あたしの体が燃え、リメインライトになった。
体は無くなっても意識はあり、今の状況がはっきりと分かる。
どうやらキリトさんもやられたらしく、ガーディアンたちは出現した窓から姿を消した。
レインもあたしを倒すと、どこかへと消えていった。
あたしの目の前には【蘇生猶予時間】の表示と、少していく数字が見える。
この数字がなくなったらあたしはどうなるのだろう?
SAOではHPの0はそのまま現実では死になる。
だから、VRMMOでの死はこれが初めてだ。
SAOと違うのは死んでも現実では死なないことぐらいだ。
死なないなら何度でもここに来て、何度でも戦って、レインに呼び掛ける。
あたしには、それしかできない。
それしか…………
その時、後ろから誰かが来る気配がした。
「俺とクラインで敵を引き付ける!アヤメはその間にシリカのリメインライトを回収だ!」
「任せろ!」
「どうにでもなりやがれ!」
アルブスさん、アヤメさん、クラインさんの三人がこちらに来るのか見えた。
アルブスさんとクラインさんが刀を使いガーディアンを退けながら、アヤメさんがあたしを回収する。
「回収した!撤退するぞ!」
アヤメさんの声を合図に三人は一気に下に降り、入口に向かう。
入口を飛び出すと三人は転がるように石畳に落ちる。
「クライン!早く、アレを!」
「分かってる!」
クラインさんはアイテムウインドウを開き、青い小瓶を取り出し、中の液体をあたしに垂らす。
すると、魔法陣が展開し、あたしの体を復活させた。
「たっく、無茶しやがって」
「一人で戦おうだなんて無謀にも程があるぞ」
「少しは俺達も頼れ」
「す、すみません」
三人に頭を下げ謝り、自分の行動を顧みる。
うん、結構無茶したな………
「キリト君!待って……一人じゃ無理だよ!」
「そうかもしれない、でも、行かなきゃ……」
隣で復活したキリトさんが、またグランド・クエストに挑もうとしているのをリーファさんが止めようとしている。
「もう、もうやめて……いつものキリト君に戻ってよ。……あたし……あたし、キリト君の事………」
「………俺、あそこに行かないと、何も終わらないし、何も始まらないんだ。会わなきゃいけないんだ、もう一度………もう一度………アスナに」
「…いま……いま何て……言ったの?」
「ああ・・・・・・・・・アスナ、俺の捜してる人の名前だよ」
「でも……だって、その人は……………お兄ちゃん……なの?」
リーファさんお言葉にあたしは驚いた。
あたしだけでなく、アヤメさんたちも驚いてる。
「え……………?スグ……直葉……?」
あたしは、ついさっき出会ったキリトさんの妹の直葉さんを思い出す。
「嘘……酷いよ……あんまりだよ、こんなの……」
リーファさんがそう言うと、リーファさんはそのままログアウトをした。
「あ!スグ!」
キリトさんが声を上げるが、もうリーファさんはその場に居ない。
「キリト」
その場で呆然としているキリトさんにクラインさんが、声を掛ける。
「なんなのか知らんが、一度話し合ってこい」
「……ああ」
キリトさんも、ウインドウを操作し、ログアウトをする。
「さて、俺たちはこれからどうする?」
「取り敢えず、俺は装備でも整えてくる」
「なら、俺も。ついでに、アイテムも補充しとかないとな」
そう言ってアヤメさんとクラインさんは街の方に向かった。
「シリカ」
「は、はい?」
アルブスさんがあたしに声を掛けてきた。
「お前、あの時、レインを斬るのを躊躇ったよな?」
アルブスさんの質問にアタシは何も言えなかった。
