二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第27話 キリトVSクラディール

翌日、午前九時頃、俺とシリカが74層の主街区のゲートに着くとキリトさんが眠そうにしていた。

 

「キリトさん。何してるんですか?」

 

「レインにシリカか。実は昨日、アスナに無理矢理パーティー組まされたんだよ。それで、今、そのアスナを待ってる」

 

「え?でも、アスナさん、ギルドはどうするんですか?」

 

「レベル上げノルマないから問題ないとさ」

 

そんな会話をしていると転移門が起動した。

 

誰かが来るんだろう。

 

「ど、どいてぇ―――――!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

転移門からいきなり飛び出してきた人はそのままキリトさんにぶつかりキリトさんを押し倒した。

 

てか、押し倒したのはアスナさんだ。

 

「いてて、ん?なんだ、これ?」

 

何をしてるのかと思い覗き込むとキリトさんがアスナさんの胸を揉んでいた。

 

それも二度も三度も揉む。

 

俺はこの先起きるであろう展開を予想し、顔を青ざめる。

 

横にいるシリカは冷めた目でキリトさんを見る。

 

「や、や―――――!」

 

アスナさんの拳が炸裂した。

 

おまけに《体術スキル》も発動してる。

 

そのままキリトさんは何回か地面に頭を叩き付け止まる。

 

キリトさんはゆっくりと起き上がり自分を殴った人の正体を見る。

 

アスナさんは胸を両手を交差させて庇いキリトさんを睨みつけてる。

 

その状態を見てキリトさんは自分が何を揉んだのか理解した。

 

「お、おはよう」

 

冷や汗を流しながら片手を上げてアスナさんに挨拶をする。

 

アスナさんはそんなキリトさんに殺気を込めた目で睨んだ。

 

その時、また転移門が起動し、誰かが来た。

 

アスナさんは慌てて立ち上がりキリトさんの後ろに隠れた。

 

現れたのはクラディールさんだ。

 

クラディールさんはキリトさんの後ろに隠れているアスナさんを見て眉を寄せた。

 

「アスナ様!勝手なことをされては困ります!さぁ、ギルド本部にまで戻りましょう」

 

「嫌よ!今日は活動日じゃないでしょ!だいたい、なんでアンタ朝から家の前に張り込んでるのよ!?」

 

「シリカ、これってストーカーか?」

 

「どうかな?」

 

隣に居るシリカに小声で聞いてみるか、シリカはどうも分からないと言った感じだ。

 

「こんなこともあろうかと、私は一か月前から《セルムブルク》で早朝より護衛の任に付いておりました!」

 

「そ……それ、団長の指示じゃないわよね?」

 

「私の任務はアスナ様の護衛!それは当然ご自宅までの護衛も」

 

「含まれないわよ!」

 

あ、これストーカーだ。

 

横を見るとシリカも嫌そうな顔をしている。

 

確かに朝起きて外に出たらあの人がいたらびっくりだよな。

 

「とにかく、本部まで戻りますよ!」

 

クラディールさんはそう言ってアスナさんの腕を掴む。

 

すると、キリトさんがアスナさんの腕を掴んでるクラディールさんの右手首を掴んだ。

 

「悪いな。お宅の副団長さん、今日は俺の貸切なんだ」

 

なんかキザっぽいセリフだな。

 

「アスナの安全は俺が責任持つ。何もボス戦をしようってわけじゃない。本部にはあんた一人で行ってくれ」

 

「貴様のようなビーターに、アスナ様の護衛が務まるか!私は栄光ある《血盟騎士団》の」

 

「アンタよりはまともに務まるさ」

 

「………それだけ大口叩けるなら、それを証明する覚悟もあるんだろうな」

 

そして、クラディールさんは何かを操作した。

 

おそらくデュエルを申し込まれたんだろう。

 

キリトさんはアスナさんの方を見る。

 

アスナさんは頷いた。

 

「………いいのか?」

 

「団長には私から言うわ」

 

