二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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フェアリィ・ダンス編
プロローグ


デスゲームが終わって二ヶ月が経過した。

 

衰えた体も徐々に筋力が戻り、補助なしで歩くぐらいの事は出来るようになった。

 

昔の体重には程遠いけど、この二ヶ月で私の体は元に戻り始めている。

 

そう、体だけは………

 

「…………はぁ」

 

朝の散歩を終え、私は自分の部屋のベッドに倒れ込む。

 

ベッドで寝ていた猫のピナが驚き、あたしの方を見るが、暫くすると何事もなかったかのように眠りだす。

 

「……会いたいよ、レイン」

 

あの世界でレインは死に、あたしは生き残った。

 

レインはあたしとの約束を幾つか破った。

 

一緒に生きて帰る

 

一緒にチーズケーキを食べる

 

ユウナちゃんに会いに行く

 

キスをしてもらう

 

「約束、ちゃんと守ってよ」

 

涙が溢れだし、声を殺して泣く。

 

前に、声を出して泣いてたらお母さんに心配を掛けてしまい、それ以来布団に籠り泣くようにしてる。

 

二年間も心配を掛けていたんだ。

 

もうこれ以上心配はかけたくない。

 

頭の中でそう思っていても、心はそうもいかなかった。

 

食事は喉も通らないし、夜になると不安と孤独が押し寄せてくる。

 

親に心配させないためにも食事は摂っているが、普段ほど食べてないし、味も感じない。

 

「珪子、起きてる?」

 

お母さんがあたしを呼ぶ。

 

涙を拭き、扉を開ける。

 

「どうしたの?」

 

「お母さん、ちょっと出かけるから留守番お願いね」

 

「うん、わかった」

 

それだけ告げるとお母さんは家を出た。

 

お父さんも仕事だし、家にはあたし一人しかいない。

 

「……………はぁ」

 

溜息を尽き、ベッドに再び倒れ込もうとする。

 

その時、机の上の子機が鳴りだす。

 

家には誰もいないし、あたしが出るしかない。

 

「はい、綾野です」

 

『あ、桐ケ谷と申します』

 

この声………

 

でも、有り得ない。

 

あの人も、レインと死んだはず…………

 

「……もしかして、キリトさん?」

 

『……やっぱりシリカだったか』

 

キリトさんの声だ。

 

でも、キリトさんもあの時死んだはず………

 

「……本当にキリトさんですか?」

 

『ああ、キリトだ』

 

その瞬間、体に電流が走った感じがした。

 

キリトさんが生きてる……………

 

なら、レインも生きてる?

 

そう思った瞬間、あたしは大声を上げた。

 

「キリトさん!キリトさんが生きてるってことは、アスナさんも、レインも生きてますよね!?」

 

『…………それが分かるかもしれない。台東区御徒町のごみごみした裏通りに、黒い木造の喫茶店がある。名前は《DiceyCafe》って言う。今からそこまで行けるか?』

 

台東区ならここから近い!

 

「行けます!」

 

電話を乱暴に切り、コートを羽織る。

 

家の扉を閉めて、庭に置いてある自転車に飛び乗った。

 

ペダルを漕ぎ、《DiceyCafe》を目指した。

 




ALOではシリカがメインとなって物語が進みます。
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