二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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今回はGGOメインの話です。

そして、あの人の登場!

では、どうぞ!


第3話 氷の狙撃手と紫炎の銃剣使い

今俺達は高層建築の廃墟で、目標であるスコードロンを待ち伏せしている。

 

だが、この状態が後一時間も続けば夜になり、夜間戦闘に切り替えないといけない。

 

暗視ゴーグルを使った戦闘は苦手だからなるべく早く目標に来てほしい。

 

口に咥えた短くなった煙草を地面に落とし、靴で踏む。

 

俺の隣では、パートナーであるシノンが憂鬱そうにしている。

 

「おい、ダイン!本当に来るのか?」

 

ダインと呼ばれたスコードロンのリーダーは肩からぶら下げた《SIG・SG500》を、鳴らし首を振った。

 

「奴らはこの三週間毎日同じ時間、同じルートでMob狩りをしている。今日は少し遅いが、Mobの湧がよくて粘ってるんだろう。その分、分け前が増えるんだ。文句言うな」

 

「でもよぉ、今日襲うのは先週も襲った奴等だろ。警戒してルートを変えたってことも」

 

腰に短機関銃をぶら下げた前衛の男、ギンロウは不満そうに口を尖らせる。

 

「あれから六日経ってんだ。それでも、奴等は狩場を変えなかった。奴らはMob狩り特化スコードロンだからな。もうけを根こそぎ奪われても、その分狩りで儲ければいいと思ってるのさ。俺たちみたいな対人スコードロンにはいいカモだ」

 

「でもよぉ、普通一度やられれば何か対策するだろ?」

 

「翌日ぐらいは警戒しただろうが、すぐに忘れたさ。Mobばっか狩ってるから、Mobみたいになっちまうのさ」

 

ダインとギンロウの話を聞いて不愉快になったのかシノンはマフラーに顔を埋めた。

 

俺は、新しい煙草を取り出し、火をつけ吹かす。

 

「大体、Mob狩りの為に光学銃をばっか揃えてる奴等が、すぐに人数分の実弾銃を用意できるわけないだろ。せいぜい、支援火器一丁が関の山だ。そいつを潰すために、今日はシノンに狙撃ライフルを持ってきて貰ったんだ。計画に死角は無い。だろ、シノン」

 

声を掛けられ、驚いたシノンは首だけ動かし、頷いた。

 

「それもそうだな。シノンの遠距離狙撃があれば優位は変わらねえや。………ところで、シノっちさ、今日この後暇?俺もさ、狙撃スキル上げたいから相談に乗ってほしいんだけど、どっかでお茶しない?」

 

ギンロウは掩蔽物の陰から出ないようにシノンの隣に近寄る。

 

「………ごめんなさい、ギンロウさん。今日は、リアルでちょっと用事があるの」

 

高く澄んだ声。

 

その声にギンロウはうっとりした表情をする。

 

シノンは自身のアバターが嫌いで、GGOを始めた当初は、アカウントを削除しようとしていたが、シノンをこの世界に誘った友人と俺が『勿体ない』と言って、止めた。

 

その結果、レベル的に後戻りできない所にまで来たので、諦めてこのアバターでプレイしている。

 

女の子なら、そんな可愛いアバター嬉しいはずなのにな…………

 

「そっかー、シノっちはリアルじゃ学生さんだっけ?大学生?レポートかなん」

 

 

 

 

 

パシュッ!