そして、キリトさんはデュエルを承諾した。

 

キリトさんとクラディールさんは距離を取り向かい合う。

 

クラディールさんは腰から両手剣を抜いて構える。

 

キリトさんも背中から片手剣を抜く。

 

《血盟騎士団》所属のプレイヤーと《黒の剣士》キリトが闘うともあってギャラリーが集まる。

 

そして、二人が向かい合って暫くし、二人がほぼ同時に走り出し、スキルを発動した。

 

クラディールさんが発動したのは《アバランシュ》、キリトさんは《ソニックリープ》だ。

 

威力なら《アバランシュ》が上だ。

 

武器の攻撃同士がぶつかると威力が高い方に有利な判定が出される。

 

この場合、キリトさんの技は弾かれ、クラディールさんの攻撃によりキリトさんは負ける。

 

そう、普通なら。

 

互いの武器が当たるとつんざくような金属音が響いた。

 

そして、キリトさんとクラディールさんは互いの位置を変えるように移動していた。

 

そして、二人の中間に何かが刺さった。

 

それは、剣先だった。

 

見ると、クラディールさんの両手剣は真ん中から折れていた。

 

《武器破壊》

 

武器同士が衝突するとたまに起こる結果だ。

 

スキルの出始めか出終わりの攻撃判定が無いときにその武器の構造上、弱い位置・方向から強烈な打撃が当たると起こる。

 

クラディールさんの武器は色んな装飾が施され、華やかに見えるがそういった武器は耐久性が脆い。

 

キリトさんはソレを理解した上で行ったのだろう。

 

「武器を変えて仕切り直すなら付き合うけど………もういいんじゃないか?」

 

クラディールさんは悔しそうに顔を歪め小声で「アイ・リザイン」と言った。

 

そして、キリトさんの勝利が決まった。

 

それと同時に歓声が起きた。

 

するとアスナさんがクラディールさんに話をした。

 

「クラディール、《血盟騎士団》副団長として命令します。本日を以て護衛の任を解任。別命があるまでギルド本部にて待機。以上」

 

その命令にクラディールさんは悔しそうにしながら、別の両手剣を装備し、転移門から転移した。

 

それと同時に今度は別の《血盟騎士団》の人が現れた。

 

あれはスバルさん。

 

「アスナ副団長!こちらにクラディールが来ませんでしたか!」

 

「ええ、来ました。でもたった今帰って行きました」

 

「そうでしたか。申し訳ありませんでした。同じ護衛でありながらクラディールを押さえとくことが出来ませんでした」

 

「スバルさんが気にすることじゃありません。今日ゆっくり休んでください。今日は彼と組みます」

 

そう言ってキリトさんを見る。

 

スバルさんはキリトさんを見て笑顔を浮かべる。

 

「キリトさん、アスナ副団長を頼みます」

 

「あ、ああ、任された」

 

そう言って最後に笑いスバルさんも帰って行った。

 

「…………ごめんなさい、嫌なことに巻き込んで」

 

「いや、俺は良いけど、そっちのほうこそ大丈夫か?」

 

「今のギルドの空気は、ゲーム攻略だけを最優先に考えてメンバーに規律を押し付けたわたしにも責任があると思うし」

 

「それは……仕方がないだろ。逆にアスナみたいなのがいないと攻略ももっと遅れてた。ソロでだらだらやってる俺が言えたことじゃないけど………いや、そうじゃなくて………………だから、アスナも偶には俺みたいないい加減な奴と組んで息抜きしてもいいんじゃないか?」

 

キリトさんの言葉にアスナさんはぽかんとし、そして苦笑しながら頬を緩めた。

 

「とりあえずありがとうと言っておくわ。じゃあ、お言葉に甘えて今日は楽させてもらうわ。前衛よろしく」

 

「お、おい!前衛は交代だろ!」

 

そして、二人は迷宮区に向かって歩きだした。

 

そんな二人の後姿を見て俺達は軽く笑い、迷宮区に足を運んだ。

 

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