二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第18話 一緒に

銃士Xが死銃ではなかった。

 

そのことに気づき、俺はすぐに突きのラッシュを叩き込み銃士Xを倒した。

 

死銃や死剣のことがなければ正々堂々戦いたかった。

 

銃士Xを倒し南側を見ると、シノンが倒れていて、シノンに向かうザザの姿を見つけた。

 

俺は銃士Xからスモークグレネードを拝借し、SOCOM Mk23をザザ目掛けて連射した。

 

ザザが俺に向け、電磁スタン弾ではなく338ラプア弾を撃ち、俺の肩に見事当たる。

 

それ同時にスモークグレネードを投げ、視界を奪い、シノンを救出した。

 

だが、俺はSTRよりもAGIを上げておりシノンを抱えるのは至難の技だ。

 

更にシノンとへカートを抱えているので、いつもより早く走れない。

 

「アヤメ………私を置いて………逃げて」

 

「バカ言うな!そんなことできるかよ!」

 

だが、このままじゃいずれ追いつかれる。

 

どうすれば…………………

 

その時、俺とシノンの視界に三輪バギーが現れ、俺たちの目の前で停車した。

 

「アヤメ、シノン!乗れ!」

 

運転席にいたのはキリトだった。

 

「助かる!」

 

後部座席に飛び乗ると、キリトはバギーを発進させた。

 

「アヤメ!この先に俺がバギーを借りた店が見える!そこにロボットみたいな馬があった!」

 

「ロボットホースか!」

 

「多分それだ!おそらくザザの奴それを使って追ってくる!シノンの銃で破壊できるか!?」

 

確かに、ロボットホースを壊すにはシノンのへカートじゃないと無理だ。

 

だが、今のシノンに撃てるか?

 

「シノン、聞いた通りだ。お前のへカートでロボットホースを壊せるか?」

 

「わ……解かった、やってみる………」

 

振るえる両腕で、へカートを下ろし、構える。

 

店を通り過ぎ、シノンはロボットホースに狙いを定める。

 

距離にして二十メートル。

 

シノンなら外しはしない距離だ。

 

そう、普段なら。

 

「え…なんで……」

 

トリガーが引けなかった。

 

何度やっても、どれほど力を込めてもトリガーが引かれることは無かった。

 

「…引けないよ……なんでよ……トリガーが引けない………!」

 

やっぱり無理か………

 

精神的に追い詰められてる。

 

今のシノンに狙撃は無理だ。

 

「二人とも!掴まれ!」

 

キリトがいきなり声を上げる。

 

俺はシノンが落ちぬようにしっかりと抱きしめる。

 

バギーの前輪がウイリーし、バギーは弾かれたように道路に出る。

 

逃げ切れるか?

 

「くそ!まだだ!気を抜くな!」

 

キリトの声に反応し振り向く。

 

サイレントアサシンを背負ったザザがロボットホースに跨り、追いかけていた。

 

更にザザだけでなく、死剣とジョニーブラックがサイドカー付きのバイクに乗り追いかけていた。

 

「くそ!もう追いかけてきたか!」

 

「キリト!お前ジョニーを倒せなかったのか!?」

 

「悪い!奴にステルス迷彩のこと聞かされて危険と思ったんだ!」

 

だから、勝負を切り上げて俺たちを助けにきたってことか。

 

そう言えばレインは?

 

死剣が此処にいるってことはまさかやられたか?

 

そう思った瞬間、いきなり後方で爆発が起きた。

 

何事かと思うと、レインがロボットホースに乗り現れた。

 

「レイン!」

 

「キリトさん、アヤメさん、シノンさん!無事ですか!?」

 

「あ、ああ!だが今の爆発は?」

 

「俺が仕掛けたボタン式地雷です。倒せてないと思いますが、時間稼ぎぐらいはできたと」

 

もう一度後方を見ると爆炎が立ち上り普通なら即死してるレベルだ。

 

だが、爆炎の中から三人は現れまた追いかけてきた。

 

「くそ!時間稼ぎにもならなかったか!」

 

レインが悪態をつく。

 

距離が百メートルになった。

 

ザザは黒星を取り出し、シノンを狙う。

 

咄嗟にシノンを抱き寄せる。

 

弾丸はもう少しでシノンの右頬を掠るところだった。

 

「嫌ああぁ!」

 

シノンが悲鳴を上げ俺にしがみつく。

 

「やだよ……助けて……助けてよ」

 

赤ん坊のように体を縮めて弱々しい声を上げる。

 

銃撃は止んだが、奴等が近づく音は止まらない。

 

「シノン!このままじゃ追いつかれる!奴等を撃つんだ!」

 

「む……無理だよ……」

 

「当たらなくていい!牽制するだけでいいんだ!」

 

「無理……あいつは……あいつだけは………」

 

「お前なら撃てる!」

 

シノンの肩を掴み、眼をしっかりと見る。

 

「その銃はお前の分身だ!お前にしか撃てない!少しでもプライドがあるなら、やるんだ!」

 

俺の言葉にシノンは覚悟を決めたのかのろのろとした動作でへカートを構え、スコープを覗く。

 

トリガーガードの中の指を動かし、トリガーを引こうとするがやはりトリガーは引けなかった。

 

「撃てない……撃てないの。指が動かない。私……もう戦えな」

 

「諦めるな!」

 

そう叫び、俺はへカートのグリップを、グリップを握るシノンの右手ごと握り締めた。

 

「俺が一緒に撃つ。だから、諦めるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

氷のように動かなかった右手が、暖かいぬくもりに包まれた。

 

アヤメが一緒に撃ってくれる。

 

それだけで、体が軽くなったような錯覚がした。

 

「キリト!一瞬でいい!揺れを止めてくれ!」

 

「よし!五秒後に止まるぞ!二、一、今だ!」

 

バギーが路面に突っ伏したスポーツカーに乗り上げ、宙を舞った。

 

「シノンッ!」

 

アヤメの声が聞こえた。

 

私は無意識のうちに引き金を引いていた。

 

そして、放たれた弾丸は夕闇に螺旋の渦を穿ち突進する。

 

弾丸は死銃にも死剣にも当たらない。

 

右側に逸れる。

 

外した。

 

マガジンに弾はまだ残ってるが、ボルトハンドルを引く気力はもうない。

 

だが、へカートが、冥界の女神がミスショットを許しはしなかった。

 

弾丸はアスファルトに穴を開ける代わりに、横転してる大型トラックの腹を貫いた。

 

そして、そこから小さな炎が漏れる。

 

死銃と死剣、そしてそいつらの協力者が脇を通った瞬間、トラックは爆発炎上し、三人を巻き込んだ。

 

倒した?

 

そう疑問に思った時、暖かい体温が私を包んだ。

 

私を抱きしめていたのはアヤメだった。

 

「よく、頑張ったな」

 

その言葉に、私は何かが外れたのが泣きながらアヤメに抱き付いた。

 

親に甘える子供のように、抱き付いて泣き続けた。

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