二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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とうとう最終話!


エピローグ

古典の文と訳が映し出された黒板を眺め、手元のタブレットPCに内容を書き写す。

 

暫くすると、鐘の音のようなチャイムが流れ、授業の終わりを告げる。

 

「それでは、今日の授業はここまで。課題ファイル16と17を転送するから、来週までにアップロードしとくように。では、また来週」

 

初老の先生は、片手に資料を抱え、もう片方の手を腰に当ててゆっくりとした動きで教室を出ていく。

 

タブレットPCを操作し、ダウンロードされた課題を確認する。

 

確認が終わると、タブレットPCの電源を落とし、鞄に放り込む。

 

自分の机の近くの壁に立てかけた松葉杖を掴もうとするが、掴み損ね、情けなく床に松葉杖が倒れる。

 

「はぁ~」

 

溜息を吐ぎ、拾おうと前屈みになる。

 

そして、俺が取ろうとした一歩手前で、松葉杖は誰かの手によって持ち上げられた。

 

「ほらよ、少しは周りを頼れよ」

 

そこには《はじまりの街》の教会で出会ったギンがいた。

 

本名は佐藤銀一というらしい。

 

だが、ギンは銀一よりギンって呼んでくれって言ってたのでギンと呼んでいる。

 

「サンキュー、ギン」

 

お礼を言い、松葉杖を受け取る。

 

実を言うと、あの時、あの男(須郷という名前らしい)の攻撃を避けた時、足の骨にひびが入り、俺のリハビリは予定より大きくズレ、松葉杖無しでは歩くのがいまだに困難だ。

 

まぁ、それでも俺を支えてくれる奴はいるけど………

 

「もぉ~、また無理して!」

 

隣の席に座っていたシリカこと珪子は不満そうに文句を言ってくる。

 

「なにか必要なことがあったらあたしに言うって約束でしょ!」

 

指を鼻先に付くか、付かない距離で突きつけてくる。

 

「悪かったから、次からは頼るよ」

 

そう言うと珪子は満足そうに笑う。

 

「ならよし、じゃあ、行こ」

 

席を立ち、俺の手を握ってくる。

 

「なぁ、ギン、どうして松葉杖が二つあるか分かるか?」

 

「それは松葉杖は本来二つで使用するものだからです」

 

「ギン、正解」

 

「何変な茶番してるの?」

 

俺とギンの渾身の漫才を茶番扱いされ、俺達は少しへこむ。

 

「分かったよ」

 

松葉杖を左わきに挟み立ち上がる。

 

右手は珪子に握らせて、転ばないよう支えてもらう。

 

医師から、少しずつでいいから松葉杖一本で歩くリハビリをしなさい言われている。

 

その際は、誰かに補助してもらうのも忘れないようにとも言われてる。

 

要するにここから学食までの道のりをシリカに補助してもらいながら歩くということだ。

 

「じゃあ、ギン、また後でな!」

 

「おお!」

 

片手を上げて声を掛ける。

 

そして、廊下に出る。

 

廊下には昼休みだから学食に行く人、購買に行く人、どこかで弁当を食べる人と主に三つに分かれた人で溢れかえっていた。

 

廊下に出ると俺はブレザーの中に着たパーカーのフードを被り、なるべく陽の光が当たらないように壁側に寄る。

 

珪子も配慮して、俺に陽の光が当たらないようにしてくれる。

 

今の医療技術のおかげで陽の光にあたってもある程度は大丈夫だが、なるべくなら当たらないに越したことは無い。

 

アルビノって不便だな…………

 

陽の光をなるべく避けながら学食に着く。

 

「あたし注文してくるから、席お願いね」

 

珪子はそう言うとカウンターに向かい注文しに行った。

 

しまったな。

 

珪子の奴、いつも俺が注文する蕎麦にするな。

 

今日はうどんの気分なんだが、まぁ、いいか。

 

そう思い松葉杖一歩を器用に使い、席に座る。

 

「白牙、ここ座っていいか?」

 

席についてラーメンを啜ってる、アルブスこと白牙に許可を取る。

 

「いいけどよ……敬語使えよ。俺、年上だぞ」

 

「今更、敬語も無いでしょ?」

 

「それもそうか」

 

白牙の向かいに座り松葉杖を隣に置く。

 

「まだ歩けないのか?」

 

「まだ暫くかかるそうだ」

 

「大変だな」

 

「おまたせ、ほら、白牙、席詰めなさい」

 

軽く雑談してると、BLTサンドをお盆に乗せて持ってきたリズさんこと里香さんとお盆にエビピラフとうどんを乗せて持ってきた珪子がいた。

 

「珪子、どうしてうどんなんだ?」

 

「あれ、蕎麦が良かった?」

 

「いや、うどん食いたかったから良かったけど、俺うどんがいいって言ったっけ?」

 

「言ってないよ。ただ、なんとなくうどんがいいかなって思っただけ」

 

こいつ、俺の心でも読めるのか?