「いいか?今のアイツはレインじゃない。斬りたくないって気持ちは分かる。だが、そんな甘ったれたことを言ってると、また、お前がやられるぞ」
「でも………」
「レインを斬る覚悟ができないなら、今ここで決めろ。でないと、お前をグランド・クエストには行かせれない」
アルブスさんの言ってることはもっともだ。
でも、それでもあたしは…………
「嫌です」
「何?」
「レインにあたしの記憶がなかったとしても、あたしが殺されることになっても、あたしはレインを斬りません。それが、あたしの覚悟です」
「なら、どう戦うんだ?」
「呼びかけます。何度でも、何度でも呼びかけます」
「それで、アイツが助かると思ってるのか?」
「分かりません。でも、あたしは、レインを傷つけたくない」
あたしはただ自分の想いを真っ直ぐアルブスさんに言った。
「…………はぁ~、分かった。お前がそこまで言うならもう何も言わない。その代り、ちゃんとレインを助けろよ」
「はい」
そんな会話をしてると、キリトさんが現れた。
あたしたちに見向きもせず、そのまま空を飛びどこかに向かった。
次にリーファさんが現れたので声を掛けようと思ったがリーファさんの表情がとても暗かったので声を掛けるのを躊躇ってしまった。
その時、見覚えのあるシルフの人がやって来た。
「リーファちゃん!」
「れ、レコン!?どうしてここに?サラマンダーに捕まってたんじゃ!」
「全員毒殺して逃げてきた。ところで、他の人たちは?」
「…………あたしね、あの人に酷いこと言っちゃった……口にしちゃいけない事言っちゃって傷つけたの………あたし、馬鹿だ…………ごめんね、変なこと言っちゃって。もうあの人たちには会えないから……帰ろう、スイルベーンに」
寂しそうに俯きながらリーファさんはあたしたちに気付かないまま、階段を降りようとする。
するとレコンさんはリーファさんの腕を掴んだ。
「ど、どうしたの?」
「リーファちゃん、泣いちゃダメだ。いつも笑ってないとリーファちゃんじゃない。僕じゃ頼りないけど、僕が傍に居てあげる。ゲームでも、リアルでも、ずっと傍に居てあげる」
「ど、どうしてそんなこと………」
「好きだから、リーファちゃんが、直葉ちゃん好きだから!」
いきなりの告白にリーファさんはビックリした。
わたしとアルブスさんもまさか目の前で告白が行われるとは思ってなかったので驚いた。
すると、レコンさんは行き成りリーファさんにキスをしようとした。
「ちょ、な、何する気よ!」
リーファさんは拳を握り、見事な一撃をレコンさんの鳩尾に叩き込んだ。
レコンさんは二メートル程吹っ飛び、階段を転げ落ちるように落下した。
「あ、だ、大丈夫!?」
「イタタ~、酷いよ、リーファちゃん」
「それは、行き成りあんなことするアンタが悪いのよ!」
「でも、変だな。あとはもう僕が告白する勇気があるかどうかの問題だと思ったのになぁ」
「あんたって、本当にバカね」
「うぐっ」
リーファさんの言葉にダメージを受けて、うなだれるレコンさん。
その様子を見てリーファさんは、急に笑い出した。
「あ、やっと笑ってくれた」
「え?」
「うん、やっぱりリーファちゃんは笑ってる方がいいよ。これなら、告白したかいがあったよ!」
「まさか、そのために告白を?」
「ううん、気持ちは本物だよ。だけど、キスしようとしたところからは少しギャグのつもりだったかな。無論、キスをするつもりはなかったよ。途中ですっ転んで、階段を落ちるつもりだったし」
レコンさんの答えに、あたし、アルブスさん、リーファさんも唖然とした。
「まったく、アンタは…………ありがと。あたしもたまにはアンタを見習ってみるわ」
