二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第2話 仲間

「キャッ!」

 

森の中に落下したあたしは、軽い悲鳴を上げる。

 

「イタタッ」

 

腰を押さえながら立ち上がり、辺りを見渡す。

 

すると、頭に懐かしい重みを感じた

 

見ると、そこには体をふわふわとしたペールブルーの綿毛に包み、2本の大きな羽を後ろに伸ばした小さなドラゴンがいた。

 

「ピナ!」

 

「きゅるるる♪」

 

あたしは有らん限りのちからで抱きしめた。

 

久々の抱き心地。

 

ピナを抱きしめ一安心するともう一度辺りを見渡す。

 

「ケットシーのホームタウン………じゃないよね」

 

「きゅるる」

 

どうみても、森の中だ。

 

あたしの問いにピナが答えるように鳴く。

 

でも、どうしてここに来たんだろう?

 

「そうだ、ログアウトボタンは……」

 

アナウンスで聞いた通りに左手を振り、メニューウィンドウを出す。

 

メニューを操作し、一番下に《Log Out》のボタンを見つける。

 

「あった」

 

安堵の溜息を付き、試しに押してみる。

 

すると、フィールドでは即時ログアウトはできませんと表示が出てイエス、ノーの表示が出た。

 

ノーを押し、今度はステータスを覗く。

 

「え?」

 

思わず口から短い言葉が漏れた。

 

シリカの名前の下にケットシーなる種族名、HPとMPがあり、それぞれ400と80と初期設定だ。

 

ここまではいい。

 

だが、その下にある取得スキル欄には複数のスキルが入っていた。

 

《短剣》《索敵》《体術》《投剣》といった戦闘系スキルから、《料理》《釣り》などの生活系スキルがあった。

 

しかも《短剣》と《体術》、《料理》は完全習得されていて、他のスキルは800~900代になっている。

 

「一体どういうこと?」

 

バグかな?

 

でも、この数値どっかで見たことが………

 

《短剣》1000……《投剣》923……《体術》1000……《料理》1000……《索敵》851……《釣り》709……

 

「あ、SAOと同じだ」

 

この数値は全部あたしがSAOで習得していたスキルの熟練度と同じだ。

 

いくつか欠損しているスキルもあるけど、確かにあたしが習得していたスキルだ。

 

「どうなってるの?ここはSAOの中なの?」

 

不安を抱き、今度はアイテムウィンドウを出す。

 

そこには漢字やアルファベット、数字の羅列が並んでいた。

 

「うわ、文字化けしてる」

 

多分、これはSAOであたしが使っていたアイテムだ。

 

この中にレインとの思い出のアイテムもあっただろう………

 

そう思うと少し悲しい。

 

あっても邪魔になるだけだし、アイテムタブの容量の事もあるのですべて破棄した。

 

ああ、もったいないし、悲しいな。

 

これで、持ってるのは初期装備の防具と短剣だけか。

 

所持金も初期設定だし……………十万ユルドって………所持金までおかしくなってる。

 

なんかビーターみたい…………βテストは受けてないからただのチーターか……

 

「はぁ…………あ、そう言えば飛行ができるんだっけ」

 

このゲームでは空を飛ぶことが出来るのを思い出し事前に呼んだ説明書の内容を思い出す。

 

「確か、左手を握るようにすると、コントローラーが現れるんだっけ」

 

左手を握るような形にすると手の中にスティック状のコントローラーが現れる。

 

「手前で上昇、押し倒して下降、左右で旋回、ボタン押し込みで加速、離すと減速か………よし」

 

スティックを手目に押し、上昇する。

 

一メートル程上がった所で、停止し、今度は下降、旋回、加速、減速をする。

 

二、三分練習し、スティックの使い方を学ぶ。

 

「よし、これで大体は分かったかな。後は情報を集めないと」

 

「おお!こんな所に初心者はっけ~ん!」

 

上を見上げると赤い鎧を装備し、ランスと両手剣、刀を持った妖精が三人いた。

 

「しかも、女じゃん!」

 

この視線は何度もあの世界で感じたことがある。

 

女性プレイヤーを厭らしい目で見てくる男性プレイヤーと同じだ。

 

あの時はレインが傍に居たこともあって気にならなかったが、一人だと恐怖を感じる。

 

「お前ら、そうやって初心者狩りとかやめろよ。たんなる苛めだろ?それに、女を斬るなんて俺の趣味じゃねぇ」

 

「何紳士ぶってんだよ!てか、新入りの癖にタメ口か!」

 

「そうだぜ!こんな、上玉の獲物見逃す理由がねぇ!あと、敬語使え!」

 

「わかったよ。好きにしてくれ」

 

刀を男性プレイヤーはそう言って離れた所に移動する。

 

「へへ!女を斬るなんて久々だな!」

 

「良い声で鳴いてくれよ」

 

それぞれの獲物を構え、あたしの体を舐め回すように見てくる。

 

あたしも腰の短剣を抜き構える。

 

「はは、そんな初期装備で勝てると思うなよ!」

 

ランスを持ったプレイヤーが突進してくる。

 

それをあたしは、ジャンプして避ける。

 

そして、背中を思いっきり蹴り飛ばす。

 

「うおっ!」

 

男はそのまま地面に倒れ伏せる。

 

「いっつ~!」

 

頭を押さえゆっくりと起き上がってくる。

 

「せやあ!」

 

その隙を見逃さず、使い慣れた動作で《ダーティーダンス》を使う。

 

システムアシストが無いので、そっくりに再現は出来ないが、それなりに似てるはずだ。

 

アーマーの繋ぎ目に沿うように切り裂き、最後の一突きを首に刺す。

 

「ぐああああああ!」

 

ランスを持った男は体を体を四散させ、小さな赤い火になった。

 

「次は貴方?」

 

短剣を逆手に構え、睨みつける。

 

「く、くそがぁぁぁぁぁ!」

 

両手剣を振り回し、攻撃をしてくる。

 

だが、レインの太刀筋と比べれば遅い。

 

全てを躱し切ると、今度は横薙ぎに剣を振る。

 

背後にジャンプし、後ろに回った両手剣の刃に着地する。

 

「な!?」

 

「はっ!」

 

驚きあたしを見るプレイヤーの顔の中心に短剣を突き刺し、HPを全て奪い取る。

 

そして、最後に残った刀を持った男性を見る。

 

「貴方はどうします?戦いますか?」

 

問いかけてみるがそのプレイヤーは口を開けてこっちを見ていた。

 

どうしたんだろう?

 

「き、君!もしかして、シリカちゃん?」

 

「え?ど、どうしてあたしの名前を?」

 

「俺だよ、俺、クラインだよ」

 

「え、えええええええええ!?」

 




はい、クラインの登場です。

この先、他のSAOメンバーも登場する予定です。
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