二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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番外編2話 元殺戮者の少年と鍛治師の少女の再会

SAOをクリアして一ヶ月が経った。

 

俺は肩にバックを掛け、病院に向かった。

 

別に、何かの検査とかじゃない。

 

ある奴の見舞いに来ただけだ。

 

受付で入館のパスを発行してもらい、教えてもらった病室に向かう。

 

扉をノックし、入室の許可を貰うと扉を開ける。

 

「よう、一ヶ月ぶりだな」

 

「あ、アルブス……」

 

病室にはリズベットこと篠崎里香がいた。

 

リズはまだ退院が出来ないらしく、まだ入院中らしい。

 

俺は割とすぐに退院できたので、こうしてリズのお見舞いに来た。

 

「アンタ、もう退院したんだ」

 

「ま、お前とは鍛え方が違うんだよ」

 

ベットの近くの椅子に座り、リズと談笑をする。

 

「ねぇ、一体何があったの?」

 

急にリズがそう聞いてきた。

 

「あの時ってまだ、最前線は75層よね。なのに、どうしてゲームがクリアされたの?」

 

聞かれるとは思っていたが、まさかこんなに早く聞いて来るとはな………

 

「最初から話す。よく聞いてろよ」

 

俺は話した。

 

75層のボス戦のこと、ヒースクリフの正体、ゲームクリアを賭けてレインとキリトがヒースクリフと決闘したこと、レイン、キリト、アスナが死に、死ぬ直前にキリトがヒースクリフを倒したこと、そして、ゲームがクリアされたこと、全てを話した。

 

*現段階で、緘口令のためSAOの未帰還者のことは知りません

 

「……そんな………アスナとキリトとレインが……………」

 

ショックが大きく、リズは顔を青ざめていた。

 

「すまない。あの時、俺も周りも、全員がシステムによって動けなかった。俺は、目の前でアイツらがやられるのをただ見てるしかできなかったんだ。すまない」

 

頭を下げ、俺はリズに謝る。

 

「アンタが謝ることは無いわよ」

 

リズの言葉に俺は顔を上げる。

 

「キリトもレインも、アスナも…………三人は、自分の意志を最後まで貫き通したのよ。文字通り命を賭けて、私達をあの世界から救った。なのに、アンタが謝ったらあの三人、悲しむわよ。でも…………アイツ等、残された人のことは考えないのね…………」

 

そう言うリズの顔には悲しみが滲み出ていた。

 

「暗い顔してたらアスナにどやされるわね!うん、明るくしてないと!」

 

リズは無理して笑顔になり、笑う。

 

強いな……………

 

「そうだ、ねぇ、白牙」

 

行き成り名前を呼ばれてびっくりした。

 

「なんだ、篠崎?」

 

「名前でいいわよ。なんか今更って気もするし」

 

「そうか……で、どうした、里香?」

 

「いや、大したことじゃないんだけど、親とはどうだったのかな~って」

 

親……………か……………

 

「俺が目覚めて、最初に親父にこう言われた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうして、貴様が生きて、白夜が死んだんだ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

「そんで、お袋は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何であんたみたいな出来損ないが生きてるのよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……………嘘…………」

 

「嘘じゃない。そして、極め付けに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『白夜より、お前が死ねば良かったんだ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、酷い………酷いわよ、そんなの!」

 

「普通の親ならまずそうは言わないよな。でも、彼奴らは違う。アイツらは出来損ないの俺より、完璧な弟を求めてたんだよ。退院して早々に家を追い出されたよ。『犯罪者の貴様なんぞ、最早家族ではない。二度と家の敷居を跨ぐな』って言われてな。…………は!最初から家族扱いなんかしてもないくせに」

 

俺は自嘲するように笑う。

 

自分の悲しみを隠すように……………

 

「ごめん、私、不躾ないこと聞いちゃった………」

 

「気にしないでくれ。どうせ、いつかは出ていくつもりだったんだ。それが早まった、それだけのことだ」

 

そうは言うが、里香はまだ気にしてるのか、そこから会話がなくなった。

 

どうしたら………

 

「あ~、入っていいかね?」

 

「うお!?」

 

「うえ!?」

 

後ろから誰かに声を掛けられと椅子から飛び上がる。

 

里香もベットの上で驚く。

 

「や、やあ」

 

スーツを着た男性がいた。

 

「お、お父さん!?」

 

え?お父さん………………里香の!?

 

「お父さんだけじゃないわよ」

 

里香のお父さんの後ろから、女性が現れた。

 

まさか、この人って……………

 

「お母さんまで!?」

 

やっぱりお母さんかい!

 

「いや、すまない。盗み聞きするつもりはなかったんだが、聞こえてしまって………」

 

「ごめんなさいね」

 

そう言って二人は頭を下げてくる。

 

聞いてたってことは、俺のことも聞こえてたんだよな……………

 

「えっと、君の名は?」

 

「……桐永、白牙です」

 

「そうか、白牙君か」

 

里香のお父さんは柔和な笑みを浮かべる。

 

「初めまして、里香の父親の篠崎薫だ」

 

「妻の恵美です」

 

「あ、どうも」

 

頭を下げてきたのでこっちも頭を下げる。

 

「話は聞かせてもらった。そこで、一言言わせてほしい」

 

薫さんは真剣な顔になり、俺と向き合う。

 

そして

 

「おかえり」

 

手を俺の頭に乗せ、そう言ってきた。

 

「本当は親御さんに言ってほしいだろうが、私はどうしても君に言いたくなった。………おかえり」

 

「私からも言わせて頂戴。おかえり、白牙君」

 

里香の両親にそう言われ、俺は自然と涙を流した。

 

現実世界に帰って、初めて人の温かさを知れた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、何故か篠崎夫妻と仲良くなり、一緒にお茶を飲むことになった。

 

「そう言えば、白牙君。家を出たってことは今は何処で寝泊まりしているんだい?」

 

流石にネットカフェとは言えないな。

 

「えっと、友達の家に仮住まいさせてもらってます」

 

「あら、嘘は行けないわよ」

 

恵美さんが紅茶を片手に言う。

 

てか、どうしてバレた!?

 

「私、こう見えて相手の表情を読むのが得意なの。で、何処に寝泊まりを?」

 

「……………ネットカフェです」

 

「あら、そうなの。じゃあ、ご飯とかは?」

 

「……外で済ませてます」

 

「………貴方、確か二階の客間って空いてたわよね」

 

「ああ、空いてるぞ」

 

「なら、白牙君に住んでもらったらどうかしら?」

 

何言ってるんだ、この人!?

 

「おお、それは名案だ!」

 

アンタも何言ってるんだよ!?

 

「いや、無理ですよ!」

 

「………私、息子、娘、旦那に囲まれるのが夢だったのよね」

 

「……俺も、息子と一緒に釣りしたりキャッチボールするのが夢だったんだよな」

 

「頼むから、人の話を聞いてください!」

 

結局、俺が住む部屋を見つけるまでという条件で俺は自分御住まいが見つかるまでの間、篠崎家でお世話になることになった。

 

ちなみにこのことを里香に話すと里香は顔を赤くしながら承諾しでいた。




次回からGGO編に行こうかと思います。
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