 

「愛がなせる技なんじゃない?」

 

さらっと恥ずかしいこと言うな。

 

そして、またしても心を読むな。

 

「あんたらさ、いちゃつくのは構わないけど、少しは人目を気にしなさいよ」

 

「それを、あそこの二人にも言ってやれ」

 

そう言って白牙は箸で窓の外を指す。

 

そこには、庭園に置いてある白木のベンチに座り、いちゃついてる和人さんと明日菜さんがいた。

 

「あの二人にはもう諦めてるわよ」

 

「なら、あたしたちも諦めてください」

 

「………珪子、あんた雫と付き合ってから随分性格変わったわよね」

 

里香さんはジト目で俺達を見てくる。

 

「それにしても、仲良いねぇ~。あの二人は」

 

窓から外を眺め、二人を羨ましそうに眺めながら白牙が呟く。

 

「そんなに羨ましいなら、白牙も付き合えばいいだろ……………里香さんと」

 

「な!?……し、雫!お前何言ってんだよ!」

 

「そ、そうよ!どうして私が白牙と付き合わないといけないのよ!」

 

「えぇ~、だって二人とも結構お似合いだと思いますよ」

 

「そうだな。それに、たびたびリズさんの家兼仕事場からアルブスが出てくるって話もありましたし」

 

「ちょ、ちょっと!それ何処から聞いたのよ!」

 

「情報屋のネズミですよ」

 

「あ、あのアマァー………売れる情報はなんでも売るつもりかよ………」

 

「べ、別に友達なんだから家に泊まるぐらいするでしょ!だいだいそれ言ったらアンタ達なんて、同棲してたじゃない!」

 

「だってパートナーですし、途中からは恋人ですもん」

 

珪子の言い分に里香さんは悔しそうにいちごヨーグルトを飲み干す。

 

その時、女性が立てるには相応しくない騒音を出す。

 

「里香、もうちょっと静かに飲め。はしたないぞ」

 

「あぁ~、はいはい、分かりました」

 

ちなみに、学校でSAOでのことを話すのはマナー違反なのだが、幸い食堂は賑わっているし、俺達は食堂の端の席で昼食にしているので会話何て聞こえてないから問題ない。

 

まぁ、SAOでは顔が現実のものと一緒だからあまり意味が無い。

 

明日菜さんや珪子なんて入学して即バレだったらしい。

 

まぁ、俺も白髪白肌赤目ってことで即バレだったがな…………

 

「あんたちは今日のオフ会、どうするの?」

 

急に里香さんが笑いながらこっちを見てきた。

 

まったく、答えを知っていながら聞いて来るんだがら………

 

「もちろん」

 

「行くに決まってますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*ここからはオフ会ということで全員キャラネーム呼びになります

 

放課後、エギルさんの店《ダイシ―・カフェ》に集まり、俺達はキリトさんお訪れを待つ。

 

待つこと数十分、扉が開かれキリトさんと、アスナさん、そして、キリトさんの妹リーファさんこと直葉さんが来た。

 

キリトさんが来た瞬間皆一斉に拍手をした。

 

「俺達は遅刻してないぞ」

 

「主役は最後に登場するもんでしょ」

 

「実はお前たちには少し遅い時間を伝えといたんだよ。まぁ、取りあえず入れ」

 

リズさんとアルブスによって三人は店の中に引きずり込まれる。

 

そして、キリトさんを即席の壇上に立たせる。

 

「えー、それでは皆様、ご唱和ください…………せーのぉ!」

 

『キリト(さん)、SAOクリア、おめでとう!』

 

全員の唱和、盛大なクラッカーが響く音、拍手。

 

そんな中キリトさんは間抜け面をしていた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!確かにヒースクリフを最終的に倒したのは俺かもしれないけど、あれはレインの最後の攻撃があったからだぞ!むしろ、レインが褒め称えられるべきだ!」

 

「何言ってるんですか?俺はALOでのことで迷惑かけましたし、それに、俺は勇者の仲間の戦士です。勇者を置いて褒められるわけないでしょ」

 

俺はそう言い、キリトさんを見る。

 

「というワケでおめでとうございます。《黒の剣士》キリトさん」

 

「………お前もご苦労様。《飯綱使い》レイン」

 

