二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第23話 少女の涙

「《ラフィン・コフィン》は投降した!我らの勝利だ!」

 

コーネリアさんの声が聞こえた。

 

どうやら作戦は終了し、俺たちの勝利だそうだ。

 

「レイン!」

 

聞覚えのある声。

 

すぐさま後ろを振り返る。

 

そこには俺の大切な奴がいた。

 

「シリカ!」

 

シリカは俺の姿を見るなり走り出し、飛びついて来た。

 

「よかった………無事で………」

 

「シリカ、嬉しいのは分かったからあまり締め付けないでくれ。HPが減る」

 

そう言うとシリカは軽く笑い離れてくれた。

 

「で、どうしてアイツら投降なんかしたんだ?」

 

「うん、ザザ捕まって、PoHとジョニー・ブラックは逃走したから残りのメンバーは戦意喪失で投降したらしいけど」

 

ザザは捕まったのか。

 

だが、PoHとジョニー・ブラックが逃げたとなるとこの先が不安だな。

 

また、《ラフィン・コフィン》を再建しそうだ。

 

「十中八九再建するだろう」

 

アルブスが話す。

 

「え!?あ、アルブス!?」

 

シリカが短剣を抜こうと構える。

 

「待て、シリカ。もう大丈夫だ」

 

俺はシリカの手を押さえアルブスに向き直る。

 

「アルブス、今ここで見つかったらお前は確実に牢獄に入れられる。その前にここから逃げろ」

 

「……感謝する」

 

アルブスは振り向き去ろうとすると急に立ち止まり、何かを投げ渡してきた。

 

渡されたのは《白龍刀》だった。

 

「お、おい、アルブス!」

 

「《白き殺戮者》アルブスは死んだ。その刀も所有者を失った。お前にやる」

 

そう言ってアルブスは白い服装から青を基調とした服に変え、その上からマントを羽織った。

 

腰には《白龍刀》とは別の刀があった。

 

「じゃあな、次は《白き殺戮者》じゃなくてアルブスとして会いにくる。それまで、死ぬんじゃねーぞ」

 

「…………お前もな」

 

そう言ってアルブスは洞窟の奥へと走って行き消えた。

 

「ねぇ、よかったの?」

 

「ん?ああ、いいんだよ」

 

短くそう言う。

 

シリカは少し考えた後いつもの顔に戻り笑顔を浮かべる。

 

「レインがそう言うならいいや」

 

その笑顔に俺も笑顔で返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、コーネリアさんが回廊結晶を使い捕まえた《ラフィン・コフィン》のメンバーとザザを牢獄に送った。

 

攻略組から十一名、《ラフィン・コフィン》からは二十一名が死んだ。

 

幸いと言うべきかキリトさん、アヤメさん、アスナさん、クラインさんとクラインさん率いる《風林火山》の人達は無事だった。

 

不謹慎だが、良かった…………

 

《ラフィン・コフィン》を牢獄に送った後、討伐隊は死んでいったプレイヤー達に黙祷をした。

 

そして、討伐隊は解散。

 

死んでいった仲間に涙を流す者、生きてることに喜びの涙を流す者、そう言った人たちを後に俺とシリカは《はじまりの街》に向かった。

 

ユウナを迎えに行くためだ。

 

教会の前に着き扉を叩く。

 

暫くすると扉が勢いよく開き、中から小さな影が飛び出してきた。

 

その影はそのまま俺の腹部目掛けて突っ込んできた。

 

「おっと!」

 

「お兄ちゃん!」

 

突っ込んできたのはユウナだ。

 

涙で顔をぐしゃぐしゃにしている。

 

可愛い顔が台無しだ。

 

「遅いよ!もっと………もっと、早く迎えに来てよ!」

 

「ごめんな。迎えに来るのが遅れた。でも、ちゃんと迎えに来ただろ?」

 

「………うん」

 

体を起こし、ユウナの頭を撫でる。

 

「レイン君、シリカちゃん!」

 

次に扉から現れたのはサーシャさんだ。

 

「サーシャさん…………」

 

「貴方たちは………」

 

あれ?なんか様子が…………

 

「どうしてこんな無茶をしたのよ!」

 

「「ひっ!?」」

 

「今回は危険なことは無いって言ったわよね!それが、聞いてみたら《ラフィン・コフィン討伐作戦》って、どういうこと!」

 

俺とシリカは、ユウナを預けるときサーシャさんに本当のことを伏せていた。

 

もし、内容を話したら止められたりするからだ。

 

でも、一体何処から…………

 

「二人の様子がおかしかったから情報屋さんにお願いしたの」

 

その時、俺とシリカの頭に髭を生やした女の人が浮かんだ。

 

アルゴさん………………

 

「貴方たちが居なくなったりしたら、ユウナちゃんがどれだけ悲しむと思ってるの!?」

 

その言葉に俺達は言い返せなかった。

 

まさしく正論だったからだ。

 

「それに…………悲しむのはユウナちゃんだけじゃないのよ」

 

サーシャさんの目には涙が浮かんでいた。

 

「………本当に無茶して」

 

そう言ってサーシャさんは俺達を抱きしめた。

 

「……すみません。俺達、無茶し過ぎました」

 

「……ごめんなさい。心配かけて」

 

「……もういいわ。貴方たちが無事に帰って来たなら。でも、約束して、もう二度とこんな無茶はしないって」

 

「「はい」」

 

そんな約束をして俺達は境界を後にした。

 

「サーシャさんに心配掛け過ぎたね」

 

「だな」

 

ユウナを間に挟み手を繫ぐ。

 

「ユウナちゃんにも、いっぱい寂しがらせちゃったし今日はユウナちゃんの好きなもの作ってあげるね」

 

「よかったな、ユウナ。お前の好きなものだってよ」

 

「……………お兄ちゃん、お姉ちゃん」

 

急にユウナが真剣な目をして話しかけてくる。

 

「どうしたんだ?」

 

「………あのね、大事なお話があるの」

 

いつもの声色とは違う声に驚きながらも耳を傾ける。

 

「私ね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、お別れなの」

 

そう言って笑うユウナの瞳には涙があった。

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