 

 

 

 

気の抜けた音と共にギンロウの横の壁に穴が開く。

 

そして、俺の手にはSOCOM Mk23にサイレンサーを取り付けたものが握られている。

 

「リアル情報の詮索は………マナー違反ですよ、ギンロウさん?」

 

俺は、ニヤッと笑い銃口を今度は額に向ける。

 

「わ、分かってるよ。そんなマジになるなよ」

 

そう言ってギンロウは下がり、他のメンバーの下に戻った。

 

「……大丈夫か?」

 

「うん、大丈夫。ありがと」

 

シノンに近づき耳元で声を掛けると、シノンは少し頬を赤くして、答える。

 

そんなシノンが可愛いと思いながら、俺は二本目の煙草を捨てて、三本目の煙草を咥える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たぞ」

 

双眼鏡を持ち、偵察していた奴が声を上げる。

 

「ようやくお出ましか」

 

ダインはそう言って双眼鏡を受け取り、目的のスコードロンを眺める。

 

「確かにアイツ等だ。八人……先週より二人増えてるな。光学系ブラスターの前衛が四人。大口径レーザーライフルが一人。おっと、《ミニミ》持ちが一人。こいつは先週、光学銃だったから、慌てて実弾銃に持ち替えたんだろう。狙撃するならコイツだな。後二人は、マントを被ってる方は武装が分からない。もう一人は手にアタッシュケースとレッグホルスターにベレッタがある」

 

ダインの言葉を聞き、俺も双眼鏡を取り出し、見る。

 

確かに、パーティーの最後尾に二人、迷彩柄のマントを付けたプレイヤーがいる。

 

大男と、ひょろっとしたのっぽの男だ。

 

大男は背中のマントが膨らみバックパックを背負ってると思われる。

 

のっぽの方は、手にアタッシュケースを持ち、レッグホルスターにベレッタを装備してる。

 

後、ブラズマグレネードを六個携帯してるな。

 

のっぽの男は絶えず、大男から離れず、大男の周囲を警戒してる。

 

「なぁ、あの二人もしかして、《デスガン》と《デスソード》なんじゃね?」

 

「まさか。実在するわけねぇ。それに死銃はギリーマントの小男、死剣はガンブレードを使う。大男は2mで、のっぽの武器はハンドガンとブラズマグレネードのみ。多分、大男は極STRの運び屋。のっぽは極AGI型で、運び屋を目的地にまで運ぶ護衛って所か。アタッシュケースの中身もおそらく弾薬だろう」

 

確かにそう見えなくもない。

 

だが、俺は何かを感じた。

 

とてつもなく嫌な予感を…………

 

半年間GGOをプレイしてきた経験と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの世界での経験がそう語っていた。

 

「最後尾のマントの二人が気になる。ミニミ持ちよりこの二人の内どちらかを片づけたほうがいい」

 

「私も同じ。あの二人を先に始末するべき」

 

「何故だ?大した武装もないだろう」

 

「………根拠はない。ただ、不安要素だから排除したい」

 

「不安要素ならミニミの方が明らかだ。あれに手間取ってる間にブラスターに接近されたら厄介だぞ」

 

ダインの言うことも一理ある。

 

だが、俺はどうしても気になる。

 

「ダイン、俺はのっぽの方を攻撃する。ハンドガンでも実弾銃には変わりない。それにブラズマグレネードも危険だ」

 

「分かった。なら、お前はギンロウたちと左翼から攻めろ。シノンはここで狙撃準備してろ。俺達は動くから、奴等の動きが分からなくなる。変化があったら知らせろ。狙撃のタイミングはこちらから指示する」

 

「……了解」

 

シノンは短く答え、伏射姿勢のままスコープを覗く。

 

「よし、行くぞ」

 

ダインの言葉を合図に全員が動く。

 

ブーツが砂利混じりの砂を踏みしめ、高台の後方から滑り降りる。

 

俺は、降りる前にシノンの傍に近づきしゃがむ。

 

右手をシノンの頭に置き、軽く撫でる。

 

「がんばれよ」

 

「……ええ、貴方もね」

 

撫で終わると、そのまま立ち上がり、高台を飛び降りる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギンロウたちと合流し、連中の左翼に移動する。

 

数十秒後、左耳に付けたインカムに通信が入る。

 

『位置に着いた』

 

『了解。敵はコース・速度ともに変化なし。そちらとの距離四百。こちらからは千五百』

 

『遠いな。いけるか?』

 

『問題ない』

 

『よし、狙撃開始』

 

