二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第1話 秋の日のこと

「お~い、キリト君、レイン君。こっちこっち」

 

一見高級そうな喫茶店、てか、実際高級な喫茶店なのだが、俺とキリトさんはそこに呼ばれた。

 

俺たちを呼んだのは、菊岡さんという、通信ネットワーク内仮想世界管理課という所に所属している職員だ。

 

ちなみに、ALOで捕えられていた俺が目を覚ました俺の下に、シリカの次にこの人が現れた。

 

SAO事件での対策チームの国側エージェンだとかで、色々質問された。

 

菊岡さんの前の席に座り、ウエイターがメニューを持ってくる。

 

「ここは僕が持つから何でも好きに頼んでよ」

 

「もとからそのつもりだ」

 

「ごちそうになります」

 

一言礼を言い、メニューに目を落とす。

 

……………《シュー・ア・ラ・クレーム》ってシュークリームだよな………なんで、シュークリームが一個千二百円もするんだよ!?

 

おかしいぞ!?金額が!?

 

「ええと……パルフェ・オ・ショコラ……と、フランボワズのミルフィーユ……に、ヘーゼルナッツ・カフェ」

 

キリトさ~ん!?

 

貴方は遠慮って物を知らないのか!?

 

ウエイターはキリトさんの注文をメモすると、俺の方を見てくる。

 

「あ、じゃ、じゃあ、カフェ・オレ一つ」

 

取りあえずこの店で一番安い(それでも、800円もするが)カフェ・オレを注文する。

 

注文を取り終えたウエイターは「かしこまりました」と言い、去っていく。

 

「それだけでいいのかい?」

 

「いや、その、値段が………」

 

「どうせ、支払いは交際費、俺達国民の血税なんだ。遠慮することは無いだろ」

 

キリトさんはそう言うが、それでも、15歳の俺にはこんな高級なものを頼む勇気も度胸もないんだ。

 

「で、俺たちをと呼んだ理由を話してもらおうか」

 

「またバーチャル犯罪がらみですか?」

 

「君たちは話が早くて助かる」

 

そう言うと菊岡さんは、タブレット端末を取り出し俺達に渡してくる。

 

「いやあ、それがねぇ。ここに来て、バーチャルスペース関連犯罪の件数がまた増え気味でねぇ……」

 

「へえ。具体的には?」

 

と、キリトさんと菊岡さんが会話を始める。

 

てか、なんで俺達は呼ばれたんだろう?

 

「あの、菊岡さん。どうして、俺達は呼ばれたんですか?」

 

「ああ、そうだね。そろそろ本題に入ろうか」

 

菊岡さんの話によると、先月の十一月九日に一人の男性が、そして、十一月二十八日に一人の男性が死んでいたそうだ。

 

その二人はGGOという《ザスカー》が運営してるVRMMOのトッププレイヤーで、二人とも子音が心不全、心臓発作だった。

 

そして、発作が起きる直前、二人はGGOで《死銃》と呼ばれるプレイヤーに銃で撃たれたそうだ。

 

銃で撃たれた後、発作が起きる。

 

偶然…………なわけないよな。

 

「そして、もう一人」

 

タブレットを操作し、別の男の写真が映し出される。

 

「この彼もGGOをやっていて彼も殺されてる。《死銃》ではなく、《死剣》にね」

 

「し、死剣!?」

 

俺は思わず声を上げてしまった。

 

店内に居るお客さんや従業員がこちらを見る。

 

俺は軽く会釈し、菊岡さんに向き直る。

 

「どうしたんだい?」

 

「いえ、ただ………あの世界でそいつと同じ異名を持つ奴を知ってるもので」

 

《死剣》スバル

 

《剣聖》とも呼ばれ、その正体は《ラフィン・コフィン》の幹部で、凶悪なレッドプレイヤーだった人だ。

 

でも、あの人は俺が殺した、殺したんだ…………

 

あの人のわけが無い。

 

「そうか………話を戻そう。このプレイヤーもGGOではトッププレイヤーでかなり強かった。彼は《死剣》によって剣で斬られたそうだ」

 

「ちょっと待て。俺の知ってる限りGGOは銃のゲーム。どうして剣がある?」

 

「ああ、そのプレイヤーはガンブレードて言う武器を使ってるらしいんだ」

 

ガンブレードか。

 

あれを銃に分類していいのか微妙だな。

 

まぁ、ガンって付いてるしいいか。

 

「それで、彼は切られた直後に死亡。死因は心不全」

 

《死銃》と同じ死因だ。

 

「それで、俺達に調べてきてほしいのか?そんなことしなくても、他に方法があるだろ。運営企業を当たって、ログを解析すれば、三人に攻撃した二人のプレイヤーも分かるし、登録情報がデタラメでも、IPアドレスからプロダイバーにアクセスすれば本名と住所も分かるだろ?」

 

「残念ながら、《ザスカー》はアメリカにサーバーを置いてるんだ。ゲーム内でのプレイヤーサポートはしっかりしてるかわりに、会社の所在地はおろか、電話番号もメールアドレスも未公開」

 

確かに、それじゃあ調べようもないか。

 

「とまあそんな理由で、真実のシッポを掴もうと思ったら、ゲーム内で直接の接触を試みるしかないわけなんだよ。もちろん万が一のことを考えて、最大限の安全措置は取る。キリト君とレイン君には、こちらが用意する部屋からダイブしてもらって、モニターしているアミュスフィアの出力になんらかの異常があった場合はすぐに切断する。銃撃されろとは言わない、君たちの眼から見た印象で判断してくれればそれでいい。……行ってくれるね?」

 

ここまで聞かされて嫌だとは言えない状況だな。

 

「分かりました。俺はいいですよ」

 

「それは良かった!で、キリト君は?」

 

「分かったよ。まんまと乗せられるのは癪だが、行くだけ行ってやる。でもうまく《死銃》か《死剣》と出くわすか分からないぞ。そもそも、実在すら疑わしいんだ」

 

「ああ、それなら、最初の銃撃事件と《死剣》の斬撃事件の時、居合わせたプレイヤーが音声ログを取っていたよ。データを圧縮して持ってきた。《死銃》氏と《死剣》氏の声だ。最初は《死銃》氏からどうぞ」

 

イヤホンを受け取り、片耳に入れる。

 

そして、声が聞こえた。

 

『これが本当の強さだ!愚か者どもよ、この名を恐怖とともに刻め!俺と、この銃の名は死銃……デス・ガンだ!』

 

「そして、こっちが《死剣》氏だ」

 

『これは真の力、真の強さだ!愚か者共、貴様らの記憶に、この名を恐怖と共に刻みつけろ!俺とこの銃の名は《死剣》…………《デス・ソード》!死銃と共にこの世界に、最強の伝説を創る者だ!』

 

その二つの声は、まるで、本当の殺人者のような声だった。

 

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