二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

73 / 135
第13話 名前

珪子を家まで送った後(俺と珪子の家は実はあまり離れていない)、その足で病院まで向かった。

 

中に入ろうとすると、なにやら和人さんが安岐さんに真剣な話をしてる。

 

ちょうど話は最後に来ていたので、その後何食わぬ顔をして、部屋に入った。

 

「あ、朝霧くん、いらっしゃい」

 

「よぉ、雫」

 

俺の名前を呼ぶ和人さんの表情は何処か安らいでる気がした。

 

何があったか知らないけど、安岐さんのお陰で和人さんの負担が少し軽くなったんだな。

 

自分の中で勝手に納得し、上着を脱ぎ、電極を貼ってベットに横になる。

 

「監視の方お願いします。それと、さっきはありがとうございます」

 

「いいってことよ」

 

安岐さんはそう言って俺と和人さんに、ブランケットをかける。

 

「たぶん十時には戻ります」

 

「またお願いします」

 

「「リンク・スタート!」」

 

同時に叫び、虹色の放射光が目の前に広がり、俺を呑み込む。

 

「いってらっしゃ《英雄キリト》くんと《影の功労者レイン》くん」

 

…………へ?

 

そう思った瞬間、俺の意識は切り離され、砂塵と硝煙たなびく荒野に降り立った。

 

俺とキリトさんが降り立ったのは《SBCグロッケン》の北端、総督府タワーにほど近い路傍の一角に降り立った。

 

大会へのエントリーを済ませようと少し離れた総督府を目指して歩く。

 

すると、両側から幾つもの視線が俺とキリトさんに向けられる。

 

まぁ、それも仕方がないか。

 

キリトさんは昨日の予選で、銃がメインのゲームで光剣を使い敵を斬り、そして至近距離でのライフル弾を斬るなどと言った人間離れした業を披露したし、俺はおそらくこの世界では誰もが片手撃ちが出来ないであろう銃を片手で撃ち、その反動にも耐えられるのだから注目を浴びても仕方がない。

 

だが、これのお陰で俺もキリトさんも《死銃》と《死剣》に目を付けられたはず。

 

あの二人は最強になることに固執してる気がする。

 

BoBに参加する可能性がある。

 

それより、気になることがある。

 

キリトさんが昨日言っていた、キリトさんに接触してきたラフコフの元メンバー。

 

キリトさんが言うには、アレの声は《死銃》でも《死剣》のものでもない。

 

まるで子供みたいな口調の奴だったそうだ。

 

だが、複アカを使ってる可能性もあるし、同一人物でないとは言い切れない。

 

でも、何か気になる。

 

しばらく歩くと、シノンさんとアヤメさんの姿が見えたので、声を掛けた。

 

「アヤメさん、シノンさん。今日はよろしくお願いします」

 

「……ん?ああ、レインか。よろしくな」

 

あれ・アヤメさん、なんか元気ない?

 

「ええ、こちらこそよろしく」

 

シノンさんは微笑んで挨拶をしてくれた。

 

「よぉ、お二人さん。今日はよろしく」

 

「……よろしくって、どういう意味?」

 

俺とは打って変わって、見事なしかめっ面を作ったシノンさんだった。

 

「そりゃ、互いにベストを尽くそうって意味だ」

 

「白々しい」

 

どうして、キリトさんとシノンさんはこんなに仲が、いや、キリトさんはシノンさんに嫌われてるんだ?

 

「あの、アヤメさん。どうしたんですか?元気なさそうですけど」

 

「ああ、ちょっと、な」

 

まるで失恋した乙女のようだ…………

 

 

 

 

 

 

 

四人共、エントリーを済ませ、地下一階の酒場に向かった。

 

ブース席に腰を下ろし、各々飲み物を注文する。

 

注文と言っても、ドリンクメニューの横のボタンを押すだけだが。

 

俺はサイダー、キリトさんはジンジャエール、アヤメさんはブラックコーヒー、シノンさんはアイスコーヒーを選んだ。

 

アヤメさんとシノンさんからBoB本戦の説明を聞く。

 

大体の事を頭に叩き込み、俺は本題を切り出す。

 

「あの、二人に聞きたいんですけど」

 

俺はBoB本戦に参加する三十名の名簿を見せる。

 

「この中に、知らない名前は幾つあります?」

 

シノンさんは不思議そうな顔をしたか、了承して名簿を見る。

 

アヤメさんはさっきと打って変わって、真剣な目で、名簿を見る。

 

「BoBは三回目だから、ほとんどは顔見知りね。初めてなのは、レインと、アヤメ………どっかのムカつく光剣使いを除けば、五人ね」

 

何故かキリトさんだけ棘のある言い方だ。

 

「名前は?」

 

「ん………《銃士X》と《ペイルライダー》、それと《J・B》に《プレアデス》………これは《スティーブン》かな」

 

シノンさんが読み上げた名前を見ると《銃士X》は日本語表記で、後は全部、アルファベットだ。

 

「あれ、この名前」

 

俺は《Sterben》と書かれた名前に注目した。

 

「どうした?」

 

「これ《スティーブン》じゃ、ありません。《ステルベン》、ドイツ語ですよ」

 

「ドイツ語読めるのか?」

 

「いや、これ医療用語なんです。俺の親、医者だから」

 

「そうか…………で、意味は?」

 

俺は一瞬だけ口を噤み、一回深呼吸をして、口を開いた。

 

「《死》です」

 

その言葉にキリトさん、アヤメさんは驚きの表情になって固まった。

 

「まさか、こいつなのか?」

 

「わかりません。でも、可能性はあります」

 

「ねぇ、何の話?」

 

シノンさんが、不思議そうに俺達に問いかけてくる。

 

そんなシノンさんに、アヤメさんは声を掛けた。

 

「いや、なんでもない。ちょっとした俺達の因縁の話さ」

 

アヤメさんがそう言うとシノンさんはそれ以上何も聞いてこなかった。

 

「そろそろ行きましょう。装備の準備や点検の時間が無くなるわ」

 

シノンさんの言葉に従い、立ち上がる。

 

エレベーターに乗り込み、暫くするとシノンさんがキリトさんの背後に立った。

 

「あなたにも、貴方の事情があるのは理解したわ。でも」

 

そう言いながら右手を銃の形にし、キリトさんの背中に押し付ける。

 

「私との約束は別。昨日の決勝戦の借りは返す。だから、私以外の奴に撃たれたら許さない」

 

そして、今度は俺の方を向く。

 

「レイン。私は貴方とも戦いたい。だから、生き残りなさい」

 

最後にアヤメさんの方を向く。

 

「アヤメ、こっから先はパートナーじゃないわ。敵同士、手加減したら許さないわよ」

 

そう言うシノンさんに、俺達は目を合わして頷いた。

 

「…………ああ、君と出会うまで必ず生き残る」

 

「生き残って、シノンさんの前に立って見せます」

 

「安心しろ。手加減はしない」

 

俺達がそう言うと、わずかに笑い

 

「ありがとう」

 

そう言った。

 




誰が誰と戦うでしょうか?

なんとなくわかりますよね?

原作には登場してない《J・B》と《プレアデス》一体誰でしょう?

多分、もうすぐ分かると思います。

ちなみに、レインが影の功労者と言われたのは、ヒースクリフとの最終決戦、レインの最後の一撃のお陰でキリトは一撃でヒースクリフを倒せました。

キリトがヒースクリフを倒したので、レインの功績が霞んでしまった。

故に影の功労者。

他にも同じ《ユニークスキル》持ちだったのに《二刀流》が凄すぎて、《大太刀》が隠れてしまったなどあります。

では、次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。