二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第11話 グランド・クエスト

上空を目指しひたすら飛び続ける。

 

視界から建造物が見えなくなり、雲を突き抜けると徐々に世界樹の一番下の枝が見え始める。

 

だが、次の瞬間見えない壁があるかのように世界樹へ近づくのを阻まれる。

 

あまりの衝撃に意識を失いかける。

 

「おい!しっかりしろ!」

 

落ちそうになったあたしをアヤメさんが受け止める。

 

「す、すみません」

 

「たく、少しは落ち着け。アスナはともかく、レインに関しては情報がある。グランド・クエストで、世界樹へ繋がってるゲートはドームの中にある。ドームの中を一定以上進むとレインと思しき奴が現れて戦闘になるんだ」

 

そう言えば、エギルさんもそんなことを言ってた気がする。

 

「なら、ドームに行けば、レインに会うことが………」

 

「可能性としてはある。だが」

 

アヤメさんの言葉も聞かずあたしは急降下をする。

 

アルン中央市街に降り立つと周りに居たプレイヤーが驚き、こっちを見ている。

 

だが、そんな視線も気にせずあたしは世界樹を見上げる。

 

ドームまでの道はさっき上空で確認したから大丈夫。

 

翅を振るわせ飛ぼうとすると、近くに誰かが落ちてきた。

 

落ちてきたのはキリトさんだった。

 

「キリトさん!」

 

「シリカ!………シリカも、行くんだな」

 

「…………はい」

 

「よし。なら、行こう!」

 

「はい!」

 

キリトさんの言葉に力強く頷き、同時に翅を震わせ、市街地をすり抜ける。

 

「パパ、シリカさん、いいんですか?今までの情報から類推するとゲート突破にはかなりの困難を伴うと思われます」

 

「ぶつかってみるしかないだろ。それに、失敗しても命まで取られるわけじゃない」

 

「それは、そうですが………」

 

そこで、丁度ドームへ繋がる階段の前に辿り着き、着地する。

 

キリトさんは着地と同時に、ユイちゃんの頭に指を置き、撫でる。

 

「それに、もう一秒でもぐずぐずしてると発狂しちまいそうだ。ユイも早くママに会いたいだろう」

 

「………はい」

 

階段を上り、ドームへ繋がる入口の前に立つ。

 

入口にはあたしたちの十倍はある大きさの妖精の騎士の彫像が両脇に一体ずつあった。

 

すると、彫像が動き出し、持っている剣を交差させる。

 

『未だ天の高みを知らぬ者よ、王の城へ至らんと欲するか』

 

低音の声が響くと、目の前にクエストへの挑戦意志を質すイエス、ノーのボタンが現れた。

 

あたしは迷うことなくイエスを選ぶ。

 

『さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい』

 

轟音が響き、扉が開かれる。

 

その音は何処か、アインクラッドでのフロアボスのボス部屋の扉が開く音を彷彿させた。

 

キリトさんは背中の剣を抜き、構える。

 

あたしも腰の短剣を抜き、構え、ドームの中に入った。

 

ドームの中は薄暗かったが、すぐに明るくなった。

 

中は空洞になっていて天井にはゲートがあった。

 

おそらく、あそこが世界樹へ繋がるゲードなのだろう。

 

キリトさんは剣を両手で握りしめ、そして、勢いよく飛び上がった。

 

それに続くようにあたしも飛ぶ。

 

飛び上がってすぐ、白い窓から二体のガーディアンが現れた。

 

その内の一体をキリトさんは剣を交え跳ね退けたら、剣を首に突き刺し斬り落とす。

 

あたしに迫って来たガーディアンの剣をあたしは短剣で受け流し、鏡のようなマスクで覆われた顔に短剣を突き刺した。

 

弱い、これならいける!

 

そう確信し、更に上を目指す。

 

すると今度は無数の窓から大量にガーディアンが生み出された。

 

その数に圧倒され、一瞬怯むが、病室で横になってるレインの姿を思い出し、短剣を再び強く握る。

 

そして、再度上を目指して上昇する。

 

あたしに向かって剣を振り下ろしてくる。

 

何とか剣をギリギリで回避し、顔、首、胸、と的確に短剣を突き刺し倒す。

 

それでも、ガーディアンはまだまだいる。

 

今度は二体同時に襲い掛かって来た。

 

一体の剣を短剣で受け止め、もう一体の剣の腹を足で受け止め、防ぐ。

 

「せやっ!」

 

足を滑らせるように剣をずらし、その剣を、あたしが剣を受け止めてるガーディアンに向ける。

 

剣はガーディアンに突き刺さり、剣を刺したガーディアンにも剣を刺されたガーディアンの剣が突き刺さる。

 

これで身動きが取れなくなった。

 

その二体の頭を掴み、全力で翅を振るわせ、そのまま壁に向かって二体のガーディアンの頭を叩き付けた。

 

グシャッ!と言う音が響き、二体のガーディアンの頭は潰れ、そのまま白い炎となって消えた。

 

大分ゲートまで近づいてきた。

 

キリトさんはまた後ろの方で何体かと戦っている。

 

後ろを見て、キリトさんの様子を確認する。

 

そして、その瞬間、何かがアタシの前に立ちふさがった。

 

白い髪に赤い目、透き通るような白い肌、純白のコートを身に纏い、手には巨大な白い両手剣が握りしめられていた。

 

「…………レイン」

 

あたしの大切な人、レインがいた。

 

「レイン、あたし、シリカだよ。分かる?」

 

レインは手に持った両手剣を振り上げ、あたし目掛けて振り下ろす。

 

なんとか短剣で受け止めるも、威力を全て殺すことが出来ずHPが減る。

 

「レイン!止めて!姿は違うけど、シリカだよ!」

 

だが、そんああたしの叫びを無視し、レインは両手剣を横薙ぎに振る。

 

後ろに下がり躱す。

 

しかし、剣先があたしの胸を切り裂き、HPを奪う。

 

「ぐっ!」

 

レインの攻撃に思わず歯ぎしりをする。

 

このままじゃ、やられる。

 

なんとかして反撃を…………反撃?

 

レインを……斬るの?

 

この手で?

 

………いやだ………嫌だ!

 

それだけは絶対に………

 

そんなことを考えてると、レインは剣を下から振り上げる体勢になっていた。

 

そして、そのまま、あたしを斬りつける。

 

短剣で受け止めるが、勢いが強く、そのまま壁にあたしの体は叩き付けられた。

 

「がはっ!」

 

肺から一気に空気が抜けだしたかのような感覚に襲われる。

 

そして、レインの剣はあたしの体を突き刺し、壁に貼り付けた。

 

徐々にあたしのHPは減っていきイエローにまで下がる。

 

それでも、なお下がり続ける。

 

「れ………いん」

 

弱々しく手をレインに伸ばす。

 

だが、レインはあたしを冷酷な目で見るだけだった。

 

あの世界で、あたしを守ってくれた優しい瞳はそこになかった。

 

妖精王護衛隊長 レイルとして、侵入者を排除しに来た、無慈悲な瞳がそこにあった。

 

そして、HPがレッドになり、とうとうゼロになった。

 

体から炎があふれ出し、あたしを包んだ。

 

そして、視界に【You are dead】の文字が浮かび上がった。

 

あたしは、死んだ。

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