら立ち上がり、剣を構える。
「ほぉ、まだ立つか」
ここで死んでたまるか。
絶対に生きてやる。
短剣を構え、地面を蹴る。
中級突進技《ラピットバイト》を発動しPoHとの距離を縮める。
《ラピットバイト》をすんなりと躱されるが、交わされた直後に4連撃技《ファットエッジ》を発動し斬りつける。
「この程度の攻撃が聞くかよ!」
PoHはHPが減らされても構わずに《暗黒剣》スキルを使い斬りかかる。
《暗黒剣》が襲い掛かると同時に硬直が解ける。
だが、防御に間に合わない。
だがら、あたしは左手を突き出し、左手で攻撃を受け止める。
鋭い痛みが体に走り、顔に苦痛がにじみ出る。
そのまま剣はあたしの左手を斬り落とし、落ちた左手が砕け散る。
PoHは硬直で動けなくなっている。
今がチャンスだ!
「ピナ!バブルブレス!」
さっきまで隠れていたピナが現れPoHに虹色の泡を吐く。
ピナの攻撃にPoHは怯み、後退する。
その隙にあたしは持てる力をすべて使い逃げる。
逃げ切りながらHPを確認すると残り数ドットしか残ってなかった。
「危なかった・・・・」
シリカSIDE END
レインSIDE END
「俺を殺してもアイツを、ヴァイスを超えたことにはならないぞ」
「それはお前が決めることじゃない。俺が決めることだ」
アルブスは攻撃の手を休めることなく俺に連撃を浴びせてくる。
俺がヴァイスを殺したのは事実だ。
だが、アルブスは知らない。
アイツの死の真相を。
アルブスがヴァイスの兄ならソレを知る必要がある。
なんとしても教えないと。
「おい、約束しろ。俺が勝ったら、俺の話を聞け!」
「いいぜ、勝てるならな!」
正直勝てる気がしない。
武器のレベルだけならおそらく俺の《エクソロサイス》の方が僅かに上。
だが、筋力値、敏捷値そして持ち前の戦闘技術は向うが上。
ソードスキルを使わずに《アバランシュ》を防ぎ、両手剣を刀で弾き返す。
真っ正面から行ったら確実に俺が死ぬ。
なら、戦略を持って倒すしか方法はない。
アルブスは刀の切っ先を右下に向け走ってくる。
刀上位スキルの《空閃一刀》を放ちながら、俺の首を狙ってくる。
武器防御スキルを発動し、攻撃を防ぐがやはり威力が強くHPが減る。
HPは・・・・・・・・・もう少しでレッドに落ちるか。
こうなればアレを使う。
後ろに下がりながらメニューウィンドウをだし《エクソロサイス》投げ入れる。
投げ入れた剣は光の粒子になり消える。
そして、《クイックチェンジ》を使い、一本の両手剣を取り出した。
見た目は刀にそっくりだが、両手剣に分類する剣。
《大太刀・黒桜秋水》
二メートルはある刀身は黒く、淡い赤色の光を放っている。
「何故だ・・・・・・・何故、お前がソレを持ってる!」
アルブスは怒りを露わにして切れる。
「ソレは・・・・・ソレは、弟の剣だ!」
そう、この剣、《大太刀・黒桜秋水》はアイツ、ヴァイスから貰ったものだ。
アイツが俺に託した、思いを俺はこれを使ってアルブスに教える。