互いの二つ名を呼び合い、グラスをぶつけ合う。

 

知り合いの元SAOプレイヤー達と会話しているとその中で俺はある人を見付けた。

 

「コーバッツさん。お久しぶりです」

 

「おお、レイン。久しぶりだな」

 

スーツを来たコーバッツさんは、企業戦士と言った風貌だった。

 

「聞きましたよ。シンカーさんがユリエールさんと結婚したって話以外に、コーバッツさんも結婚したって」

 

「ああ、ずっと待たせていた彼女とな。二年間心配を掛けさせたからな、これからはその二年分以上にあいつを幸せにするつもりだ」

 

コーバッツさんはいい笑顔でそう言った。

 

次に俺はカウンターの方に目をやるとキリトさんとクラインさん、エギルさん、シンカーさんが何かを見ていた。

 

「何見てるんですか?」

 

「おお、レイン。こいつだよ」

 

そう言ってキリトさんが指さしたのはパソコンの画面だ。

 

そこには様々な数字があった。

 

「ミラーサーバーがおよそ五十、ダウンロード総数は十万、稼働してる大規模サーバーは三百ってとこらしい」

 

これは確か《世界の種子》という茅場さんがキリトさんに託したプログラムらしい。

 

これを使えば、回線のそこそこ太いサーバーを用意し、パッケージをダウンロードすれば誰でもVRMMOの世界を創れるそうだ。

 

之のおかげで社会的批判を受け、衰退しかけていたVRMMOが復活した。

 

無くなるはずだったALOも別の会社に運営が任されて助かった。

 

そして、《世界の種子》によってALO以外にも新しい世界が誕生した。

 

中小企業から個人に至るまで様々な人が運営者になり、次々と新しいVRMMOが生れたのだ。

 

更にそれらは相互に接続もされるようになり、作ったキャラクターを他のゲームで使えるコンバートシステムなどもできた。

 

「私達は多分今、新しい世界の創生に立ち会っているんです。その世界を括るにしてもMMORPGという言葉は狭すぎる。《MMOトゥデイ》も新しい名前にしたいのですが、なかなか、これ、という単語が出てこないんですよ」

 

「う~~~~~~~~~~~~む」

 

クラインさんが腕組して考え始めた。

 

「ギルドに《風林火山》なんて名前付ける奴のセンスには誰も期待してないぞ」

 

「なんだと!言っとくが、新生・風林火山には加入希望者が殺到中なんだぞ!」

 

「可愛い女の子がいるといいな」

 

「ぐっ……」

 

クラインさんが言葉に詰まり俺はその様子がおかしくつい笑ってしまった。

 

「おい、二次会に予定変更は無いんだろうな?」

 

「ああ、今夜十一時にイグドラル・シティ集合だ」

 

「それで、アレは動くのか?」

 

「おうよ」

 

「アレ?アレってなんですか?」

 

会話のアレというものが分からなく俺は首を傾げる。

 

「まぁ、見てからのお楽しみだな」

 

「そうそう」

 

「ま、期待してな」

 

そう言うキリトさん、エギルさん、クラインさんはとてもにやけていた。

 

「何笑ってるんですか?」

 

「いや、ただ後ろに気を付けろ」

 

「え?それって「レ~~~~~~~~~~イ~~~~~~~~~~~~ン♪」おわっ!?」

 

行き成り背中に何かが飛びついてきた。

 

後ろを向くとそこにはシリカがいた。

 

「し、シリカ?どうしたんだよ?」

 

「べっに~~~~」

 

なんか頬が微妙に赤い気が……………

 

「エギルさん、まさか飲ませました?」

 

「一パーセント以下だがら大丈夫だ。それに明日は休日だろ」

 

「はぁ~~~」

 

溜息を付き、俺は酔っているシリカを介抱することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に着くと俺はアミュスフィアを使いALOにログインした。

 

そして、中央都市アルンの宿屋で起きる。

 

「ふぃ~~~」

 

俺の足元にフィーが擦り寄ってくる。

 

俺は種族をケットシーにし、SAOのデータを引き継いたのでそのまま俺の使い魔であるファントムフォックスのフィーをそのまま使い魔にしてる。

 

「おう、久しぶり」

 

フィーの頭を撫でて定位置である方に乗せる。

 

部屋を出るとシリカが外で待っていた。

 

「久しぶり」

 

「ほんの数分だろ?」

 

「あたしには何時間にも感じたよ?」

 

「そうかい」

 

そんな会話を終わらせるとシリカは俺の手を取り、手を繫ぐ。

 

「行こ」

 

「ああ」

 