そう言うと、リーファさんは空に上がり、キリとさんが向かった方に飛んで行った。
「えっと、それで、どうなったの?」
あの後、暫くしてリーファさんとキリトさんが戻って来た。
リーファさんは何か吹っ切れたような表情だった。
「世界樹を攻略するの、此処に居る7人で」
「あ、そう……ええ!?」
レコンさんは顔を蒼白させて驚く。
「ユイ、さっきの戦闘で分かったことは?」
「はい、ステータス的にはさほど強くはありません。ですが、出現数が以上です。あれでは、攻略不可能な難易度に設定されているとしか思えません」
「個々のガーディアンなら一撃、二撃で倒せるんですけど………」
「相対的には絶対無敵な巨大ボスと一緒ってとこか」
「ですが、パパたちのスキル熟練度なら瞬間的な突破は可能かもしれません」
ユイちゃんの言葉にあたしとキリトさんは顔を合わせ頷く。
「皆、もう一度だけ俺達の我儘に付き合ってくれ。なんだが、もうあまり時間が無い様な気がする」
「いくらでも付き合ってやるよ!そのために来たんだからな!」
「さっさと終わらせて皆で祝杯をあげよう」
「俺達ならきっとできる」
「あたしも協力する。勿論、コイツもね」
「ええ~…………まぁ、僕とリーファちゃんは一心同体だけど」
「調子に乗るな」
変なことを言うレコンさんにリーファさんが突っ込み場の空気が和む。
そして、リーファさんが手を前に出し、その上にレコンさん、クラインさん、アヤメさん、アルブスさんの順に手を置き、そして、あたし、キリトさんの順で手を置く。
最後にユイちゃんがちょこんとキリトさんに手に乗る。
「皆、ありがとう」
「ありがとうございます」
皆にあたしたちはお礼を言う。
「ガーディアンは俺たちで倒す。リーファとレコンは遠くからの回復に努めてくれ」
キリトさんの指示にあたしたちは頷き、扉に手をかける。
そして、再びグランド・クエストが始まった。
あたしたちは直ぐに翅を振るわせ、空を飛ぶ。
それと同時にガーディアンたちも一斉に現れる。
さっきはあたしとキリトさんしかいなかったけど、今は仲間がいる。
互いにカバーし合いながら、ガーディアンたちを倒していく。
それでも、隙が出来少しずつダメージを受けていく。
ピナのヒーリングブレスとリーファさんとレコンさんのヒールでHPを回復する。
すると、急にガーディアンはリーファさんたちに目を向けた。
まさか、攻撃しなくても戦闘に手を出したら攻撃対象にされる?
それじゃあ、前衛と後衛に分けた意味が無い…………
そう思ってると急にレコンさんが、回復役を止め、敵に攻撃を始めた。
すると、ガーディアンたちはレコンさんに狙いを定め攻撃をする。
レコンさんは攻撃をしながら、ガーディアンたちを引き連れる。
大量に引き連れると、レコンさんはスペルを唱える。
魔法陣が展開され、魔法陣はいくつかの陣を作りは回転し、巨大な球体を作った。
そして、巨大な音と閃光を放った。
すると、空中を覆いかぶさってたガーディアンの壁に巨大な穴が開いていた。
そして、その中央には小さな緑色のリメインライトがあった。
自爆魔法
それも、これだけの威力なら、相当な死亡罰則もあるはず…………
「キリト!シリカ!悲しんでる場合じゃないぞ!」
アルブスさんに声を掛けられる。
「あいつが作った道を無駄にするな!あそこを突破するぞ!」
そうだ!
レコンさんが自分を犠牲にしてまで、作ってくれたんだ。
無駄にしちゃいけない!
そう思い、全力でその穴を目掛け飛ぶ。
だが、すぐに目の前にガーディアンが現れる。
「くそ!落ちろ!」
キリトさんが剣を振りガーディアンを切り裂く。
その時
バキンッ!
