二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第9話 同盟調印

ユージーンさんを倒すと、沈黙が流れた。

 

誰も話さない。

 

そんな中、沈黙を破ったのは

 

「見事、見事!」

 

「凄い、ナイスファイトだよ!」

 

二人の領主さんだった。

 

そして、他のシルフとケットシーの人たちも歓声を上げる。

 

驚いたことに、サラマンダーの人たちからも、先程の戦闘を称賛する声が上がった。

 

あたしはピナを呼び戻し、背中に跨り、みんなの下に降りる。

 

地面に着くと同時にピナに掛けた魔法が解け、元の大きさになる。

 

「やったな。シリカ」

 

「凄かったぜ!」

 

「まさか、ピナがでっかくなるとはな」

 

「流石は《竜使い》だな」

 

「まさか、あんな隠し玉が有ったなんてね」

 

みんなで勝利を喜んだあと、サクヤさん(シルフの領主さん)がユージーンさんのリメンライトに蘇生魔法を掛け、復活させた。

 

「まさか、ケットシーにこんな強者がいるとは、ケットシーも侮れんな」

 

「あたしなんてまだまだです。キリトさんの方がもっと強いですよ」

 

「そうか、それは是非、一度対戦したいものだな」

 

「勘弁してくれ」

 

ユージーンさんの好戦的な目にキリトさんはたじろぐ。

 

「それで、約束は守ってくれますよね」

 

「言っただろ?俺は武人だ。一度剣に誓えば、何があろうと反故する気は無い。それに、貴様のようなケットシーがいるとなれば、退く理由には十分だ」

 

「ありがとうございます」

 

そう言うとユージーンさんはサラマンダーの大部隊を率いて帰って行った。

 

結構いい人だったな。

 

「すまんが……状況を説明してもらえると助かる」

 

サクヤさんが状況の説明を求めて入って来た。

 

ここまでに至った経緯を話すとサクヤさんはアリシャさん(ケットシーの領主さん)に《月光鏡》という魔法を使ってもらい、シルフ領に居るシグルドをシルフ領から追放した。

 

「それにしても、君、凄い強いね。でも、私、君みたいな子初めて見るんだけどな~。初心者にしては戦いなれてるし、でも、それだけの実力なら、私の耳にはさんでもいいぐらいなのにな~」

 

うっ、来たか………

 

闘ったら来るかと思ってたけど………何て言って誤魔化そうか………

 

「ちょっと、領主館まで来て、話聞かせてもらうよ」

 

え!?そ、それはマズイ!

 

一刻も早く世界樹に行かないといけないのに!

 

「あ、あの、あたしどうしても世界樹に行かないといけないんです!今すぐに!」

 

「世界樹?どうして?」

 

「………探してる人がいるんです。だから、あたし世界樹に行かないといけないんです!説明なら帰って来てからいくらでもします。だから、今だけは許してください!」

 

あたしは頭を下げて、お願いする。

 

「俺からも頼む。俺達はどうしても行かないといけないんだ」

 

「あたしからもお願い!今だけは見逃して!」

 

キリトさんとリーファさんもアリシャさんに抗議してくれる。

 

「う~ん、でもな~」

 

「アリシャ、彼女たちに助けてもらい、そのおかげで同盟も無事に済んだ。なら、少しぐらい我儘を聞いてやってもいいだろ?」

 

「………分かったよ。サクヤちゃんもそこまで言うなら、もう聞かない。ごめんね、無理強いするようなこと言って」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

あたしがお礼を言うと、リーファさんが口を開く。

 

「ねぇ、サクヤ、アリシャさん、今回の同盟って世界樹攻略のためなんでしょ?」

 

「まぁ、究極的にはな」

 

「その攻略に、あたしたちも参加させて欲しいの。それも、できるだけ、早く」

 

「それは構わない。というより、こちらから頼みたいぐらいだ。だが」

 

「攻略メンバー全員の装備を整えるのに暫くかかると思うんだヨ。とても一日二日じゃ……」

 

「いや、いいさ。取りあえず樹の根元まで行くのが目的だし……あとはなんとかするよ。あ、そうだ」

 

そう言うとキリトさんは全財産が入った革袋を取り出した。

 

「これ。攻略資金の足しに使ってくれ」

 

「え!?こ、こんな大金を!?」

 

「ああ、俺にはもう必要ないからな」

 

キリトさん。豪快だな~。

 

でも、後の事考えてないよね?

 

「これだけあれば、かなり目標金額に近づくよ」

 

「すぐに装備を整えて、準備が出来たら連絡させてもらうよ」

 

「その時はよろしく頼む」

 

「おい」

 

急にアルブスさんが口を開いた。

 

「装備を整えるならコイツを連れてけ」

 

そう言ってリズさんを前に出す。

 

「コイツ、見ての通りレプラコーンだ。鍛冶スキルも中々なもんでな、此奴に全員分の装備を作らせればかなりの戦力になると思うぞ」

 

「そうか、しかし、そうは言っても、私達は彼女の鍛冶スキルを知らない。できれば、彼女の作ったものを見せて貰えるか?」

 

「なら、この刀だ」

 

そう言って腰の刀を渡す。

 

「え~と…………うわ!この刀凄い!古代武装級の性能だヨ!」

 

「こ、これは凄い……」

 

「どうだ?」

 

「是非ともお願いしたい!」

 

「だとよ」

 

アルブスさんはリズさんを見る。

 

「…………分かった。貴女達さえよければ、防具と武器、作らせてもらうわ」

 

「ありがとう」

 

そして、サクヤさんとアリシャさんの合図で全員が帰る準備に入った。

 

「何から何まで世話になったな。君たちの希望に極力添えるように努力することを約束するよ」

 

「アリガト!また会おうネ!」

 

「アンタ達、気を付けなさいよ!それと、アルブス、死んだりしないようにね!」

 

そう言ってサクヤさんとアリシャさん、リズさん、シルフとケットシーの人たちはケットシー領に向かって行った。

 

「行ったな」

 

「ああ」

 

「アルブス、良かったのか?」

 

「は?」

 

「愛しのリズと離ればなれでよ~」

 

「な!?何言ってやがる!俺とリズはまだ!」

 

「まだ?てことは、何時かはそうなるつもりか?」

 

「いや~、妬けますな~」

 

「て、テメーら!打った斬ってやる!」

 

「「うお!逃げろ!」」

 

アルブスさんをからかいアヤメさんとクラインさんが逃げ出す。

 

その後を顔を赤くしたアルブスさんが追いかける。

 

「おい!待てよ!」

 

「あ、ちょと!……もう!」

 

その後をキリトさんとリーファさんが追いかける。

 

「…………レイン。待っててね」

 

あたしは拳を握り空を仰ぎ、呟いた。

 

世界樹に居るかもしれないレインに、言うように。

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