「シリ………カ?……どうして、ここに?」
「アスナさんが、教えてくれたの。レインとキリトさんが訓練に行って、一緒に行った人たちの反応が消えたから何かが起きたって」
そう言って回復結晶を使い俺のHPを全回復させる。
見ると俺達の前に立ちふさがる様にアスナさんが立っている。
「スバル……貴方、よくも…………」
アスナさんの怒りが目に見えて分かる。
「くそっ、副団長のお出ましか!まぁいい、どの道テメーも殺すつもりでいたからな!」
スバルさんは片手剣を構える。
アスナさんもそれに応えるかのように腰のレイピアを抜く。
「アスナさん、私にやらせてください」
「シリカちゃん………」
そう言ってシリカは腰の短剣を抜き、歩く。
そして、スバルさんの前に立つ。
「何だよ、小娘!テメーから死ぬか!?」
片手剣を振り上げシリカに振り下ろす。
しかし、シリカはそれを紙一重で躱し、《ダーディーダンス》を発動し、七連撃をスバルさんの体に斬り込む。
アーマーの繋ぎ目に沿うように斬られたためスバルさんのHPはみるみる減っていく。
「くっ、舐めんじゃねぇえ!」
《バーチカルスクエア》を発動するが、シリカはまるで軌道が見えているかのように躱す。
「す、すごい」
正直な話、シリカはパワーの面で言えば攻略組では最低クラスだ。
攻略組で短剣を使う人なんてシリカしか俺は知らない。
スピードはかなり速い方だが、アスナさんやキリトさんと比べればかなり遅い。
ましてや《剣聖》の二つ名を持つスバルさんとの差だってかなりある。
だが、今のシリカはスバルさんを圧倒してる。
「バカな………この俺が……こんなガキに……!」
その直後、スバルさんは持っていた片手剣を捨てた。
「分かった。降参する……だから、命は助けてくれないか?」
口元を引き攣らせながらスバルさんが命乞いをする。
行き成りの行動にシリカは驚いて攻撃の手を止めた。
「な、頼むよ。現実じゃあ、ガキが居るんだ……な?」
その言葉にシリカは唇を噛みしめる。
体が震えてる。
今のシリカはスバルさんを殺すつもりでいた。
そのため躊躇なくスバルさんを傷つけ、攻撃することができたが剣を捨てたことと、子供の話で思い出したんだ。
この世界で人を殺せば現実でも死ぬことと、人が死ぬ恐怖を。
「……ばぁーか。嘘だよ」
隠し持っていた短剣を取り出しシリカの短剣を弾き飛ばす。
「きゃっ!」
短い悲鳴を上げ、体勢を崩す。
「死ね!」
逆手に持った短剣を振り下ろす。
頭で考えるより先に体が動いていた。
麻痺が解除された瞬間飛び出し、シリカの前に立つ。
振り下ろされた短剣を突き出した左手で受け止める。
短剣を俺の左手の掌を貫く。
貫いた短剣ごと右手を握る。
「うおおおおおおおおお!!」
叫び声を上げ、右手の指を揃えるように伸ばす。
体術スキル零距離技《エンブレイサー》
発動したスキルは見事に喉に突き刺さる。
「あがっ!?」
残りの僅かなHPは全て削られ、スバルさんの体が消え始める。
「くっ……………テメェーも……人殺しになったな」
「………大切な奴を守る為ならいくらでも殺してやる」
そして、スバルさんの体は無数のポリゴンへと姿を変えて散った。
こうして俺の最初で最後の殺人が終わった。
レインがスバルを殺した理由
ちょっとした伏線です。
ヒント スバルの《ラフィン・コフィン》での二つ名が関係しています