嫌な金属音が響いた。
キリトさんの剣が真ん中からへし折れていた。
今まで戦闘で耐久値が減り過ぎてとうとう折れてしまった。
折れた剣はキリトさんの手の中でポリゴンになって砕ける。
キリトさんは予備の剣を持ってない。
このままじゃ…………キリトさんの心配をしてると背後からガーディアンが襲い掛かってくる。
体を捻り、回避するも僅かに掠る。
キリトさん、アヤメさん、アルブスさん、クラインさんもダメージを受けHPが減ってる。
このままじゃ…………
半分あきらめていると背後から声が聞こえた。
気になり後ろを振り向くとそこには同じアーマーで身を固めたシルフのプレイヤーたちと飛龍に乗ったケットシーのプレイヤーたちがいた。
「ドラグーン隊!ブレス攻撃用―――意!」
「シルフ部隊!エクストラアタック用意!」
「ファイヤブレス、撃て―――――――――ッ!」
「フェンリルストーム、放てッ!」
飛龍が口から巨大な炎を吹き、シルフ部隊の人たちは剣先から眩い閃光を放ちガーディアンを一掃した。
徐々にガーディアンたちは数を減らし始める。
これなら、突破が出来るはず。
でも、キリトさんには武器が…………
「キリト――――――ッ!」
すると、遠くからリズさんが布で包んだ何かを持って飛んでくる。
「リズ!どうしてお前が!」
「それは後!キリト、とにかく今はコレを受け取って!」
何かを言おうとしたアルブスさんを黙らし、キリトさんに二本の包みを渡す。
「こ、これは……!?」
布の中には二本の剣があった。
一本は薄青い刃の剣、もう一本は黒い刃の剣
それを手に取るとキリトさんは不敵に笑う。
「重い………相変わらず良い剣だ!」
二本の片手剣を構え、キリトさんはガーディアンを見る。
「アルブス、お前はリズを連れて、脱出しろ」
「な!?だ、だが!」
「この混戦の中リズ一人返す訳には行かないだろ。頼む。」
「アヤメさん、クラインさん二人の護衛をお願いします」
「キリト、シリカ………信じてるぞ」
「必ず、二人を助けろ」
「失敗したら財布の中無くなるまでメシ奢らせるからな」
「ああ」
「はい」
四人が撤退し、あたしとキリトさんはそれぞれ武器を構え
「う お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お お ! ! 」
「は あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! 」
キリトさんは両手に握った片手剣を縦横無尽に振り、ガーディアンを一直線上に葬り去る。
あたしも、短剣を振り、ガーディアンの弱点を全て的確に切り裂く。
そして、とうとうガーディアンたちの壁を突破した。
そして、キリトさんの剣は石作りのゲートに突き刺さる。
だが、ゲートは開かなかった。
「どういうことだ?ユイ!」
「はい!」
ユイちゃんがキリトさんの胸ポケットから飛び出し、ゲートを触る。
「これは、クエストフラグによってロックされてるものではありません!システム管理者権限によるものです!」
「ど、どういうことなの!?」
「つまり、この扉はプレイヤーに絶対に開けられないということです!」
そんな!
それじゃあ、どうあっても、ALOの全プレイヤーは空中都市を目指せないってこと?
みんなが求めてるアルフへの転生も夢の夢ってこと?
そんなの酷過ぎる…………
そう思ってると、ガーディアンたちが徐々にこっちに向かいやってくる。
その中にあたしは知った顔を見つける。
「レイン………!」
持っている短剣を握り締める。
「ユイ、これを使え!」
キリトさんがユイちゃんに銀色のカードを差し出す。
「コードを転写します!」
「シリカ!掴まれ!」
「で、でも、あそこにレインが!」
「一対一ならともかく、相手はガーディアンもいるんだ!いくらなんでも一人で戦うのは無謀だ!それにレインのプレイヤーIDがあるってことはレインはプレイヤーとして存在してる!なら、このカードとシステム・コンソールがあればレインをログアウトさせることも可能だ!だから、今は来い!」
キリトさんの言葉に躊躇いながらも、あたしは手を伸ばす。
「…………転送されます!掴まってください!」
そして、あたしたちは白く輝くスクリーンの中へと、データの奔流となって突入した。
後、もうすぐで終わる。
アインクラッド編より進みが早い。
そして、やらせたかったリズから新たな二本の剣を渡され二刀流をするキリト。
では次回いよいよ下種郷の登場!
スーパーオベイロンタイム(下種郷による虐待タイム)始動!
そして、下種ヤロウに鉄槌を!
それではまた次回!