二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第26話 《剣聖》

ユウナの死から二ヶ月が経った。

 

俺もシリカもすぐに気持ちを立て直すのは無理で攻略中何度もミスをしたりした。

 

そんな俺たちの様子を見てたキリトさんやアルブスに休んだ方がいいと言われ暫く攻略を休んだ。

 

気がつけば最前線が70層になりこのまっまじゃいけないと思い、なんとか俺もシリカも気持ちを切り替えることが出来た。

 

そして、最前線は74層になった。

 

レベルはまったく攻略に参加していなかったので前とそんなに変わらない。

 

俺が89でシリカは87になった。

 

そして、今日もいつも通り攻略を終えて帰るところだ。

 

手に入った素材をエギルさんの所で買取してもらうので50層の《アルゲート》に向かった。

 

エギルさんの店に入ると既にキリトさんが居た。

 

「あ、キリトさん」

 

「おお、レインとシリカ。お前たちも買取か?」

 

「はい」

 

「よぉ、レインにシリカ。悪いが今はキリトが先だ」

 

「いいですよ」

 

キリトさんの買取が終わるのを横で待つことにした。

 

「おい、キリト!こいつは《ラグー・ラビットの肉》じゃねえか!」

 

「「え!?」」

 

思わず俺とシリカも声を上げる。

 

《ラグー・ラビットの肉》って言えばS級のレア食材。

 

その味はもの凄い美味いという話を聞いたことがある。

 

「キリト、お前金には困ってないだろ?自分で食おうと思わんのか?」

 

「思ったさ。でも、こいつを調理できるほど料理スキルを上げてる奴なんて余程の暇人か、ただのアホだぞ」

 

その瞬間、俺は冷や汗を流した。

 

恐る恐る横を見るとシリカが不機嫌そうにしていた。

 

それもそのはず、シリカは既に《料理スキル》を完全習得している。

 

それに費やした時間と情熱を考えたらあんなことを言われて不機嫌にならない方がおかしい。

 

「どうせ食うこともできないんだ。なら、いっそ売った方が」

 

「キリト君」

 

その時女の人の声が聞こえた。

 

キリトさんの知り合いでキリトさんの事を君づけで呼ぶ人は一人しかいない。

 

アスナさんだ。

 

アスナさんを見るなりキリトさんはアスナさんの手を掴みこう言った。

 

「シェフ捕獲」

 

「な……なによ」

 

訝しげな顔になって後ずさるアスナさんだが、少し嬉しそうだ。

 

それが面白くないのかアスナさんの後ろに居る長髪を後ろで束ねた痩せた男がキリトさんに殺気に満ちた視線を向けている。

 

前、アスナさんが言っていた護衛の人だろう。

 

その男に見覚えはないがその隣に居る男性には見覚えがあった。

 

「レイン、あの人って《剣聖》スバル?」

 

「ああ」

 

《剣聖》スバル

 

《アインクラッド》ではその名を知らない人はいない。

 

顔が現実の姿であるこの世界ではかなりのイケメンで更に性格までもいい。

 

女性にも男性にも優しく、おまけに《血盟騎士団》前線部隊隊長でもある。

 

最前線に立ち自ら先陣を切る。

 

そして、犠牲者を一人も出さずに攻略を成し遂げる。

 

噂だとトラップに引っ掛かり大量のMobが発生した時、一人で殿を務めて見事生還したらしい。

 

だが、この人が《剣聖》と呼ばれるのには違う理由がある。

 

それは使える武器の種類だ。

 

スバルさんはメインで片手剣を使っているがそれ以外にも両手剣、短剣、細剣、槍、両手斧、刀、曲刀までも扱えそれらの熟練度は全てが900越えという。

 

状況に応じて武器を変え、それを自分の手足の如く扱う、故に《剣聖》

 

《アインクラッド》では《血盟騎士団》団長のヒースクリフさんに並んで最強と呼ばれてる。

 

そんなことを考えてるとキリトさんが《ラグー・ラビットの肉》を半分食べさせてあげることで調理をしてもらうことになった。

 

「というワケだ。取引は中止だ」

 

「い、いいけどよ。なぁ、キリト、俺達ダチだよな?俺にも味見ぐらい……」

 

「感想を800字以内で書いてきてやるよ」

 

「そ、そりゃあないだろ!」

 

落ち込むエギルさんを余所にキリトさんは出ていく。

 

「……買取はまた今度にするか」

 

「そうだね。…エギルさん、良かったらこれどうぞ」

 

そう言ってシリカはアイテムウィンドウから何かの包みを取り出す。

 

あれは、今日の昼飯の残りか。

 

「こ、こいつは、米!?」

 

「はい、今日のお昼の残りですけど」

 

「い、いや、これでも十分に嬉しいぜ!ありがとな!」

 

そう言ってエギルさんはシリカの頭を撫でる。

 

撫でられて嬉しそうにするシリカを見て俺は少し嫉妬した。

 

俺だって撫でたいのに…………

 

エギルさんの店を後にして店を出ると先ほどの痩せた男が騒いでいた。

 

「アスナ様!こんなスラムに足をお運びになるだけに留まらず、素性のしれぬ奴をご自宅に伴うなど、とんでもないことです!」

 

様って、この人はアスナさんの崇拝者なのか………

 

まぁ、アスナさんは美人だし、そういう人がいても不思議じゃない。

 

「この人は素性はともかく腕は確かだわ。レベルもあなたより十は上よ、クラディール」

 

「な、何を!私がこんな奴に劣るなど……………そうか、お前《ビーター》だな!」

 

「ああ、そうだ」

 

クラディールと呼ばれた男の問いにキリトさんは無表情で返す。

 

「アスナ様、こいつは自分さえ良ければいい連中です!こんな奴と関わると碌なことになりません!」

 

「ともかく、今日はここで帰りなさい。副団長として命令します」

 

「し、しかし」

 

「もうやめろ、クラディール」

 

食い下がろうとしないクラディールさんを止めたのはスバルさんだった。

 

「アスナ副団長の命令だ。帰るぞ」

 

そう言うスバルさんを睨みつけ、クラディールさんは引き上げた。

 

「では、アスナ副団長、自分もこれで失礼します」

 

「ええ、ご苦労様です」

 

頭を下げるスバルさんにねぎらいの言葉を掛けてアスナさんはキリトさんと共に転移門に向かった。

 

「ふぅ~、俺たちも帰るか?」

 

「そうだね、帰ろうか」

 

そして、俺とシリカも転移門に向かい、自宅に帰った。

 

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