『了解』

 

ダインとシノンの通信が終わり、全員の雰囲気が変わる。

 

全員が持っている銃に力を籠め構える。

 

そして、シノンがいる高台から発射炎が起こる。

 

それと同時に、ミニミを持った男の胸、肩、頭部が細かいオブジェクト片になり消え、その後、残された体もガラスのように砕け散った。

 

シノンが使っている狙撃銃は《PGM・ウルティマラティオ・へカートⅡ》という対物狙撃銃で、装甲車や建築物を貫くほどの威力で、なんかの条約により対人使用は禁止とされている。

 

だが、GGOでは関係ない。

 

持っていたミニミはランダム・ドロップの対象となりその場に落ちる。

 

敵は仲間がやられたことに動揺し慌てている。

 

だが、大男とのっぽは焦らずシノンの方を見ている。

 

シノンは第二射を放つが、大男とのっぽは軽く横にずれ回避する。

 

まぁ、《弾道予測線》のおかげでそれも仕方がないか。

 

弾道予測線とは、その名の通り、弾道が飛んでくる予測線の事だ。

 

『第一目標成功。第二目標失敗』

 

『了解。アタック開始……ゴーゴーゴー!』

 

ダインの掛け声と共に走り出す。

 

俺はSOCOMを抜き、のっぽに狙いを定める。

 

のっぽはレッグホルスターのベレッタを抜き、俺に向ける。

 

ギンロウたちは、のっぽと大男を無視して他の奴等に攻撃を始める。

 

そして、俺とのっぽの銃が同時に火を吹いた。

 

互いにけん制し撃ち合う。

 

そして、俺の最後の一発は運よくのっぽのベレッタの銃身に当たる。

 

ベレッタは弾き飛ばされ、廃墟の中に飛ばされる。

 

俺は空のマガジンを捨て、予備マガジンを装填しようと腰のポーチに手を伸ばす。

 

すると、のっぽは焦った様子をすることなく。

 

持っていたアタッシュケースを開く。

 

……………戦っていたのにアタッシュケースを捨てなかった?

 

弾薬が入っていたから捨てなかったのは理由にならない。

 

俺のSOCOMは総弾数12発。

 

のっぽのベレッタは総弾数15発。

 

弾が切れるのは俺の方が早い。

 

なら、邪魔なアタッシュケースは捨てる方がいい。

 

それでも、捨てなかったのは………まさか…………

 

のっぽはアタッシュケースから、いくつものパーツを取り出しそれを手早く組み立てる。

 

のっぽが組み立てたのは《H&K G36》。

 

レア物の突撃銃だ。

 

俺の嫌な感は当たった。

 

ベレッタはフェイク。

 

のっぽの本命はこっちだった。

 

とっさのことで俺はマガジンの装填を忘れていた。

 

のっぽは俺目掛けてG36を乱射する。

 

俺は地面を転がるように回避する。

 

その時、うっかりSOCOMを落としてしまい、拾おうとするが、拾う前にのっぽがG36を一発撃ちSOCOMを弾く。

 

そして、背後でもの凄い発砲音がした。

 

振り向くと、大男は《GE・M134ミニガン》を持っていた。

 

背中のアレはバックパックなんかじゃなくて、ミニガンだったのか!

 

「何処を見ている?」

 

のっぽが声を掛けながらG36Kを撃ってくる。

 

横に横に移動しながら銃弾を躱し、持っていたスモーク弾を使い、その場を逃げる。

 

背後から30発ものNATO弾が襲い掛かって来るが、足を止めず、更にスピードを上げる。

 

NATO弾だけでなく、レーザーブラスターの攻撃も躱し、ミニガンの七・六二ミリ弾も切り抜ける。

 

なんとか廃墟ビルディングに飛び込むように逃げ込むと、ダインと他のメンバー、シノンが隠れていた。

 

「奴ら用心棒を呼んでやがった」

 

「用心棒?」

 

