二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第2話 約束

十二月七日の日曜日の午前九時

 

俺は朝早く起きてから一人居間のソファーで見てもいない番組を見ている。

 

なんで早く起きたのかというと、今日は珪子とデートの日だからだ。

 

前日、ガラにもなくそわそわしてしまい中々寝付けなかったが、何とか眠れて起きれた。

 

うっかり寝過ごしたらどうしようかと思った。

 

「兄ちゃん、おはよう」

 

今俺に声を掛けたのは弟の雹だ。

 

小学五年生で在りながら、コンピューターでOSを作ったり、対コンピューターウイルス用ソフトを開発など大人顔負けの奴だ。

 

「雹、おはよう……てか、徹夜か?」

 

「うん、今までずっと新しいプログラム作ってた。今から飯食って寝る」

 

雹はテーブルの上に用意された、朝食を食べ始める。

 

「てか、兄ちゃん、珪子姉ちゃんとデートするの何も今回が初めてってわけじゃないだろ。なに、そわそわしてんのさ?」

 

「は?別に、そわそわなんかしてないし。むしろ、滅茶苦茶余裕ぶっこいてるし」

 

「午前四時に寝て、午前五時に起きた奴のセリフじゃねぇな」

 

「お前、見てたのか!?」

 

「むしろ、夜中一人で騒いでいて知らない方がおかしいよ」

 

なんてこった………まさか俺の恥ずかしい行動がバレてたなんて………

 

苦悩してると、扉が開き女の子が顔を出す。

 

「お兄ちゃん、兄ちゃん、おはよ!」

 

この子はつらら、小学一年生の俺の妹だ。

 

こいつは大のお兄ちゃんっ子で、俺と雹には甘え捲ってくる。

 

ちなみに、俺がお兄ちゃんで、雹が兄ちゃんと呼ばれている。

 

「おはよう、つらら」

 

「おはよ」

 

挨拶をし、つららはテーブルの上の朝食を摂り始める。

 

「そう言えば、母さんと、父さんは?」

 

「母さんは仕事、父さんは残業疲れで部屋」

 

俺の母さんはカメラマンで、今日はアイドルの写真撮影で張り切っていた。

 

父さんは医者で、確か外科部長らしい。

 

昨日は緊急の手術があったとかで忙しかったそうだ。

 

「てか、兄ちゃん、そろそろ時間じゃね?」

 

「え?」

 

雹に言われて時計に目をやると時間がすでに九時四十分になっていた。

 

待ち合わせ時間は十時。

 

こっから待ち合わせ場所まで自転車で三十分。

 

……………………遅刻だ。

 

「しまった―――――!」

 

慌てて、コートを手に持ち、家を飛び出す。

 

まずい!

 

また遅刻なんかしたら何を奢らせられるか!

 

とにかく、早く行かないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「騒がしい兄ちゃんだな」

 

「だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、言い訳は?」

 

「時間の事を忘れてました」

 

待ち合わせ場所の広場で珪子は腕組をし、俺を睨んでくる。

 

俺は、頭を下げ珪子に謝る。

 

「はぁ~、これで何回目か分かってる?」

 

「えっと三回目?」

 

「五回目」

 

思ったより多かった………

 

「わ、悪かった。お詫びって言うかいつもだけど、珪子のお願いいくらでも聞くから」

 

「なら、今日のデートは雫の奢りね」

 

やっぱそう来たか。

 

「それと、はい」

 

そう言って珪子は手を差し出してくる。

 

「今日一日、この手を離さない事」

 

「………わかった」

 

笑顔で手を差し出してくる佳子の手を取り、俺達はアーケード街を歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、楽しかった!」

 

「そりゃ、よかった」

 

午後三時になり、俺と珪子は近くの喫茶店に入ることになった。

 

ちなみに、俺と珪子は向かい合ってるようになってるが、手は机の上に置き、握り合ったままだ。

 

「そういえばさ、雫っていっつもこうして奢ってくれるけどお金とか大丈夫なの?」

 

「ああ、小遣いとか溜めてるし、それに、弟のバイトの手伝いとかで貰ってるし」

 

「雹君の?」

 

実の話、弟の腕を見込んであるソフト会社が、弟にゲームプログラム開発の依頼や、グラフィックデータやらなんやらの仕事を依頼している。

 

でも、弟はまだ小学五年生だし、仕事は無理かと思ったが、その会社と、弟の間に二つを繫げるパイプ役の人を設け、その人経由で仕事と報酬が渡されるそうだ。

 

俺も少しはパソコンやプログラミングには詳しいので(それでも、雹や和人さんには敵わないけど)弟の手伝いをし、バイト代ということで弟から全体報酬の三割を貰ってる。

 

まぁ、三割といっても報酬自体がかなりの額なので三割でもかなりの額になるが。

 

後、弟の仕事は両親も知っているので報酬は父さん名義で銀行に預けてある。

 

「ふ~ん、雹君って凄いね」

 

「ああ、我が弟ながら恐ろしいぜ」

 

そんな会話をしながら、俺はGGOの件をどうやって打ち明けようか悩んでいる。

 

この前、珪子に黙って菊岡さんの依頼で、他のVRMMOをリサーチに行ったら、後でそのことがバレ、滅茶苦茶怒られた。

 

なんでも自分の知らない所で、俺が何かをしてるのか嫌らしい。

 

俺が悩んでいると珪子は口を開いた。

 

「何が言いたいの?」

 

「え?」

 

「何が言いたいことあるんでしょ?」

 

珪子は微笑を浮かべ俺を見つめてくる。

 

どうやらお見通しだったみたいだ。

 

「実はさ、近々ALOの《レイン》を他のゲームにコンバートするつもりなんだ」

 

俺の言葉に珪子は固まり、えっと言った顔をする。

 

「ちょ、そ、それって、ALO止めるの!?」

 

「い、いや、違う!菊岡さんの頼みで他のVRMMOのリサーチをするだけだ!すぐにまた再コンバートする!」

 

「そ、そっか………でも、リサーチならもう何回も新規アカウントしてるでしょ?なのにどうしてコンバートするの?」

 

「えっと、なんかさ、そのVRMMOがPK推奨のゲームで、もし何かあったら大変だから念のためにってことで」

 

「…………なんか隠してない?」

 

げっ!?

 

まずいな……流石に死銃と死剣のことは話せない。

 

話したら、絶対に無理矢理でも止めるよな、絶対。

 

「いや、別に何も隠してないぞ」

 

「う~ん、分かった。ならいい」

 

ああ、これ後でバレたら、絶対に殺される(ALO内で)

 

「でも、約束して」

 

珪子が両手で俺の左手を包み込む。

 

「絶対に必ず、戻ってくるって」

 

「……ああ、必ずな」

 

ま、後のことは後で考えるか。

 




デート回のつもりでしたが、まったくデート回じゃない。

レインの家族を少し出してみました。

次回は少しGGOでの話を書きます。

そして、ある人が登場します。

お楽しみに。
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