二人で歩き、集合場所のイグドラル・シティに向かう。

 

「なぁ、シリカ」

 

「何?」

 

「キリトさんたちが言ってたアレって何だ?」

 

なんでもアレの事を知らないのは俺だけらしい。

 

正直酷い話だ。

 

「ああ、それね。実はそれ、あたしがレインには黙っといてって言ったの」

 

「な!?……どうして?」

 

「えっとね………あ、もう集合時間だ。間に合わなかったね」

 

「おい、シリカ、話は」

 

「飛んで」

 

「あ、おい待てよ!」

 

シリカは翅を振るわせ空に飛ぶ。

 

俺も慌てて空に飛ぶ。

 

随意飛行は既に習得済みだ。

 

ある程度の高度に来るとシリカは飛ぶのを止めて俺を見る。

 

「シリカ、アレって一体なんだよ?」

 

「そのアレがアレだよ」

 

そう言ってシリカは指を指す。

 

指の先には満月があった。

 

そして、その満月は徐々に欠けはじめた。

 

月蝕かと思ったが良く見ると円形ではなく楔型をしていた。

 

それは、いくつもの薄い層が重なった一つの巨大な城だった。

 

「あ………アインクラッド…………」

 

「うん、あたしたちが二年間過ごした鋼鉄の城」

 

「ど、どうしてここに?」

 

「引き渡されたALOのデータの中にあったんだって。それを多くの人の手によって復活したの」

 

「………どうして?」

 

俺はシリカに聞いた。

 

「多分、無くしたくなかったんだよ」

 

「え?」

 

「あの世界での出来事は全て本当のこと。でも、あの世界が無くなったらあった出来事も思い出も全部なくなっちゃう」

 

そこで言葉を区切りシリカがこっちを向く。

 

「レインと出会って、そして、好きになったことをわたしは無くしたくない。きっと皆もそう思ってる」

 

「シリカ………」

 

「今度こそ、あたしはレインを守る。だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あたしと一緒に、あの城の頂上まで、飛んでくれますか?」

 

笑顔でシリカはそう言った。

 

俺はシリカを抱き寄せ耳元で囁く。

 

「ああ、何処までも一緒に飛んでやる」

 

「ありがと」

 

そして、俺はシリカを見つめ、今度は自分の意志でシリカと唇を重ねた。

 

シリカも黙って俺の唇を受け入れる。

 

俺たちの頭上でフィーとフィーを背に乗せたピナが嬉しそうに声を上げる。

 

何秒かそうしてると声を掛けられた。

 

「全く、遅いと思ったら何してんだか………」

 

「現実でもALOでもイチャつきやがって」

 

「本当。砂糖吐きたくなるわ」

 

「くっそ~~~~、羨ましいぞ!レイン!」

 

「ま、たっぷり青春しな」

 

背中に槍を背負ったウンディーネのアヤメさん。

 

腰に刀を差したインプのアルブス。

 

レプラコーン用の銀のハンマーを下げたレプラコーンのリズさん。

 

黄色と黒のバンダナを巻き、腰に刀を差したサラマンダーのクラインさん。

 

巨大なバトルアックスを背負ったノームのエギルさん。

 

五人が居た。

 

「見てたんですか?」

 

「「「「「バッチリと!!」」」」」

 

五人はそう言うとさっさとアインクラッドに向かって飛んだ。

 

「私も見てたよ!」

 

シリカの胸ポケットに隠れていたユウナも飛び出しそう叫ぶ。

 

俺は恥ずかしさから顔を赤くする。

 

シリカは照れくさそうに笑い俺の指に指を絡め手を繫ぐ。

 

「あたしたちも行こう」

 

「ああ、そうだな」

 

「うん!」

 

俺はもう一度空に浮かぶアインクラッドを見る。

 

三人で目を合わせ、そして、叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「今度こそ絶対にクリアするぞ、アインクラッド!!」」

 

「今度は私も行くからね!」

 

そして、俺達三人は一緒に飛び上がりアインクラッドを目指した。

 




フェアリィ・ダンス編終了です!

掛かった日数は約18日。

アインクラッド編はおよそ一年と三か月。

いくらなんでも差があり過ぎる…………

次回からすこし、番外編を挟み、GGO編に突入ですです。

そして、あの人が活躍する!

それではGGO編をお楽しみに!




ちなみにユウナちゃんはユイちゃんと同じようにピクシーモードになれます。

後、アルブスは元ラフィン・コフィン幹部でしたが、人を殺してはいない(間接的ではあるが殺しましたが)ため、この学校に通ってます。

ちなみに、まだリズとは付き合ってません。
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