「あの、大男とのっぽだよ。大男は《ヘビモス》、のっぽは《イーサン》。北大陸を根城にしてるコンビだよ」

 

どうやらあの二人は有名らしい。

 

シノンは掩蔽物から時折顔を出して反撃してる三人を見て、全員に聞こえるギリギリのボリュームで話す。

 

「ミニガンはそろそろ残弾が怪しいはず。全員でアタックすれば派手な掃射は躊躇うかもしれない。そこを突いて排除するしかない」

 

「ムリだ。ブラスターだって三人残ってる。突っ込んだら防護フィールドの効果が……」

 

防護フィールドとは、《対光弾防護フィールド》のことだ。

 

これをつければ光学銃の攻撃を軽減することができるのだが、近づけば、紅かは弱くなってしまう。

 

ダインはそれが不安なのだろう。

 

「ブラスターの連射は実弾銃程のスピードはない。半分は避けれる」

 

「ムリだ!突っ込んでもミニガンでズダズダにされるだけだ。残念だが、諦めよう。連中に勝ち誇った顔されるぐらいなら、ここでログアウトして……」

 

ダインの言葉にシノンは呆然として見詰める。

 

そんなシノンにダインは歯をむき出しキレる。

 

「なんだよ。ゲームでマジになんなよ!どっちでも一緒だろうが!どうせ突っ込んでも無駄死にするだけ……」

 

「なら死ね!」

 

シノンは叫び声を上げた。

 

「せめて、ゲームの中でぐらい、銃口に向かって死んで見せろ!」

 

シノンの言葉にダインは呆気にとられた表情をする。

 

「三秒、三秒だけ時間を稼いで。そしたら、あのミニガンは私がへカートで始末する」

 

「わ、わかった」

 

シノンの言葉に従い、ダインと残りの三人はそれぞれ武器を構える。

 

「なら、のっぽは俺がやる」

 

「待てよ。お前、ハンドガンはどうした?」

 

「ああ、さっきの戦闘で落っことした」

 

「じゃ、じゃあ、どうやって戦うんだよ!?」

 

ダインは騒ぎだし、取り乱す。

 

だが、シノンは俺を見つめ笑う。

 

「任せたわよ」

 

「ああ」

 

そう告げ、俺は廃墟を飛び出し、のっぽことイーサンの方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃墟を駆け抜け、俺はイーサンを探す。

 

すると、意外にもイーサンはすぐに見つかった。

 

「よう、イーサン。俺と遊べよ」

 

「ほう、俺の名を知ってるか。俺の名を知っても尚戦おうとするとは面白い。いいだろ。相手になってやる」

 

イーサンはG36を構える。

 

俺は背中のマントに隠した銃を取り出す。

 

《ドラグノフ》

 

分類は狙撃銃になる。

 

だが、俺は狙撃はしない。

 

俺の獲物はこっちだ。

 

ドラグノフの銃身に20cmの銃剣を取り付ける。

 

これが俺の獲物。

 

「いくぞ、イーサン」

 

俺はドラグノフを構え、突きの体勢で突撃する。

 

イーサンは驚きながらも、G36を構え、撃つ。

 

俺は目に見えてる《弾道予測線》を、見切り、現れた順に予測線を銃剣で斬った。

 

すると、撃たれたNATO弾が弾かれ、俺には当たらなかった。

 

イーサンは驚きの表情になる。

 

そして、そのまま、突っ込み、銃剣をイーサンの腹に突き刺した。

 

「ぐっ……………やるな」

 

「お前こそ、流石はイーサンだな」

 

「………止めを刺す前に聞きたいことがある」

 

「何だ?」

 

「………お前の名は何だ?」

 

イーサンの質問に、俺は煙草を取り出し、吹かしながら答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《危(あやめ)》だ」

 

「《危》………か。覚えておこう」

 

腹に刺さった銃剣を抜き、心臓に突き刺す。

 

そして、イーサンは体を砕け散らせ、消えた。

 




次回は朝田詩乃とアヤメの関係について書きます
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